フェニキア人、ユダヤ人、アラム人(アッシリア以前の東地中海世界)【受験に役立つオリエント史(アジア史) 第3回】

こんにちは。今回はアッシリア以前の東地中海世界で活躍した3つの民族であるフェニキア人、ユダヤ人、アラム人について見ていきます。今回の内容も受験にかなり頻出の内容なのでしっかりとおさえましょう。

 

フェニキア人、ユダヤ人、アラム人は、エジプトとメソポタミア、小アジアを結ぶルートにあたる東地中海に各々が国家を作りました。受験にはこれらの民族の場所や特徴が聞かれます。これら三民族はのちの時代にも大きな影響を与えるのでしっかりと理解していきましょう。

今回の記事のポイント・海の民の侵入でヒッタイトが滅びエジプト新王国が弱体化

・アラム人はダマスクスを中心に内陸交易で繁栄

・フェニキア人はシドン・ティルスを中心に海上交易で繁栄

・ヘブライ王国の最盛期はダヴィデ、ソロモン

・イェルサレムにはユダヤ教の神殿が建てられ聖地となった

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東地中海世界〜カディシュの戦いより〜

(海の民:wikiより)

地中海東部、エジプトから小アジアにかけての地域は早い時代から文明が発達した地域でした。現在のシリア、レバノン、イスラエルにあたる地域はエジプトとメソポタミア、小アジアを結ぶ交通の要衝です。

 

この地域をめぐって小アジアのヒッタイトとエジプト新王国が戦いました。カデシュの戦いです。この点について「受験に役立つオリエント史(アジア史) 第2回【古代エジプトについて】」で新王国について詳述しています。まだ、読んでない人は是非読んでください。

 

カデシュの戦いはエジプトの勝利に終わり、シリア・パレスティナ地方はエジプトの支配下に入ります。

 

紀元前1200年頃海の民とよばれる謎の集団がヒッタイトやエジプト新王国を攻撃します。そして、海の民はヒッタイトを滅ぼし、エジプト新王国に大打撃を与えます。その結果、シリア・パレスティナ地域は大国の支配から外れ、小国家ができやすい状態となりました。

 

なお、ヒッタイトについては第一回「受験に役立つオリエント史(アジア史 第1回)【メソポタミアからヒッタイトまで】」に詳しいので是非読んでください。

そこで、この時期に活躍したアラム人、フェニキア人、ヘブライ人について見ていきます。なお、この3民族が活躍した場所は以下の地図にあります。位置関係は覚えておきましょう。

陸上交通で繁栄したアラム人

(アラム文字:wikiより)

ヒッタイト、エジプトの両大国がシリア・パレスティナから手を引いたころ、シリアのあたりに定住したのがアラム人です。アラム人は内陸部の交易で活躍しました。そのため、アラム文字はシリアより東方の地域に広まり多くの文字の源流となりました。

 

[L1_wsbStart][L_wsbAvatar]https://wearewhatwerepeatedlydo.com/wp-content/uploads/2019/10/43ca64de9520f178ab62afe94fdec80d-e1571795746292.png[L_wsbName]たかし君[L_wsbText]どうでもいいけど、アムル人と名前似てません?[L_wsbEnd]

 

[L1_wsbStart][L_wsbAvatar]https://wearewhatwerepeatedlydo.com/wp-content/uploads/2019/10/teacher.png[L_wsbName]S先生[L_wsbText]シュメール人の時代の民族ね。ウル第三王朝時代に活躍したらしいけど、混同しないでください。あくまでアム。[L_wsbEnd]

 

なお、アラム人の活動領域の地図は以下の通りです。内陸中心に活躍しました

アラム人が築いた都はダマスクス。西アジアの交易拠点として繁栄した街です。7世紀に勢力を拡大したイスラーム帝国のウマイヤ朝はダマスクスを都としました。ダマスクスの場所は一番最初の地図を見ましょう。

海上交易で繁栄したフェニキア人

(カルタゴ遺跡:wikiより)

紀元前13世紀ごろ、地中海沿岸に定住したのがフェニキア人です。フェニキア人は現在のレバノン周辺を拠点とし、海上貿易で財を成しました。フェニキア人の中心都市はシドンティルス。ともに地中海に面した港町です。

 

シドン・ティルスの場所については下記の地図をみましょう。場所を問うてくる問題などよくありますのでしっかりと場所を覚えましょう。

フェニキア人は西の地中海に向けて勢力を拡大しました。フェニキア人もアラム人と同じく商業民族だったため文字が発達します。フェニキア人はアルファベットのもとになるフェニキア文字を使用しました

 

フェニキア人たちは地中海各地に植民都市を建設します。とくに有名なのがカルタゴでした。現在のチュニジアにあたるカルタゴは西地中海で大きな勢力を獲得します。

 

[L1_wsbStart][L_wsbAvatar]https://wearewhatwerepeatedlydo.com/wp-content/uploads/2019/10/teacher.png[L_wsbName]S先生[L_wsbText]このカルタゴは後にローマと激烈なポエニ戦争をするのでしたね。[L_wsbEnd]

 

ローマとの戦いについての記事は「受験生に役立つヨーロッパの歴史その4(古代ローマ:ユリウス=カエサル以前)【世界史B】」に詳しく書いてあります。

 

なお、アケメネス朝ペルシアが台頭してくるとフェニキア人はペルシアに協力します。商売敵となっていたギリシア人たちとたびたび争いました。

ヘブライ神とユダヤ教

(ソロモンとシヴァの女王:wikiより)

紀元前1500年頃、パレスティナ地方にヘブライ人が定住しました。紀元前14世紀になるとヘブライ人の一部がエジプトに移住します。しかし、エジプト王から迫害を受けたヘブライ人たちはモーセに率いられエジプトを脱出しました。これを「出エジプト」といいます。

 

なお、この時の王が新王国でカディシュの戦いをしたラメ(ム)セス2世という説も言われています。新王国については、「受験に役立つオリエント史(アジア史) 第2回【古代エジプトについて】」に記載してますので是非とも読んでみてください。

 

紀元前1000年頃、ヘブライ人たちはペリシテ人たちを倒してヘブライ王国を築きます。ヘブライ王国の最盛期は第2代の王であるダヴィデと第3代の王であるソロモンの時代でした。都のイェルサレムにはユダヤ教の唯一神ヤハウェの神殿が建てられます。

 

ヘブライ人たちの宗教をユダヤ教といいます。ユダヤ教はユダヤ人の民族宗教で、唯一神ヤハウェを信仰する一神教でした。彼らは自らをヤハウェから選ばれた民であるとする選民思想を奉じます。そして、彼らを救済してくれる救世主を待ち望みました。

 

ユダヤ教の進行の中核はモーセが定めた十戒です。この戒律を守ることで神から選ばれた「選民」として認められると考えられました。ユダヤ人(ユダヤ教を信じる人)と神との契約やユダヤ人の救済などを書いたのが「旧約聖書」です。

 

紀元前722年、ヘブライ人の国一つである北のイスラエル王国がアッシリアによって滅ぼされました。南のユダ王国は前586年に新バビロニア王国によって滅ぼされます。この時、バビロニア王ネブカドネザル2世はユダヤ人たちを都のバビロンに連れ去りました。このことをバビロン捕囚といいます。

 

[L1_wsbStart][L_wsbAvatar]https://wearewhatwerepeatedlydo.com/wp-content/uploads/2019/10/teacher.png[L_wsbName]S先生[L_wsbText]ちなみに1309年から1377年の間、ローマ教皇庁はアヴィニョンに置かれ、完全にフランスの支配下に置かれる教皇のバビロン捕囚とは場所も時代も全く違うから注意してね。[L_wsbEnd]

 

教皇のバビロン捕囚については「受験生に役立つヨーロッパの歴史その14(ローマ教会の歴史:絶頂衰退編)【世界史B】」に詳しく書いてあります。

 

出エジプトとバビロン捕囚は試験で頻出分野です。この地図を使って、場所をしっかりと覚えておきましょう。

 

アケメネス朝ペルシアキュロス2世は新バビロニア王国を滅ぼすと、捕らわれていたユダヤ人たちを解放しました。解放されたユダヤ人たちはイェルサレムに帰還し、神殿を再建します。

 

出エジプトとバビロン捕囚がややこしいので少し表にまとめてみます。

出エジプトBC722年エジプト新王国のラムセス2世(?)に迫害→モーセにより脱出
バビロン捕囚BC586新バビロニアのネブガドネザル2世に強制移住→アケメネス朝ペルシアのキュロス2世により解放

まとめ

東地中海の三民族はそれぞれの特徴を抑えるのが大事です。内陸交易で繁栄したアラム人、海上交易で繁栄したフェニキア人、独特の宗教を生み出しヘブライ王国を打ち立てたヘブライ人といった特色をしっかり押さえましょう。

 

また、ヘブライ人が新バビロニア王国によってバビロンに連行されるバビロン捕囚は中世ヨーロッパの「教皇のバビロン捕囚」などと一緒に出題されることもあるので要注意です。

次回の記事は「アッシリア、アケメネス朝ペルシア、マケドニア」です。

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