一次不等式の解き方が分かって問題が解ける!演習問題つき!【数学IA】

みなさん、こんにちは。今回のテーマは、一次不等式の解き方を解説します。「一次方程式なら中学校で習ったけど…」という感じでしょうか。不等式特有の性質はありますが、不等号が出てきただけで、基本的には一次方程式と解き方は変わりません。

 

この分野は、これまで習った一次方程式を少し発展させたとはいえ、まだまだ基本的な計算の分野です。試験では、この分野を踏まえて、文章問題や証明問題などが出されます。

 

今回の記事では一次不等式を最初から解き方を含め解説し、問題演習をしていきます。しっかりと繰り返し力をつけていきましょう。

この記事を読んでできること・一次不等式とは何かがわかる

・一次不等式の解き方がわかる

・一次不等式の問題演習を通じて一次不等式を解ける

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一次不等式とは?

不等式とは、不等号(≦、≧、<、>)を用いて大小を表している式のことです。中学校で習った不等式を思い出してみましょう。

$$4 \text{≦} 7$$

高校数学では、これを発展させて、文字を含む一次不等式を解けるようにします。一次方程式と解法はとてもよく似ていますが、答えはある特定の値ではなく、\(x \text{≦} 2\)や\(a>5\)といった範囲を表す形になります。

 

では、一次不等式を特にあたって、一次方程式と共通する性質・共通しない性質をみていきます。新たに覚える箇所は、共通しない部分のみです。

一次方程式と共通する性質

すべて\(A<B\)であるとします。「大なり」「小なり」の等号の記号の向きが問題となります。

   一次不等式の性質①

\(A+C<B+C\)、\(A-C<B-C\)
不等式の両辺に同じ数を足したり引いたりしても、不等号の向きは変わりません。正直、「数と式」で触ったような普通の計算を行うだけで、等号の向きに変化はないのです。

   一次不等式の性質②

\(C>0\) ならば、\(A\times C<B\times C\)、\(A\div C<B\div C\)
不等式の両辺に同じ正の数をかけたり、また両辺を同じ正の数で割ったりしても、不等号の向きは変わりません。これは①の足す、引くの話と一緒です。

一次方程式と異なる性質

一次不等式を解くときはこの性質に注意です。負の整数の「かける」と「割る」について問題となります。(正の整数は問題になりません)

   一次不等式の性質③

\(C<0\) ならば、\(A\times C>B\times C\)、\(A\div C>B\div C\)
不等式の両辺に同じ負の数をかけたり、また両辺を同じ負の数で割ったりすると、不等号の向きが変わります。

 

それでは、これらの性質を使って、問題を解いてみましょう。

一次不等式を解いてみよう!

まずは、基本的な例題からです。

例題不等式\(x+5<3x-6\) を計算せよ。

求める\(x\)を左辺に集めるのは、一次方程式と同じです。このときに使っているのは、不等式の性質①です。

$
\begin{array}{rcll}
x-3x&<&-5-6\\
-2x&<&-11\hspace{5mm}&\cdots(1)
\end{array}
$

答えを求めるには、両辺を\(-2\)で割る必要があります。ここで思い出すのは、不等式の性質③です。

不等式の両辺に同じ負の数をかけたり、また両辺を同じ負の数で割ったりすると、不等号の向きが変わります。

よって、
\(x>\frac{11}{2}\)

 

この例題では、不等式の性質③を使いました。覚えるのが苦手で…という人、次のように考え方を変えると、覚えることが少なくなります。

 

通常では、左辺に\(x\) を含む項を、右辺に定数項をまとめるようにしますね。それを、左辺・右辺どちらでもよいので、\(x\)を含む項を、係数が正の数になるように移動させるのです。式\((1)\) から、左辺\(-2x\)を右辺に、右辺\(-11\)を左辺にうつします。

$
\begin{array}{rcll}
11&<&2x\\
\frac{11}{2}&<&x\\
x&>&\frac{11}{2}
\end{array}
$

最後、答えとして\(x\) の範囲を記入するときは、\(x\) が左辺になるように不等号を含めて書き換える必要がありますが、こちらの方がわかりやすいという人は、この方法で計算を進めるのもいいでしょう。

 

前回習った、絶対値を含む問題もあります。絶対値を覚えていない人は「【数学IA】絶対値と平方根を理解しよう!」をみてください。

 

例題\(|3x-8|>4\)を計算せよ。

絶対値の問題、大事なことは何でしたか?

 

そうです。絶対値をはずすときは、中身の符号で場合分けです。これは不等式でも等式でも同じです。

 

(1) \(3x-8>0\) のとき、つまり\(x>\frac{8}{3}\) のとき

$
\begin{array}{rcll}
3x-8&>&4\\
3x&<&12\\
x&<&4
\end{array}
$

図示してみます。ピンクで示す範囲は一次不等式を解いて求めた\(x\) の範囲です。青で示す範囲は場合分けから求めた\(x\)の範囲です。(どちらの範囲も、\(x=4\)、\(x=\frac{8}{3}\) を含まないので、白い〇で表現してあります。)

場合分けから求めた、絶対値をはずす条件(=青の範囲)の中に、不等式の解が含まれていなければなりません。つまり、青とピンクの矢印が重なっている部分が答えになります。

よって、この場合は、\(\frac{8}{3}<x<4\)

頭の中だけで計算しようとするとミスしやすいです。簡単でいいので、必ず数直線を書いて確認するようにしましょう。

(2) \(3x-8=0\) のとき、つまり\(x=\frac{8}{3}\) のとき

問題で与えられた数式において、

左辺\(=0\)
右辺\(=4\)

となり、数式がなりたたないので、不適。

(3) \(3x-8<0\) のとき、つまり\(x<\frac{8}{3}\) のとき

$
\begin{array}{rcll}
-(3x-8)&>&4\\
-3x+8&<&4\\
-3x<-4\\
x>\frac{4}{3}
\end{array}
$

この場合も図示します。

この場合、両方の範囲を満たすのは、\(\frac{4}{3}<x<\frac{8}{3}\)

よって、答えは、

\(\frac{4}{3}<x<\frac{8}{3}\)および\(\frac{8}{3}<x<4\)

 

定期テストで出る一次不等式の問題は、文章問題もあります。

例題みかんが\(1\)箱\(50個\)入り\(1500\)円で売られており、\(51\)個目からは\(1\) 個あたり\(20\)円で売られている。このとき、みかん\(1\)個あたりの値段が\(25\)円以下にするには、みかんを何個買えばよいか答えよ。

一次不等式の文章問題では、ポイントは二つ。
① 求める値を\(x\)とおく。
② 「A以下にしたい」や「B以上C未満になるように」という箇所を不等式にする。

まず、ポイント①に従って、みかんを\(x\) 個買うとします。

ポイント②に従うと、作る不等式は、(みかん\(1\) 個の値段)\(\text{≦} 25\) です。

\(50\) 個を超えたみかんの値段は、\(50\) 個を超えたみかんの数 \(=x-50\)となるので、\(20\times(x-50)\) 円となります。

よって、

$$みかん1個の値段=\frac{みかんの総額}{みかんの総数}=\frac{1500+20\times(x-50)}{x}$$

これが、\(25\) 円以下になるようにするには、

\(\frac{1500+20\times(x-50)}{x}\text{≦}25\)

計算自体は簡単なので、省略します。よって答えは、\(100\) 個以上。

例題は以上です。

 

今回も、場合分けが重要ポイントです。図示して解くのが、ミスをしないコツです。繰り返し練習して、確実に解けるようにしておきましょう。

 

前回の記事「【数学IA】因数分解の計算の簡単な解き方(たすき掛けの方法も解説)も合わせてお読みください。

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