みなさん、こんにちは。今回は、数学IA【因数分解】について解説していきます。高1数学で勉強し始めたらおそらく最初につまづくのが因数分解の問題でしょう。
因数分解とは「足し算や引き算で表された数式を、二つ以上の単項式や多項式の掛け算のかたちにすること」と高1数学で習います。でも、文字で解説されてもちょっと…となりますよね。
そこで、今回は、因数分解とは何かを図解で説明した後、2乗の公式やたすき掛けとともに因数分解のやり方を解説します。そして、みなさんが因数分解の計算問題を簡単に解けるようになることを狙っています。また、3乗の因数分解の問題も解けるよう解説していきます。
因数分解の解法では「共通因数でくくる」とか「たすき掛け」など専門用語が頻出するので、わかりにくければ解説を丁寧に読んでいただければ因数分解の問題を難しいと感じていたのが簡単と感じれるようになるでしょう。それでもわからなければコメントをいただければ返答させてもらいます。
因数分解は、本当に基本的な分野ですので苦手にすることなく因数分解の計算ができるようしっかりと理解していきましょう。
・因数分解の解法(共通因数でくくる形とたすき掛け)を解説し、問題を解いてみる
・因数分解の2条の公式と3乗の公式を理解し、問題を解けるようになる
そもそも因数分解とは?
因数分解とは何でしょうか?先程述べましたが、「足し算や引き算で表された数式を、二つ以上の単項式や多項式の掛け算のかたちにすること」ということです。文章で読むとわかりにくいですね。例を見てみましょう。
では、その使い方は…というと、上の例に出てくる、x+3やx+4、x2+7x+12などは、xにある数字を入れると、それぞれ特定の数字になります。
左側の(x+3)(x+4)は掛け算の形になっているので、同じ項目((x+3)や(x+4)など)があれば、掛け算や割り算など、xが含まれたままでも計算をすすめることができます。
一方、右側では、xが何の数字かわからないままでは、これ以上計算を進めることができません。これは後々出てくる、二次方程式・三次方程式などで、必要になります。
因数分解の解法【共通する数字や文字でまとめる】
最初にクリアするハードルは、「すべての項に共通する数字や文字でまとめる」です。大事なことは「すべての項に共通する」ということです。まずは例題から。
答えは
です。これができれば、因数分解のカテゴリーで0点を取ることはありません。
因数分解の2乗の公式!
因数分解には公式があります。一つ目のハードルをクリアしたら、次にすることはその公式を覚えることです。因数分解の2乗の公式がこれです
aやbには具体的な数字が入ります。(もしかすると、教科書にはもう一つ公式が書かれているかもしれませんが、後ほど別の解法と一緒に説明したいと思います。)
①と②はプラスかマイナスだけの違いなので、ひとまとめにして覚えます。そうするとここで覚えるのは、実際には公式2つ分。暗記はほんとうに苦手で…という方は、右辺だけ覚えて、テスト中に式を展開して公式を導き出すという方法もあります。
それぞれ、公式を思い出してあてはめます。
答えは、
です。
因数分解の解法【たすき掛け】
まずは公式から。
解き方を説明する前に、公式をよく見てみましょう。
左辺x2の係数はacで、右辺でのxの二つの係数の積です。…(1)
左辺定数項はbdで、右辺での二つの定数項の積です。 …(2)
この関係を踏まえて、解き方へすすみます。
では、なぜこの解法をたすきがけと呼ぶか?それは下のような図を使って解くのがわかりやすいからです。中央のピンクと青のクロスがたすきがけのように見えるからです。
さぁ、たすきがけを使って、例題を解いてみましょう。
まずは、x2の係数と定数項に注目します。
掛け合わせて6になる二つの数 …(ア)
掛け合わせて-15になる二つの数 …(イ)
を考えます。
(ア)の組み合わせは2と3。(イ)の組み合わせは3と-5か、5と-3。
最初に(ア)2と3、(イ)3と-5の組み合わせを考えてみます。
ピンク・青のラインでつながれた数字どうしを掛け合わせ、それぞれの色の矢印の先に結果を書きます。
9と-10を足すと、-1になり、xの係数と一致するので、さきほど考えた(ア)と(イ)の組み合わせは正しかったということになります。ということで、例題の答えは、
ちなみに、(イ)のもう一つの組み合わせ5と-3をたすきがけの図にあてはめてみると…
ピンク・青のそれぞれの積を足すと、9となり、xの係数と一致しません。つまり、この組み合わせは例題の答えとしては正しくありません。
ここまで来ると、例題を解きはじめるとき数字の組み合わせ(ア)(イ)を考えたプロセスは、公式から見えた係数の関係(1)(2)を考えるプロセスだったということがわかります。
たすきがけの図は、それを考えやすくするためのツールだったということです。
実は、たすきがけの解き方を使えば、2乗の公式を覚えなくても、2乗までの因数分解はできます。暗記が嫌いだという方は、たすきがけだけでここまで出てきた問題には対応できます。
たすきがけ、正直、なんだか理解できたのかできてないのかわからないような印象があると思います。自分の中に定着させるには、繰り返し使ってみることが大事です。
ということで、もう一問。
解き方です。まずは、基本の基本に戻ります。
すべての項目に共通する数や文字を探します。
この場合は、2です。
6x2-26x+24 = 2(3x2-13x+12)
そして、たすきがけです。x2の係数と定数項に注目でしたね。「掛け合わせて3になる二つの数」と「掛け合わせて12になる二つの数」を考えます。
掛け合わせて3になる二つの数は、1と3の一種類です。
掛け合わせて12になる二つの数は、1と12、2と6、3と4の三種類と、その負の組み合わせ-1と-12、-2と-6、-3と-4が三種類、合計六種類です。
このとき、xの係数を見ます。-13です。マイナスの値です。ということは、定数項の、「掛け合わせて12になる二つの数」は、両方ともマイナスの値となります。つまり、-1と-12、-2と-6、-3と-4の三種類に絞られます。
この組み合わせのうち、たすきがけがうまくいくのは、以下の組み合わせです。
よって、例題の答えは、
解いていく途中で、組み合わせが数パターン出てくることがあります。そのときは、あてはまりそうだなという組み合わせでたすきがけを試して、正しい組み合わせを探します。
最初は何パターンもたすきがけを試すことになりますが、慣れていくと「あ、この組み合わせがあやしいな」とわかるようになりますので、ここは繰り返し練習あるのみです。
因数分解【3乗の公式】
因数分解の計算の完全攻略まで、あと少しです。次は3乗の公式です。こちらもまずは覚えましょう。
2乗の公式とリンクさせて覚えると覚えやすいと思います。もちろん、因数分解した結果(公式の右辺)だけを覚えて、テスト中に展開して公式を導き出しても構いません。
ここまでできたら満点も夢じゃない?最後は置き換え!
最後のステップです。ここまでできるようになったら、もう因数分解で困ることはありません。
例題を解きながら、置き換えについて説明します。
公式もあてはまらなさそう、しかも文字がxとyの二つも!なんて恐れる必要はありません。こういう問題が出たら、ひとまず最低次数の文字で整理してみます。
x3+4x2+2y(x+4)
よく見ると、x+4という共通な部分があるので、まとめてみます。
x2(x+4)+2y(x+4)
ここで使うのが、置き換えです。x+4=Aと置き換えます。
Ax2+2Ay = A(x2+2y)
となり、最後にA=x+4と置き換えた式を代入して完成です。
x3+4x2+2xy+8y = (x+4)(x2+2y)
置き換えは、最後に置き換えた式を代入することを忘れてはいけません。
この問題を解くとき、一度すべてを展開し、基本に戻って因数分解するという方法もあります。
(3x+2)2+5(3x+2) = 9x2+12x+4+15x+10
= 9x2+27x+14 = (3x+2)(3x+7)
ですが、置き換えを使うと、もっと短時間で解けます。A = 3x+2と置き換えます。
(3x+2)2+5(3x+2) = A2+5A
= A(A+5)
= (3x+2)(3x+2+5)
= (3x+2)(3x+7)
因数分解まとめ
では、最後に、因数分解の問題が出たときの手順をまとめます。これで因数分解のどんな難問も必ず解くことができます。
① 共通項でまとめる。
すべての項に共通する数や文字でまとめます。
② 公式にあてはめる。
2乗・3乗、どれかの公式があてはまらないか、探す。
③ たすきがけを使う。
考えられる数字の組み合わせを試します。練習を重ねると、あやしい組み合わせがパッとわかるようになってきます。
④ 置き換えを使う。
因数分解は、因数分解すること自体よりも、この後に出てくる二次方程式や三次方程式を解くときに重要になります。繰り返し練習して、苦手なステップがあれば克服しておきましょう。
HIMOKURIでは数学について色々と解説しています。場合の数についての記事「【数学1Aの攻略】場合の数を解説!公式を使って問題を解いてみよう」はこちら。
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