人間とは何か?各哲学者が考えた定義を徹底比較!【倫理第1回】

みなさん、こんにちは。倫理の時間です。突然ですが、あなたなら「人間とは何か?」という問いにどう答えますか?

 

二足歩行できる動物とか?言葉や表情でコミュニケーションをとることができるとか?

いろいろありすぎてわからないなぁ…。

たなかくん
たなかくん

 

難しい質問ですよね。人によって出てくる答えは異なるでしょう。

 

実は先人たちもあなたと同じように、「人間とは何か?」という問いに立ち向かってきたのです。彼らが人間をどのように定義したのかを本記事で見ていきましょう。

この記事からわかること

・先人が考えた人間の定義(ホモ・サピエンスやホモ・ファーベルなど)

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人間とは何か

(ヒト:wikiより)

各哲学者が考えた人間の定義は以下のとおりです。

※左が人物名、右が人間の定義です。

  • アリストテレス:ポリス的動物
  • リンネ:ホモ・サピエンス
  • ベルクソン:ホモ・ファーベル
  • ホイジンガ:ホモ・ルーデンス
  • エリアーデ:ホモ・レリギオースス
  • カッシーラー:シンボル的動物
  • アダム・スミス:ホモ・エコノミクス

1つずつ解説します。

ポリス的動物【アリストテレス】

ポリス的動物とは、古代ギリシャの哲学者アリストテレスが提唱した概念です。アリストテレスは、人間を下記のように定義しました。

 

  • 人間=他人と一緒に共同体の中で生きる社会的動物

 

つまり、人間は単なる個人ではないと考えていたわけです。

 

アリストテレスはアリやミツバチと同じく、人間も群れるからこそ人間であると考えたんだね。
たなかくん
たなかくん

ホモ・サピエンス【リンネ】

一方スウェーデンの植物学者リンネは、人間を「知性をもつ存在」と捉え、ホモ・サピエンスと定義しました。

 

S先生
S先生
ホモ・サピエンスは、日本語で「英知人」と訳されます。ちなみに、「ホモ」はラテン語で「人間」のことです。

人間は考える葦である【パスカル】

ただ、人間の知性に着目したのはリンネだけではありません。

 

フランスの思想家パスカルは、「人間は考える葦である」という言葉をのこしました。彼は、人間を自然の中で最も弱い存在とした一方、考えることに人間の偉大さを見出したのです。

ホモ・ファーベル【ベルクソン】

ホモ・ファーベルは、フランスの哲学者ベルクソンが提唱した概念です。

 

ベルクソンは、道具を製作・使用して自然を改変しようとする能動的性格こそが人間の本質だと主張しました。

 

ホモ・ファーベルは、日本語で「工作人」と訳されます。

ホモ・ルーデンス【ホイジンガ】

ホモ・ルーデンスは、オランダの歴史学者ホイジンガが定義した人間観です。日本語で「遊戯人」と訳されます。

 

ホイジンガは「遊び」こそが、学問や芸術などの文化を生み出したと考えました。

 

ホイジンガが提唱する遊びの特徴って何?
たなかくん
たなかくん

 

遊びの主な特徴は下記の3つです。

  1. 物質的な利益や効用とは関係のない、自由で自発的な行為
  2. 限定された時間と空間の中でおこなわれる
  3. 一定のルールに従って秩序正しく進められる

ホモ・レリギオースス【エリアーデ】

ホモ・レリギオーススは、ルーマニアの宗教学者エリアーデが提唱した概念です。宗教人ともいいます。

 

エリアーデは人間を「自らを超える力のある神や世界にまなざしを向ける存在」と定義しました。

シンボル的動物【カッシーラー】

シンボル的動物は、ドイツの哲学者カッシーラーが提唱した人間観です。

 

カッシーラーは人間の言語・神話・芸術・宗教などの象徴の世界に注目しました。そして人間を、言語や記号などの意味を表すシンボル(象徴)を扱う動物と定義したのです。

ホモ・エコノミクス【アダム・スミス】

ホモ・エコノミクスは、アダム・スミスが提唱した概念です。日本語では「経済人」と訳されます。

 

アダム・スミスは、人間を自己の経済利益(経済的合理性)を第一に考えて利己的に行動する生き物と定義しました。

入試問題にチャレンジ

問 下線部ⓔのベルクソンは人間を「ホモ・ファーベル」と捉えているが、これに関連して、人間性の特徴を示す次のア~エの言葉は、A~Dのどれを表したものか。その組合せとして正しいものを、下の①~⑧のうちから一つ選べ。

 

ア ホモ・ファーベル イ ホモ・ルーデンス

ウ ホモ・サピエンス エ ホモ・レリギオースス

 

A 人間は知恵をもち、理性的な思考能力をそなえた存在である。

B 人間は道具を使って自然に働きかけ、ものを作り出す存在である。

C 人間は自らを超えるものに目を向け、宗教という文化をもつ存在である。

D 人間は日常から離れて自由に遊び、そこから文化を作り出す存在である。

 

① ア-A イ-B ウ-C エ-D

② ア-A イ-C ウ-B エ-D

③ ア-B イ-D ウ-A エ-C

④ ア-B イ-A ウ-D エ-C

⑤ ア-C イ-B ウ-D エ-A

⑥ ア-C イ-D ウ-B エ-A

⑦ ア-D イ-C ウ-A エ-B

⑧ ア-D イ-A ウ-C エ-B

2012年 センター試験 本試験 倫理 第4問 問5より)

正解:② インドが地下核実験を成功させたのに呼応して、パキスタンも1998年に地下核実験を成功させています。よって誤文は②です。
正解:③
ア:ホモ・ファーベルは、道具を使って環境を作り変えることこそが、人間の本質だとする考え方です。日本語では「工作人」と訳されます。選択肢の中で「道具」というキーワードが含まれているのはBのみなので、Bが正解です。
イ:ホモ・ルーデンスは、オランダの歴史学者ホイジンガが提唱した人間観を表す言葉です。ホイジンガは人間を「遊びによって学問や芸術などの文化を生み出す存在」と考えていました。よって、選択肢の中で「遊び」というキーワードが含まれているDが正解です。
ウ:ホモ・サピエンスは、知性こそが人間の本質と捉える考え方です。日本語では「英知人」と訳されます。よって選択肢に「知恵」「理性的な思考能力」という言葉が含まれるAが正解です。
エ:ホモ・レリギオーススは、ルーマニアの宗教学者エリアーデが提唱した概念です。エリアーデは人間を以下のように定義づけました。
「人間=超越した力をもつ神や世界にまなざしを向ける存在」
選択肢の中でエリアーデの概念の説明として最も適当なのは「自らを超えるものに目を向け」「宗教」という言葉が含まれるCです。

 

問2:④
国連総会で採択された場合であっても、条約は関係各国の批准があってはじめて効力が生じるので誤りです。

まとめ

ここまで各哲学者が人間をどのように定義づけしたかについて解説しました。今回の学習内容のおさらいです。

哲学者人間の定義キーワード
アリストテレスポリス的動物社会的動物
リンネホモ・サピエンス知性(理性)
ベルクソンホモ・ファーベル道具
ホイジンガホモ・ルーデンス遊び
エリアーデホモ・レリギオースス宗教
カッシーラーシンボル的動物象徴(言語・記号など)
アダム・スミスホモ・エコノミクス経済的合理性

上記の表の哲学者・人間の定義・キーワードはまるごと覚えておきましょう。

 

この記事を読んで先人たちの人間観についてマスターしていただければ幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

 

次回の記事「青年期とは?歴史・特徴・課題についてわかりやすく解説【倫理第2回】」をご覧ください。

青年期とは?歴史・特徴・発達課題についてわかりやすく解説【倫理第2回】
今回のテーマは、青年期です。この記事では以下の内容が学べます。 この記事からわかること ・青年期の歴史 ・青年期の特徴 ・青年期の発達課題 初学者にも内容を十分に理解してもらえるよう、わかりやすく解説しました。 また記事の後半には、今回のテ...

 

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