受験に役立つオリエント史(アジア史)【メソポタミアからヒッタイトまで】第一回

みなさんこんにちは。世界史といえば範囲が広くてよくわからないかもしれませんが、今回はそんな世界史Bの中でも特に地味として嫌がられている中東付近(オリエント)分野の歴史について見ていきたいと思います。

 

初回となる今回はメソポタミア文明の成立からヒッタイトの滅亡まで。シュメール人によって発展したメソポタミア文明とそれに伴って発展していった王朝についてまとめました。

メソポタミア文明の成立

メソポタミア文明が始まったのは紀元前6000年頃、ティグリス川ユーフラテス川付近の肥沃な大地に生まれたメソポタミアの地には泥レンガを中心とする小規模な集落が発生していき、組織化された農業が行われていきました。

 

「メソポタミア」とは「川の間」という意味でティグリス川とユーフラテス川の間に囲まれた地帯で文明が起こったことから、メソポタミア文明と呼ばれます。

 

その後紀元前4500年頃になるとウバイド文化が発展していき、灌漑農業の考案や車輪や銅器の発明が起こり一気に文化は発展していきます。

 

農耕を中心とした文化は一層盛んとなり穀物の収入も大幅に増加することになります。

シュメール人による都市国家の樹立

(ギルガメッシュ叙事詩の粘土板:wikiより)

ウバイド文化によって発展していったメソポタミアの地でしたが、紀元前4000年頃になると都市文明が形成されていき、紀元前3000年になるとシュメール初期王朝が成立しました。

 

ウル、ウルクなどの20ほどの都市国家が生まれ、シュメール人は銅に錫を混ぜた青銅器や、楔形文字などを用いて様々な文化を生み出していきました。

 

そんなメソポタミアの中でも特に代表的な文学としてあげられるのが英雄叙事詩であるギルガメッシュ叙事詩です。

 

この叙事詩は世界最古の文学ということもさることながら、ノアの箱舟のように旧約聖書の元となった話があるなど今でも研究が進められています。

 シュメール人の文化 

(ウルにあるジックラト)

シュメール人は世界最古の文字とも呼ばれている楔形文字の使用がありました。また、世界最古の文学作品として「ギルガメッシュ叙事詩」があります。某アニメ「FA◯E」で有名ですね(笑。ちなみに、本作品はユーフラテス川の大洪水の話がありノアの方舟の話に影響を与えたなど旧約聖書に影響を与えたと言われています。

 

シュメール人の凄いところはなんといっても今につながるようなシステムを多く発見したことです。有名どころでいうと60進法の採用です。今ではアラビア文字の10進法が主流となっていますが、今でも60進法は時間の概念などで採用されていますね。また、1週間7日制も考案したと言われています。

 

なお、暦は月の満ち欠けを基準とする太陰暦を使用していました。ただ、これだと1年が350日程度になってしまい、実際の季節の移り変わりとずれてしまい農耕に不向きということで閏月を入れて調整していました。よって太陰暦を基準とした太陽暦要素を加えていました

 

さらに、特に有名なのがジックラトというでかい塔です。聖塔とも呼ばれます。これは要するに王様の権威を示すのと神様の神殿のための建物であり、イラクのウルの遺跡のものが代表格として今も残されています。

メソポタミアの統一と古バビロニア王国

(世界の歴史マップより)

シュメール人によって様々な文化が生まれていったメソポタミアですが、前2300年頃になるとメソポタミアの都市国家を統一し、広大な国家を誕生するような王国が出現していくようになりました。

アッカド人の征服

(敵を惨殺するアッカド人兵:wikiより)

こうして文明を開花させていったシュメール人でしたが、征服されるとなるととてもあっさりしたものでシュメール人の都市国家は紀元前2350年頃にアッカド人によって征服されます。

 

シュメール人に先立ってアッカド王国というメソポタミア初の統一国家を樹立するに至りました。しかし、このアッカド王国は僅か180年ほどで滅亡したといわれており、特に深く覚えておく必要はありません。

古代バビロニアの成立

(ハムラビ法典:ルーブル美術館所蔵:wikiより)

アッカド王国が滅亡した後、メソポタミアの地に建てられた王朝こそがみなさん一度は聞きたことがあるであろうバビロン第一王朝(古代バビロニア王国)でした。

 

そんなバビロン王朝でしたが、特に有名なのが第6代目の王であるハンムラビ王

 

彼は全メソポタミアの領土を統一した王様でしたが、さらにシュメール人の法律などをまとめて編纂した成文法であるハンムラビ法典をまとめ上げ(『目には目を、歯には歯を』という条文は有名)、メソポタミアの地を支配しました。

 

この条文は、同害復讐法で刑罰に加害と同じ程度の罰を与えるという側面と、その罰は実は身分によって異なる身分法的側面がありました。身分法的側面を忘れる人が多いのでチェックしておきましょう。

ヒッタイトの発展

(世界の歴史マップより)

ハンムラビ王の時に最盛期を迎えた古代バビロニア王国でしたが、栄えている王国ややがて滅んでいく運命にあり、この王朝も前1600年頃にインド=ヨーロッパ系民族であるヒッタイトによって滅ぼされることになります。

 

ヒッタイトはその後アナトリア半島を中心に発展していきます。エジプト王国と熾烈な争いを繰り広げながら領地を拡大していきます。

 

しかし、紀元前1190年頃に地中海を暴れ回っていた「海の民」によって滅亡してしまいました。(ちなみに、この滅亡は他にも深刻な食糧難によって国を維持する力を失ったから滅んだとする説もあります)

ヒッタイトの強さの秘訣

(ヒッタイトの都ホズキョイにある遺跡:wikiより)

ヒッタイトが古代バビロニア王国を滅ぼした理由の一つに世界で初めて鉄器を使ったことにありました。今では鉄はそこら中で使用されていますが、強度が青銅に比べれば格段に良く、さらには全く切れ味が落ちない鉄はバビロニアの軍勢を圧倒します。

 

さらには馬を使った戦車(もちろん今の戦車とは形が違います)を多用しました。機動力を使った早期決着で古代バビロニア王国を滅ぼしたのです。ちなみにこの古代バビロニアを滅した後、ヒッタイトはメソポタミア地域を領有することなく放置します。なぜ放置したか謎ですが、メソポタミアの空白地域にカッシート人によるカッシート王国ができます。

 

さて今回はヒッタイトまでの歴史を追っていきましたが、次回はエジプトについてやっていきたいと思います。その名も「受験に役立つオリエント史(アジア史 第2回)【古代エジプトについて】」です。

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