みなさん、こんにちは。上智大学の入試お疲れさまでした。現時点で東進から2月8日の法学部(一般)についての解答速報が出ていないことから解答速報及び解説を作成してみました。
ただ、量的に膨大なこともあり、またTEAP型の世界史の問題もインドに関連するものであったので、設問1についてのみのものです。
設問1について
問1
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
d | d | e | a | d | c |
7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
c | e | a | c | b | a |
問2
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
b | a | b | e | d | d | a |
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | |
d | a | a | c | d | a |
インドで最古の文明は(1)時代のもので、前2600年頃~前1800年頃,インダス川流域を中心に栄えた。代表的遺跡には、パンジャープ地方の(2)遺跡や、シンド地方の(3)遺跡がある。そこでは、議場·倉庫·休浴場·下水道·道路,レンガ造りの住居など,高度な都市文明が築かれた。出土品には,ろくろで作られた彩影文土器や。神·人、動物の像と象形文字とが刻まれた(4)この文字はまだ解読されていないが、像には後世の(5)の三大神像もあり、この文明がインド文明の源流であることがわかる。
前1500年頃,(6)語族のアーリヤ人が(7)を越えてパンジャープ地方に進入し,前1000年頃にはガンジス川流域まで進出して, 農耕社会を形成した。彼らは,自然現象を神として崇拝し、さまざまな祭式を行った。その宗教的な世界観をまとめた神々への賛歌が「(8)」である。アーリヤ人は先住民を支配し,アーリヤ人内部でも次第に階層分化が進展した結果,(9)と呼ばれる身分的上下関係が生まれた。それは上から言うと,祭司のバラモン,王侯戦士の( 10 ),庶民の( 11 ), 先住民で隷属民のシュードラという4つの基本的身分であり,その枠外に被差別民(不可触民)が存在した。 この4身分と,職業別コミュニティが結びついて,インドのカースト制度が形成されることになる。20世紀には,カースト制度で最も差別されている不可触民の差別撤廃運動に献身した( 12)という政治家も出現した。
問1について
(1)〜(12)について入るものはどれか。
(1)a 旧石器b 中石器c 新石器d 青銅器e鉄器
答え:d青銅器時代。前2600年頃は青銅器時代。
(2) aサーンチーbドーラヴィーラーcドヴァーラヴァティーd ハラッパーeモエンジ=ダーロ
答え:d。パンジャーブ地方はハラッパー遺跡。詳しくは「【世界史B】受験に役立つインドの歴史 第1回」に記載されています。
(3) a サーンチー bドヴァーラヴァティー cハラッパー dマトゥラーeモエンジョ=ダーロ
答え:e シンド地方はモヘンジョ=ダロ。詳細は上の記事に記載。
(4) a印章 bキープ (結縄) c 銅鼓 d刀畿 e 粘土板
答え:a 印章が答え。これも詳しくは「【世界史B】受験に役立つインドの歴史 第1回」に記載されています。
(5)aシク教 b ジャイナ教 cゾロアスター教 d ヒンドゥー教 e 仏教
答え:d。ヒンドゥー教の三大神像ブラフマー神・
(6) aアフロ=アジア b アルタイ cインド=ヨーロッパ dウラル eドラヴィダ
答え:cアーリア人はインド=ヨーロッパ語族です。
(7) aアッサム地方 b アラビア海 c カイバル峠 d.タリム盆地 e.チベット高原
答え:C カイバル峠です。
(8) aウパニシャッド bシャクンタラー cシャー=ナーメ (王の書)d マヌ法典 eリグ=ヴェーダ
答え:e 神々への讃歌はヴェーダです。
(9)aヴァルナ b ダルマcカルマ d バクティeスーフィー
答え:aヴァルナ。身分関係はヴァルナ制といいましたね。
(10)aアーリマン b ヴァイシャ cクシャトリヤ d ハリジャン e ライヤット
答え:c武士階級はクシャトリア
(11)aアーリマン b ヴァイシャ cクシャトリヤ dザミンダ−ル e ハリジャン
答え:bヴァイシャが庶民階級。
(12)a アンベードカル b ジンナー cティラク d ナーナク eラーム= モーハン= ローイ
答え:aアンベードカルが正解。インド憲法の草案作成者で反カースト(不可触民改革)運動の指導者です。
問2について
(1)前6世紀におこり、 ガンジス川中流域を統一した国で、仏教やジャイナ教が誕生した国はどれか。
aヴィジャヤナガル王国 b コーサラ国 cシンハラ王国 dマイソール王国 eマガダ国
答え:bコーサラ国。後に、マガダ国に併合されます。
(2) ガウタマ(ゴータマ) = シッダールタが説いた、解脱に至るための実践法は何か。
a八正道 b 仏像製作c仏典結集d 輪廻転生e 六信五行
答え:aが正解。
(3)ジャイナ教を開いた人物は誰か。
a.アクバル bヴァルダマーナ c ヴィシュヌ d カビール e.バーブル
答え:bが正解。
(4)前4世紀末に登場したインド初の統一王朝といわれるものはどれか。
aヴァルダナ朝 bクシャーナ朝 cサータヴァーハナ朝 d チョーラ朝 eマウリヤ朝
答え:e 詳しくは「【世界史B】受験に役立つインドの歴史 第1回【インダス文明〜マウリヤ朝まで】」を見てください。
(5)(4)の王朝を開いた人物は誰か。
aアウラングゼープ b アショーカc アイバク d チャンドラグプタeハルシャ
答え:d グプタ朝と混同しないように。
(6)(4)の王朝の都はどれか。
aアグラb アジャンターc.ナーランダー d パータリプトラ e プルシャプラ
答え:dのパータリプトラ
(7)(4)の王朝は第3代の王の時に最盛期を迎えた。この王の説明として誤っているものはどれか。
- a.第一回仏典結集を行った。
- b.スリランカへ仏教を布教した。
- c.南端部を除きインドを統一した。
- d. 各地に磨崖碑、石柱碑を建立した。
- e中国名を阿育王という。
答え:aです。アショーカ王の業績について問う問題です。仏典結集とはブッダの教えを正しく伝えるために行われた仏典の編集作業のことで、第一回はブッダの死後すぐに行われた。アショーカ王の時代の仏典結集は第三回。
(8)後1~3世紀に中央アジアから西北インド地域を支配下においた王朝がある。この王朝の説明で、誤っているものはどれか。
- a東西交易で紫栄した。
- b都がおかれたところは,現在パキスタンのペシャワールになっている。
- c彫りの深い写実的な顔立ちやひだのある服が特徴的な仏像が影られるようになった。
- d.3世紀のカニシカ王の時にササン朝と戦って敗れた。
- e 王は、ギリシアインド·イラン·ローマ風の王号を持っていた。
答え:d。クシャーナ朝の内容についての問題です。カニシカ王はササン朝とは戦っていません。彼よりもっと後の時代です。ちなみにササン朝王シャープール一世はローマとも戦い皇帝ヴァレリアヌスを捕虜にとっています。
(9)(8)の王朝時代に, 仏教に新しい運動が起こった。 この運動によってできた宗派の説明として誤っているものはどれか。
a.上座部仏教という。 b.大乗仏教という。 c.大衆の救済を重視する。
d菩薩信仰が含まれている。e.竜樹によって理論化された。
答え:a クシャーナ朝のときに栄えたのは大乗仏教です。上座部仏教は別名、小乗仏教といい個人の救済を図る仏教ですね。くわしくは「【世界史B】受験に役立つインドの歴史 第2回【クシャーナ朝〜グプタ朝】」をみてみましょう。
(10)前1~後3世紀にデカン高原を支配した王朝がある。それは何人の王朝か。
a.アーンドラ人 b クシャーン人 c サカ人d シシハラ人eタミル人
答え:a サータヴァーハナ朝を指してます。アーンドラ族が主だったことからアーンドラ朝とも言われます。ちなみに、龍樹(ナーガールジュナ)はこの王朝に保護されていたのは覚えておきましょう。
(11)(8)の王朝が倒れたあと、4~6世紀に北インドを統一した王朝はどれか。
aヴァルダナ朝bクシャーナ朝cグプタ朝d ハルジー朝eロディー朝
答え:当然、グプタ朝。cが正解。
(12)(11)の王朝時代に黄金期を迎えたインド古典文化の説明として、誤っているものはどれか。
- a.後にイスラーム圏からヨーロッパに伝わる十進法やゼロの概念が確立した。
- b.サンスクリット語の文学が開花し, 劇作家のカーリダーサが傑作を残した。
- c.バラモン教に民間信仰が融合したヒンドゥー教が社会に定着した。
- d.仏像の様式として、 純インド的なガンダーラ様式が完成した
- e.ヒンドゥー教の聖典とされる 「マハーバーラタ」がほぼ現在の形にまとめられた。
答え:d。ガンダーラ美術はクシャーナ朝でグプタ朝ではない。
(13) 7世紀に北インドを支配した古代インド最後の統一王朝について, 次の説明のうち正しいものはどれか。
- a.王朝の創始者はハルシャである。
- b.王朝の最盛期は, チャンドラグプタ2世の統治期である。
- cこの王朝時代に戒律関係の仏典を求めて、東晋から法顕がやってきた。
- d.海路で唐から来た玄奘は「南海寄帰内法伝」 を書いた。
- e.この時代に唐から来た義浄は帰国後、「大唐西域記」を書いた。
答え:a ヴァルダナ朝のことを指してます。
まとめ
以上、上智大学法学部世界史第1問についての解説でした。ほぼほぼHIMOKURIに記載されている内容がそのまま出題されたかたちでした。
みなさんも引き続き勉強を頑張ってください
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