古典の謙譲語まとめ【古典文法・敬語】補助動詞・本動詞一覧と敬意の方向の見分け方

古典文法の敬語の中で最も複雑なのが謙譲語です。尊敬語が「動作の主体を高める」のに対し、謙譲語は「動作の受け手を高める(動作の主体をへりくだらせる)」という仕組みになっています。同じ語が本動詞と補助動詞の両方に使われるため、文脈から用法を見分けることが入試で問われます。この記事では、謙譲語の本動詞・補助動詞の一覧、見分け方、敬意の方向の考え方まで体系的に解説します。

謙譲語とは

謙譲語とは、動作の受け手(目的語の人物)を高めることで、その人への敬意を表す敬語です。動作を行う主体を低め(へりくだらせ)、動作を受ける人を間接的に高めます。たとえば「大臣に申す(大臣に申し上げる)」は、「申す」が謙譲語であるため「申す」という動作を受ける「大臣」への敬意を表します。

敬意の方向を整理すると、謙譲語では「敬意は話者→動作の受け手(目的語の人物)へ向かう」と覚えましょう。これは尊敬語(敬意が動作の主体へ向かう)と逆の方向です。

謙譲語の本動詞一覧

本動詞とは、それ自体が動作の意味を持ちながら同時に敬意も表す敬語です。謙譲語の主な本動詞を覚えておきましょう。

謙譲語基本の意味(現代語訳)敬意の対象
奉る(たてまつる)差し上げる・〜申し上げる動作を受ける人
参る(まゐる)参上する・差し上げる動作を受ける人
参らす(まゐらす)差し上げる動作を受ける人
申す(まうす)申し上げる動作を受ける人
聞こゆ(きこゆ)申し上げる動作を受ける人
聞こえさす(きこえさす)申し上げる動作を受ける人
参らす(まゐらす)差し上げる動作を受ける人
賜る(たまはる)頂く・いただく与えてくれる人

謙譲語の補助動詞

補助動詞とは、他の動詞に付いてその動詞の動作に謙譲の敬意を加えるものです。補助動詞として使われるとき、本来の動作の意味は失われ、敬意だけを表します。謙譲語の補助動詞として使われる主な語は、奉る・参らす・申す・聞こゆです。

補助動詞の訳し方は「お〜申し上げる」「〜てさし上げる」という形になります。たとえば「大臣に書きて奉る」の「奉る」は「書いて差し上げる」という意味の補助動詞です。一方、「(物を)奉る」の「奉る」は「差し上げる」という意味の本動詞です。

本動詞と補助動詞の見分け方

本動詞と補助動詞を見分けるポイントは「直前に別の動詞があるかどうか」です。謙譲語の直前に動詞がなければ(単独で使われていれば)本動詞、直前に別の動詞があってそれに接続していれば補助動詞と判断できます。

具体例で確認しましょう。「御文を奉る(お手紙を差し上げる)」→ 直前に動詞なし → 本動詞。「書きて奉る(書いて差し上げる)」→ 直前に「書く」という動詞あり → 補助動詞。この見分け方は謙譲語だけでなく、尊敬語や丁寧語の本動詞・補助動詞の識別にも同様に使えます。

敬意の方向(誰から誰への敬意か)

古文の敬語問題では「敬意の方向」(誰が誰に対して敬意を表しているか)がよく問われます。考え方は「敬語を使っているのは誰か(話し手・書き手)」と「敬語が向けられているのは誰か」の2点を確認することです。

地の文(語り手が書いている文章)に謙譲語が使われている場合、敬意の方向は「作者(語り手)→ 動作の受け手(目的語の人物)」です。会話文の中に謙譲語が使われている場合は、「発言者 → 動作の受け手」となります。

二方面への敬意(二重敬語・絶対敬語)

一文の中に尊敬語と謙譲語が両方使われることがあります。たとえば「大臣、帝に申し給ふ(大臣が帝に申し上げになる)」では、「申す」(謙譲語)が帝への敬意、「給ふ」(尊敬語)が大臣への敬意を同時に表しています。これを「二方面への敬意」または「敬語の二重使用」といいます。入試では「それぞれの敬語が誰への敬意か答えよ」という問いの形で出ることが多いです。

尊敬語・謙譲語・丁寧語の比較まとめ

種類高める対象敬意の方向代表的な語
尊敬語動作の主体(主語の人物)話者 → 動作する人給ふ・おはす・たまふ・宣ふ
謙譲語動作の受け手(目的語の人物)話者 → 動作を受ける人奉る・申す・聞こゆ・参る
丁寧語聞き手(読者・聴衆)話者 → 聞き手侍り・候ふ

まとめ

謙譲語は「動作を受ける人を高める敬語」です。本動詞(奉る・参る・申す・聞こゆ等)と補助動詞の識別は「直前に別の動詞があるか」で判断します。敬意の方向は「話者 → 動作の受け手」で、尊敬語(話者 → 動作の主体)と逆になります。一文に尊敬語と謙譲語が共存する「二方面への敬意」も入試頻出です。謙譲語の語と意味を一覧で覚えたうえで、実際の文中でどちらの用法(本動詞か補助動詞か)かを判断できるよう練習しましょう。

丁寧語(侍り・候ふ)の本動詞・補助動詞の識別については、詳しくは「古文の丁寧語の補助動詞と本動詞【受験に役立つ古文の敬語】」をご覧ください。

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