アッシリア、アケメネス朝ペルシア、マケドニア【受験に役立つオリエント史(アジア史) 第4回】

みなさん、こんにちは。受験に役立つオリエント史(アジア史)をはじめます。第4回は、アッシリア、アケメネス朝ペルシア、マケドニアについて見ていきます。

今回は、オリエントを初めて統一したアッシリア、そしてアッシリアの統治方法を改良したアケメネス朝ペルシア、さらにアレクサンドロス大王について述べていきます。

 

ちなみに、前回は、アラム人、フェニキア人、ヘブライ人の3民族についてお話をしました。詳しくは「受験に役立つオリエント史(アジア史) 第3回【アッシリア以前の東地中海世界:フェニキア人、ユダヤ人、アラム人】」を読んでいただけたらと思います。

 

ただ、今回の話は、第一回のヒッタイト以降の話です。メソポタミアを含めヒッタイトまでの話は「受験に役立つオリエント史(アジア史 第1回)【メソポタミアからヒッタイトまで】」をお読みください。

 

それでは、オリエントについて読んでいってください!!

今回の記事のポイント・アッシリアがオリエントを最初に統一した

・アケメネス朝ペルシアがオリエントを再統一した

・マケドニアのアレクサンドロス大王が東方遠征を行った

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アッシリア帝国について

世界の歴史マップより)

アッシリアは元々はティグリス川上流を拠点とする商業民族でした。その後、鉄製武器や戦車、騎兵隊を駆使して征服活動を広めていきます。そして、BC7世紀(BC670年)にエジプトを制圧します。この点について「受験に役立つオリエント史(アジア史) 第2回【古代エジプトについて】」に記載しています。

 

そして、このエジプト制圧をもって、オリエント世界は初めて統一されることになります。アッシリアを世界最初の「世界帝国」と表現されることもあります。

 

アッシリアの首都はティグリス川上流のニネヴェです。地図で確認しておきましょう。このアッシリアで覚えておくべき最盛期の王はアッシュール=バニパル王です。彼は、ニネヴェに大図書館を建設しました。

 

アッシリアは広大な領土を支配する方法として、領土をいくつかの属州に分けて、中央から総督を派遣して支配させました。またその領域を結ぶために駅伝制を整備します。この統治システムはアケメネス朝やローマ帝国でも実施されました。

 

アッシリアで問題となったのは専制的な国王を中心とする中央集権体制で、武力による支配が行われました。征服された土地の民にはアッシリアに強制移住させて未開拓地の開墾をさせたり、重税を課したりしました。結論からいうと、アッシリアは被征服民から相当の恨みを買います。

 

BC612年ニネヴェの戦いでメディアとカルデア(新バビロニア)の連合軍によりアッシリアは滅ぼされてしまいます。最初に反旗を翻したナボポラッサルは新バビロニアを建国します。その後、オリエント世界はメディアカルデア(新バビロニア)リディアに分立します。

 

なお、リディアは史上最初の金属貨幣を作りました(紙幣ではないので注意)。

関連問題

アッシリアについての関連問題として2019年関西学院大学2月2日の問題から出題します。

アッシリアに関する記述として誤りを含むのはどれか

  • a.ティグリス川の中流域を中心に形成された王国であった。
  • b.首都ニネヴェからアッシュール=バニパル王のライオン狩りの浮き彫りが出土した。
  • c.鉄製武器と戦車や騎兵隊によって強大な国家に成長した。
  • d.新バビロニアのネブカドネザル2世によって滅ぼされた
    (関西学院大学2019年2月2日第一問より)

どうですか?上記説明を読めばわかると思いますが、きちんとした知識が必要です。


(d)が誤り。解説:ネブカドネザル2世はバビロン捕囚を行った新バビロニアの王で、アッシリアを滅したのは彼の父のナボポラッサル。

アケメネス朝ペルシアについて

世界の歴史マップより)

ペルシア王国のキュロス2世はBC552年メディア王国を滅し、BC547年にはリディア王国を滅し、アケメネス朝を興します。(キュロス2世は初代君主です)また、BC539年には新バビロニアを倒し、「バビロン捕囚」で強制移住させられたヘブライ人を解放します。

 

次に、キュロス2世の子のカンビュセス2世はエジプトを征服します。これにより、オリエント地方をアッシリア以来再統一することになります。

 

アケメネス朝の最盛期の王はダレイオス1世です。彼は首都をスサからペルセポリスを建設しし始めます。彼の支配領域はインダス川からエーゲ海まで及びました。そして、彼の業績については、べヒストゥーン碑文に刻まれています。ちなみにこのべヒストゥーン碑文をローリンソンというイギリスの学者が解読しました。

 

ダレイオス1世の時代、アケメネス朝ペルシアは広大な領土を持つに至りました。そこで、ダレイオス1世は全国を20余りの州に分け、各州にサトラップ(知事をおいて統治しました。また、サトラップを監視するために王の目」「王の耳と呼ばれる王直属の監察官を全国に配置して情報収集を行いました。

 

また、首都のスサとリディア王国の首都だったサルデスを結ぶ国道である「王の道」と呼ばれる軍道を整備しました。さらに、アッシリアで行われた駅伝制をしいて中央集権の強化をはかりました。

 

ダレイオス1世の次にクセルクセス1世が第三回ペルシア戦争に乗り出しますが、こちらも敗北してしまいます。その後、紀元前4世紀に入ると各地でサトラップの反乱がおこり、ついにアレクサンドロス大王の遠征軍にイッソスの戦い(BC333)やアルベラの戦い(BC331)ダレイオス3世が破れ、ダレイオス3世の死をもって、アケメネス朝は滅亡しました

 

ちなみにアケメネス朝ペルシアの滅亡については「受験生に役立つヨーロッパの歴史その3(ペルシア戦争後からヘレニズム時代・文化:世界史B)」に記載しています。

アケメネス朝ペルシアの統治方法

アケメネス朝ペルシアの経済分野では金貨や銀貨を鋳造して税制を整え、海上ではフェニキア人、陸上ではアラム人による商取引に便宜を図りました。アラム人、フェニキア人については「受験に役立つオリエント史(アジア史) 第3回【アッシリア以前の東地中海世界:フェニキア人、ユダヤ人、アラム人】」をお読みください。

 

また、服従した異民族に対しては、それぞれの伝統や文化を尊重し自治を認めるという緩やかな支配による政策を取りました。これは、アッシリアの支配が強圧的支配で反乱が起ったことを教訓にして寛容な統治方法をとったと言われています。

 

さらに、ペルシアの民族宗教としてゾロアスター教というものがあります。これは善悪二元論的な宗教です。善の世界を支配するアフラ=マズダと悪の世界のアーリマンが戦い、最終的には救世主が現れ最後の審判を経て善が勝利するという内容です。

 

ゾロアスター教は光(善)の象徴としての純粋な「火」を崇拝するため拝火教とも呼ばれます。中国では祆教と言います。聖典は『アヴェスター』です。

関連問題

アケメネス朝ペルシアについて、関西学院大学2019年から出題します。上記記事を読んでいたら簡単ですね。

①キュロス2世に関する記述でないものはどれか

  • a.同じイラン系のメディアから自立した
  • b.新バビロニアを滅した
  • c.ユダヤ人をバビロンに連行した
  • d.リディアを滅した

②ダレイオス1世に関する記述として誤りを含むものはどれか

  • a.新たな王都としてエクバタナを建設した
  • b.国内の各州にサトラップを任命して統治を委ねた
  • c.「王の目」「王の耳」と呼ばれる監察官にサトラップを監視させた。
  • d.スサとサルデスの間に「王の道」を設け、駅伝制をしいた。(関西学院大学2019年2月2日)

解答:c 解説:キュロス2世はバビロン捕囚を解放した人物。バビロンに連行したのは新バビロニアのネブカドネザル2世

解答:a  解説:ダレイオス1世が建設したのはペルセポリス

マケドニアについて

世界の歴史マップより)

アケメネス朝ペルシアをマケドニアが滅します。マケドニアについてはフィリッポス2世とアレクサンドロス大王が活躍します。マケドニアについては「受験生に役立つヨーロッパの歴史その3(ペルシア戦争後からヘレニズム時代・文化:世界史B)」に詳しく書いてあるので、そちらを読んでください。

ちなみにアレクサンドロス大王についての流れは書記官エウメネスの視点からの漫画「ヒストリエ」がおすすめです。当時の状況及び衣装など細部に拘って描かれていて面白いです。

関連問題

マケドニアについて同じ関西学院大学2019年から出題します。

マケドニアに関する記述として誤りを含むものはどれか。

  • a.フィリポス2世はカイロネイアの戦いでアテネ ・テーベ軍に勝利した
  • b.ギリシアの全ポリスが結成したコリントス同盟はマケドニアを盟主とした
  • c.イッソスの戦いに勝利したアレクサンドロスはエジプトへと進軍した。
  • d.アレクサンドロスの遠征軍は現在のサマルカンドまでに到達した。

解答:b 解説:コリントス同盟はスパルタを除くギリシアの全ポリス。スパルタは入っていないので誤り。

まとめ

アッシリアからマケドニアまで以上、簡単に説明しました。ヨーロッパの歴史と絡んでくることも多いのでしっかりと復習をしましょう。

 

次回は、アレクサンドロス大王の死んだ後のディアドコイ(後継者)からお話をします。「ディアドコイからパルティア、ササン朝ペルシア」を読んでください。

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