【受験に役立つ古文】尊敬の意味を持つ本動詞と助動詞(敬語の古典文法)

みなさん、こんにちは。今回も受験に役立つ古文シリーズを行っていきます。今回のテーマは古文の敬語のうちの尊敬語の意味を持つ本動詞と助動詞です。古文の文法で敬語は受験勉強の古文で意味解釈を行う上で大事な部分です。というのも古文で敬語は動作主を推測するために使い、動作主を問う問題が試験に頻出だからです。

 

受験生にとって敬語は必ずマスターしておきた分野です。その敬語の中で尊敬の本動詞及び助動詞について理解するのが少し難しかったりします。ですので、今回尊敬の本動詞及び助動詞をマスターすることが国語の高得点をとる第一歩と言えるでしょう。

 

そんなみなさんに今回の記事のポイントを示すと

今回のポイント

・そもそも尊敬語とは敬語の中でどういう意味をもつのか?
・尊敬の意味を示す本動詞とは何か?補助動詞との違いは何か?
・尊敬の意味を示す助動詞(る、らる、す、さす、しむ)の識別方法は?

 

という形になっています。練習問題もつけてますので自身の理解を深めるためにも実際に解いてみましょう。

ちなみに、尊敬語の補助動詞については「【受験に役立つ古文】尊敬の補助動詞(敬語の古典文法)」について書かれています。まだ読んでいない人はそちらも読んでください。

今回は、敬語の基本的な理解も盛りだくさんな内容ですが、一つずつしっかり習得していきましょう。


そもそも敬語の種類とは?尊敬の意味について

まずは、尊敬の本動詞を勉強する前に敬語の種類の確認しましょう。敬語が理解できれば動作主が判別できるので、主語を探すときに大きな手掛かりになります。そして、そもそも、敬語とは、「ある人物に対して敬意を示すために用いる言葉」です。敬語の種類は3つあります。それぞれが敬意を示す対象を説明できるようにしましょう。

 

-尊敬語 その動作をする人物(動作主)に対する敬意を示す(口語訳:「お~になる」「~なさる」)
-謙譲語 その動作を受ける人物(動作の受け手)に対する敬意を示す(口語訳:「お~する」「~申し上げる」)
-丁寧語 読み手(聞き手)に対する敬意を示す(口語訳:「~です」「~ます」「~ございます」)

 

そして、今回の課題は尊敬語ですから、「動作主に対する敬意を示す語」について学びます。

尊敬の意味を表す動詞の本動詞と補助動詞

まず、今回「尊敬語の本動詞」です。では、本動詞とはどのようなものでしょうか?本動詞とは「動詞本来の意味を表す動詞」です。次の2つの例文を比べてみてください。

 

A 花給ふ
B 花を見給ふ

 

Aは「花をくださる」と、「給ふ」が「くださる」という本来の意味で用いられています。これが本動詞です。
Bは「花を見なさる」と、「給ふ」が本来の意味ではなく、「見る」という動詞に尊敬の意味を付け加える働きをしています。これを補助動詞といいます。

 

敬語では、使われているのが本動詞なのか、補助動詞なのかを見分けることが大変重要です。

 練習問題

次の下線部の敬語動詞のうち、本動詞はA、補助動詞はBとそれぞれ答えよう。

 

(1) 人々ささげ物奉りけり。
(2) かぐや姫を養ひ奉ること二十余年になりぬ。
(3) 大納言泣きたまふ
(4) 帝御衣たまふ
(5) 神仏に申す

 解答と解説

A 「奉る」が本来の意味で使われているので、本動詞である。
口語訳:人々はささげ物を差し上げ

B 「奉る」は直前の「養ふ」に謙譲の意味を付け加える働きをしているので補助動詞である。
口語訳:かぐや姫を養い申し上げることは、二十年余りになった。

B 「たまふ」は直前の「泣く」に尊敬の意味を付け加える働きをしているので補助動詞である。
口語訳:大納言はお泣きなさる。

A 「たまふ」が本来の意味で使われているので、本動詞である。
口語訳:帝は御衣をくださる。

A 「申す」が本来の意味で使われているので、本動詞である。
口語訳:神仏に申し上げる。

今回の課題は尊敬語の本動詞ですから、「本来の意味で用いられる敬語動詞」について学びます。補助動詞については「【受験に役立つ古文】尊敬の補助動詞(敬語の古典文法)」について書かれています。

尊敬語の本動詞

尊敬語の本動詞は、意味も含めて覚える必要があります。覚えてさえしまえば、

 

-その語が尊敬語かどうか
-その語の意味

 

がすぐに判別できるようになり、古文を読む時に大きな力になります。具体的には以下の動詞があります。覚えてしまいましょう!

尊敬意味を持つ本動詞 意味 本来の動詞
遊ばす 詩歌、管弦の遊びをする 遊ぶ
いまそかり いらっしゃる あり、をり
おはす、おはさうす、おはします いらっしゃる、おいでになる あ(有)り、を(居)り、行く、来
おほす(仰す)、おほ(仰)せらる おっしゃる、命じる 言ふ
おほとのごもる(大殿篭る) おやすみになる ぬ(寝)、寝ぬ
聞こす、聞こし召す お聞きになる、お召しあがる、お飲みになる、お治めになる 聞く、食う、治む
ご覧ず、見そなわす ご覧になる 見る
し(知)ろしめす、しらしめす お知りになる、お治めになる 知る、治める
たてまつ(奉)る、め(召)す 召し上がる、お飲みになる、お乗りになる 飲む、食う、着る、乗る
たま(給・賜)う、た(給・賜)ぶ、たま(給・賜)わす お与えになる 与う
つか(遣)わす おやりになる や(遣)る
のたま(宣)ふ、宣はす おっしゃる 言う
ます、います、まします いらっしゃる、おいでになる あ(有)り、を(居)り
まゐ(参)る 召し上がる、お飲みになる、お召しになる、お乗りになる、なさる 食う、飲む、着る、乗る
め(召)す お呼びになる、お取り寄せになる、お乗りになる、任命なさる よ(呼)ぶ

数は限られていますので、古文単語のテキストなどを用いて、一つずつ丁寧に覚えていきましょう。

 練習問題

次の下線部の尊敬の本動詞の意味をそれぞれ答えましょう。

1 くらもちの皇子おはしたり。
2 「和歌の船に乗り侍らむ」とのたまひて、
3 笑ひののしるを上にも聞こしめして渡りおはしたり。
4 壺なる御薬奉れ
5 翁をいとほし、かなしとおぼしつることも失せぬ。

 解答

解答は以下の通りです。しっかりと確認してください。

くらもちの皇子がいらっしゃった。

「和歌の船に乗りましょう」とおっしゃって、

大声で笑うのを帝もお聞きになってお渡りになった。

壺にあるお薬を召し上がれ

翁を気の毒だ、かわいそうだとお思いになったことも消えてしまった。

以上で、尊敬の本動詞の練習問題でした。テキストなどでしっかり確認をしておきましょう!おすすめの文法のテキストを合わせてお伝えします。こちらのテキストも合わせて読むといいと思います。

注意しなければならない動詞(超重要)

敬語の意味を表す動詞で、1つの動詞で、二つ以上の敬語の種類にまたがり、複数の意味を持つものがあります。かなりわかりにくいのでしっかりと理解してください。

 本動詞の「奉る」

「奉る」という動詞は、「与ふ」の謙譲語(差し上げる)であることが多いです。しかし、「着る」「乗る」「食ふ・飲む」の尊敬語になる時もあります

例)まだ、御裳、唐の御衣奉りながらおはしますぞ、いみじき。口語訳:まだ、御裳、唐の御衣をお召しになって(その場所に)いらっしゃる様子は、大層すばらしい。

 本動詞の「参る」

動詞の「参る」は「行く・来」の謙譲語(参上する)であることが多いです。ただ、「食ふ・飲む」の尊敬語になる時もありますので注意が必要です。

例)大御酒参り、御遊びなどし給ふ。
口語訳:お酒を召し上がり、管弦のお遊びなどをしなさる。

尊敬の助動詞

尊敬の意味を付け加える助動詞は2つあります。とりわけ「る、らる」については「古典 古文助動詞「る」「らる」について」で詳しい解説をしているのでそちらも併せてご覧ください。

る・らる(未然形接続)―受身・尊敬・自発・可能

《見分け方》
-動作の主語が身分の高い人、敬いたい人である場合は尊敬の意味
-「仰せらる」の「らる」は必ず尊敬
-「給ふ」「られ給ふ」の「れ(る)」「られ(らる)」は絶対に尊敬にならない

 練習問題

次の下線部の「る・らる」のうち、尊敬の意味で用いられているものを全て答えよう。

1 つゆまどろまず、明かしかねさせたまふ。
2 折々のこと思ひいでて、よよと泣か給ふ。
3 大夫敦盛とて、生年十七にぞならける。
4 また姑に思はるる嫁の君。
5 「歌一つ書け」と仰せられければ、

 解答&口語訳

3・5

1 少しもうとうとすることができず、夜を明かしかねなさる。→可能
2 折々のことを思い出して、おいおいと自然とお泣きになる。→自発
3 大夫敦盛といって、生年十七歳になりになった。→尊敬
4 また姑に思われる嫁の君。→受身
5 「和歌を一首書け」と仰ったので、→尊敬

す・さす・しむ(未然形接続)―使役・尊敬

《見分け方》
-おはす・おはします」などの尊敬がないときは必ず使役
-下に「給ふ・おはす・おはします」などの尊敬語があるときは、使役か尊敬の判断が必要

→使役の対象がある場合は使役と判断する
例)女房に歌読ま給ふ。
下に尊敬の補助動詞「給ふ」が付いているが、「女房に」と使役の対象があるため、「せ(す)」は使役の意味である

 練習問題

次の下線部の「す・さす・しむ」のうち、尊敬の意味で用いられているものを全て答えよう。

1 御年三十にぞならおはしましける。
2 燕の巣に手を差し入れさせて探りけり。
3 関白殿、黒戸より出でさせ給ふとて、
4 内にも、このかたに心得たる人々に弾か給ふ。

 解答&解説

1・3

1 下に「おはします」があり、また使役の対象がないため尊敬である。
(口語訳)御年三十歳におなりになった。
2 下に尊敬を示す語がないため、使役である。
(口語訳)燕の巣に手を差し入れさせて探った。
3 下に「給ふ」があり、また使役の対象がないため尊敬である。
(口語訳)関白殿が、黒戸よりお出になったといって、
4 下に「給ふ」があるが、「このかたに心得たる人々に」と使役の対象があるため、使役である。
(口語訳)帝も、この方面に心得のある女房たちに弾かせなさる。

まとめ

敬語を習得するには、文章をたくさん読むこと、そして、問題をたくさん解くことが一番の近道です。問題集などを積極的に解いたり、古文を口語訳するときに意識したりするなど、日頃の学習を敬語の習得に役立てていきましょう。

尊敬語の補助動詞についてはこちら「【受験に役立つ古文】尊敬の補助動詞(敬語の古典文法)

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