みなさん、こんにちは。数学ⅡBのコーナーです。今回のテーマは【三角関数の合成】です。
「三角関数の合成」という単元がありますが、「合成」がそもそもどういうことなのかわからないという人もいることでしょう。
なかには、「合成」という言葉よくわからないことが原因で苦手意識をもっている人もいるかもしれません。
そこで、今回はそもそも「合成」とは?ということから、三角関数の合成の公式まで、丁寧に解説していきます。
それでは、さっそく始めていきましょう。
・三角関数の合成のやり方がわかる
・自分で実際に三角関数の合成ができる
そもそも三角関数の合成とは?
三角関数の合成とは、$a\sin\theta+b\cos\theta$のように$\sin$と$\cos$のたし算から成る式を$A\sin(\theta+\alpha)$と$\sin$だけの式に変形することです。
これまで\sinと\cosの定数倍の和を求めるのは大変でしたが、三角関数の合成をすることによって$2\sin\theta+5\cos\theta$のような値でもかんたんに求められるようになります。
三角関数の合成とは何を意味するかがなんとなくわかってもらえたのではないでしょうか。
続いて、いよいよ三角関数の合成の公式について説明します。
三角関数の合成の公式
それでは、さっそく三角関数の合成の公式を確認しましょう。
a, bを(a, b)≠(0, 0)となる実数の定数とする
$$a\sin\theta+b\cos\theta=\sqrt{a^{2}+b^{2}}\sin(\theta+\alpha)$$
ただし、$\cos\alpha=\frac{a}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}}$,$ \sin\alpha=\frac{b}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}}$
一見なぜこの三角関数の合成の公式が成り立つかは見当もつかないようですが、三角関数でつかう他の多くの式同様に、加法定理からかんたんに導くことができます。
それでは、証明してみましょう。
まず、$a\sin\theta+b\cos\theta$を$\sqrt{a^{2}+b^{2}}$でくくります。
$a\sin\theta+b\cos\theta=\sqrt{a^{2}+b^{2}}\frac{a}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}}\sin\theta+\frac{b}{\sqrt{a^{2}+b^{2}}}$
$=\sqrt{a^{2}+b^{2}}(\sin\theta\cos\alpha+cos\theta\sin\alpha)$
加法定理より
$=\sqrt{a^{2}+b^{2}}\sin(\theta+\alpha)$
三角関数の合成の公式も加法定理から導くことができましたね。
公式の導き方がわかったところで、練習問題に挑戦しましょう。
練習問題を解いてみよう
問題
次の問題を解いてみましょう。
$\sin\theta+\sqrt{3}\cos\theta$
解答
$\sin\theta+\sqrt{3}\cos\theta$
三角関数の合成の公式より
$\sin\theta+\sqrt{3}\cos\theta=\sqrt{1^{2}+(\sqrt{3})^{2}}\sin(\theta+\alpha)$
$=2\sin(\theta+\alpha)$
なお、$\cos\alpha=\frac{1}{2}$, $\sin\alpha=\frac{\sqrt{3}}{2}$
よって、$\alpha=\frac{\pi}{3}$
すなわち、$=2\sin(\theta+\frac{\pi}{3})$…(答)
今回のまとめ
今回は、三角関数の合成の公式について解説しました。
三角関数の合成とは、$\sin$と$\cos$のまざった式を$\sin$だけの式にするというものでしたね。今後、$a\sin\theta+b\cos\theta$という形を見たときは、三角関数の合成かな?と思えるようになりましょう。
三角関数は、残すところ「和と積の公式」だけになりました。
あと1単元、がんばって勉強しましょう。
今回もおつかれさまでした。
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