みなさん、こんにちは。数学ⅡBのコーナーです。今回のテーマは【2倍角の公式】【半角の公式】です。
気を落とすのはまだ早いです。
前回、加法定理の解説でお伝えしたとおり、三角関数で覚えなくてはいけない公式は加法定理までです。
すなわち、今回勉強する2倍角の公式、半角の公式は必ずしも覚えている必要はありません。
じゃあ見なくていいか…、そう思った人もいるでしょう。しかし、一度思いとどまってください。
たしかに2倍角の公式、半角の公式は、すでに勉強した公式から導くことができます。
ただし、まったくやり方を知らない人と、完全に覚えてはいなくてもなんとなくの流れを覚えている人、どちらが早く問題を解けるかは考えるまでもありません。
ということで、今回は2倍角の公式・半角の公式について勉強していきます。
・2倍角の公式・半角の公式の導き方がわかる
・自分で実際に倍角の公式・半角の公式をつかえる
2倍角の公式とは?
2倍角の公式とは、その名のとおり$2\theta$についての公式です。
では、2倍角の公式はどのように導くことができるのでしょうか?
もしかすると、「2倍」と聞いてピンときた人もいるかもしれません。
正解は…
加法定理です。
では、まず$\sin2\theta$を求めましょう。
$\sin2\theta=\sin(\theta+\theta)$
$=\sin\theta\cos\theta+\cos\theta\sin\theta$
$=2\sin\theta\cos\theta$
続いて、$\cos2\theta$を求めましょう。
$\cos2\theta=\cos(\theta+\theta)$
$=\cos\theta\cos\theta-\sin\theta\sin\theta$
$=\cos^{2}\theta-\sin^{2}\theta$…①
$\sin^{2}\theta+\cos^{2}\theta=1$なので、
①は$1-2\sin^{2}\theta$, $2cos^{2}\theta-1$とも変形できます。
$\tan$についても同様のことを行うと、次のようにまとめることができます。
$$\sin2\theta=2\sin\theta\cos\theta$$
$$\cos2\theta=\cos^{2}\theta-\sin^{2}\theta$$
$$\cos2\theta=1-2\sin^{2}\theta$$
$$\cos2\theta=2cos^{2}\theta-1$$
$$\tan2\theta=\frac{2\tan\theta}{1-\tan^{2}\theta}$$
半角の公式とは?
半角の公式とは、その名のとおり$\frac{\theta}{2}$についての公式で、次のようにまとめることができます。
$$\sin^{2}\frac{\theta}{2}=\frac{1-\cos\theta}{2}$$
$$\cos^{2}\frac{\theta}{2}=\frac{1+\cos\theta}{2}$$
$$\tan^{2}\frac{\theta}{2}=\frac{1-\cos\theta}{1+\cos\theta}$$
実は、この半角の公式は、2倍角の公式から導くことができます。
$\sin$を例に考えてみましょう。
2倍角の公式より、$\cos2\alpha=1-2\sin^{2}\alpha$
すなわち、$\sin^{2}\alpha=\frac{1-\cos2\alpha}{2}$
この式で$\alpha=\frac{\theta}{2}$とおくと
$sin^{2}\frac{\theta}{2}=\frac{1-\cos\theta}{2}$
$\cos$、$\tan$のついても同様にして導けます。
練習問題を解いてみよう
$-\frac{\pi}{2}<\theta<\frac{\pi}{2}$において、$\sin\theta=\frac{2}{3}$のとき、$\sin2\theta$の値を求めよう。
解答
$-\frac{\pi}{2}<\theta<\frac{\pi}{2}$において、$\sin\theta=\frac{2}{3}$のとき、$\sin2\theta$の値を求めましょう。
2倍角の公式から、$\sin2\theta=2\sin\theta\cos\theta$
$\cos^{2}+\sin^{2}=1$より
$\cos^{2}=1-\frac{4}{9}=\frac{5}{9}$
$-\frac{\pi}{2}<\theta<\frac{\pi}{2}$より
$\cos\theta=\frac{\sqrt{5}}{3}$
よって、$\sin2\theta=2\times \frac{2}{3} \times \frac{\sqrt{5}}{3}$
整理して、$\sin2\theta=\frac{4\sqrt{5}}{9}$
今回のまとめ
今回は、2倍角の公式・半角の公式について解説しました。
2倍角の公式が加法定理から、半角の公式が2倍角の公式から導けることを理解してもらえたことでしょう。
はじめに述べたように、2倍角の公式・半角の公式は暗記しておかなければならないわけではありません。しかし、今回勉強した公式の導き方を頭に入れておくことで、問題を解くスピードを上げることができます。
しっかりと復習して、より早く問題を解けるようになりましょう。
今回もおつかれさまでした。
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