【物理基礎】等加速度運動と相対速度

等加速度運動

みなさん、こんにちは。物理基礎のコーナーです。今回のテーマは【相対速度】です。

 

大学受験の試験問題で直接出題されるというよりは、等加速度運動と相対速度を組み合わせた問題が出題されることが多いです。「相対」という概念を正しく理解することで、それらの問題をより簡単に解くことができるようになるでしょう。

 

「相対速度」で覚える公式はとても少なく、加えてとても簡単です。一方で、様々な場面に応用の利く便利な考え方ですので、この機会に相対速度を覚えてみましょう。

 

今回はまず、相対速度とは何なのかを解説し、その後、公式を使って練習問題を解いていきます。最後に相対加速度についても解説します。相対速度について理解できれば、相対加速度のみならず、あらゆる相対〇〇という量を理解できるはずです。

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相対速度とは何か?

 

物理学において、「相対」という言葉は「絶対」という言葉と反対の意味を持ちます。「相対」という言葉の意味を正確に理解するため、具体例から見ていきましょう。

 

日常生活に見る相対速度

・電車

ホームを通過する電車を見て、電車の中の人をはっきりと視界に捉えることは大変難しいことです。一方で、同じ速度で並走する電車に乗ってもう一方の電車の中を見れば、電車がすごいスピードで移動していても中の人は止まって見え、その人の服装、持ち物まで、その特徴を正確に言い当てることができるでしょう。

 

ホームから見るか、並走する電車に乗って見るかによって、同じ運動をしているものでも見え方が変わってくるわけです。

・太陽と地球

昔の人は、太陽の動きを観測することで、「一日一回、太陽が地球の周りを周っている」と考えました。ご存じ、天動説です。現代を生きる私たちは太陽が周っているのではなく、地球が自転しているから、太陽が地球の周りを周って見える、ということを知っています。地動説ですね。

 

動いているものに乗りながら、自分は止まっていると考えて、止まっているものを見ると、止まっているものはあたかも動いているように見えるのです。

 

速度といえば一般に、静止しているある基準点から見て、単位時間あたりに物体の位置がどれだけ変化したかを表す量ですが、相対速度とは動いている基準点から見た物体の速度のことです。上記の例のように動いている基準点から見た物体の速度は静止している基準点から見た速度とは異なります。

相対速度・・・動いている基準点から見た物体の速度

(絶対)速度・・・静止している基準点から見た物体の速度

 

相対速度について理解できたでしょうか。次は相対速度を計算する方法を解説します。

相対速度の求め方と公式

相対速度は、ズバリ以下の式を使うと求めることができます。

相対速度の求め方

 

$$ \rm{相対速度} = \rm{(観測対象の速度)} – \rm{(基準点の速度)} $$

 

基準点というのは、「どこから見るか?」を表す点です。並走する列車から見るのならば、その列車の速度が基準点の速度であり、地球上から見るのなら、地球表面の速度が基準点の速度です。

 

この式から「基準点が変わると同じものを観測しても異なる結果が得られる」ことが分かると思います。同じものを観測しても観測する人の速度によって、相対速度は変わってくるのです。

 

練習問題を解きつつ、相対速度を求めてみます。

例題 1Aさんは東に向かって時速 2 km/h で歩いており、Bさんは車に乗って東向きに時速 20 km/h で移動している。Aさんから見たBさんの相対速度、及び、Bさんから見たAさんの相対速度を求めよ。

 

km/h とは kilometer per hour、すなわち「時速〇〇キロメートル」のことです。

 

「どこから見るか?」というのが基準点となります。「Aさんから見た速度」と言われたら、Aさんの速度で引きます。

 

まず、Aさんから見たBさんの相対速度を求めてみたいと思います。ここでは東向きを正の方向として計算してみます。

 

\begin{eqnarray} \rm{(Aさんから見たBさんの相対速度)} &=& \rm{(Bさんの速度)} -\rm{(Aさんの速度)} \\ &=& 20 \; \rm{km/h} -2 \; \rm{km/h} \\ &=& 18 \; \rm{km/h}\end{eqnarray}

 

東向きを正の向きとしているので、Aさんから見たBさんの相対速度は「東向きに時速18 km/h」となります。「速度」を聞かれたら向きも答えなくては不正解となります。ご注意ください。

 

続いて、Bさんから見たAさんの相対速度を求めてみたいと思います。ここでも東向きを正の方向とします。

 

\begin{eqnarray} \rm{(Bさんから見たAさんの相対速度)} &=& \rm{(Aさんの速度)} -\rm{(Bさんの速度)} \\ &=& 2 \; \rm{km/h} -20 \; \rm{km/h} \\ &=& -18 \; \rm{km/h}\end{eqnarray}

 

「東向きに -18 km/h」とはつまり「西向きに 18 km/h」ということで、これが答えになります。速さが負の値になることはありませんので、答え方には十分注意しましょう。

 

「Bさんから見たAさんの相対速度」は「Aさんから見たBさんの相対速度」と大きさが同じで、向きが反対になっています。これも考えてみれば当然ですが、重要なことです。

 

では、次の例に参ります。次は「速度」が「ベクトル」であることをもっと意識してみてください。

例題 2船Aは北向きに 20 km/h、船Bは西向きに 20 km/h で進んでいる。船Aから見た船Bの相対速度を求めよ。

 

問題の状況を図にしてみました。上図で、船Aと船Bの速度はそれぞれ、$\overrightarrow{v_\rm{A}}$、$\overrightarrow{v_\rm{B}}$で表しています。点Oは速度ベクトルの始点、点Aと点Bはそれぞれ船Aと船Bの速度ベクトルの終点です。

 

例題 1と同様に、BからAの速度を引けば相対速度を求めることができます。ただし、今回は「ベクトルの引き算」を思い出して頂かなければいけません。

ベクトルの引き算

 

ベクトルの始点が同じ2つのベクトル ($\overrightarrow{A}$、$\overrightarrow{B}$)において、差ベクトル ($\overrightarrow{B} – \overrightarrow{A}$)は、始点が$\overrightarrow{A}$の終点、終点が$\overrightarrow{B}$の終点となる。

 

ベクトルの引き算にあてはめると、相対速度は下図の中の $\overrightarrow{v_\rm{BA}}$となることが分かります。

三角形OABは皆さんご存じ、斜辺以外の2辺の長さが等しい直角三角形、$1:1:\sqrt{2}$の三角形なので、斜辺の長さはすぐに求めることができます。

 

\begin{eqnarray} 20 \times \sqrt{2}a&\fallingdotseq& 20 \times 1.41 \ &\fallingdotseq& 28 \end{eqnarray}

 

よって、船Aから見た船Bの相対速度は「南西方向に28 km/h」となります。

 

相対加速度

相対値が求められるのは速度だけではありません。位置、電位、質量、エネルギーなど、様々なものに適用できます。

 

小学校、中学校では「比」という考え方を習いました。「比」も基準の状態で値が変わる、という意味では相対的な考え方の一つです。違いは引き算ではなく、割り算であるという点です。

 

加速度についても相対的な値を求めることができます。

 

とはいえ、求め方は相対速度と全く同じです。観測対象の加速度から、基準となる点の加速度を引きます。

 

$$(Aから見たBの相対加速度) = (Bの加速度) – (Aの加速度)$$

 

これだけです。なぜこのタイミングで加速度のみにフォーカスするかと言えば、この後習う「見かけの力」に大きく関わってくるからです。

 

例えば、地球上で運動するすべての物質には「コリオリ力」という見かけの力が働きます。これは「地球上のあらゆる物体に対し、進行方向右向き (南半球では左向きの力)にかかる力」のことです。この力が気体分子にも加わるため、台風はいつも同じ回転方向になります。

 

こうした「見かけの力」は「動いている物体に乗っているのに、止まっていると考える」から生じるものなのです。こうした見かけの力を理解するとき、相対加速度の考え方は重要となります。「見かけの力」という言葉が出てきたときに、相対加速度のことを思い出してあげてください。

今回のまとめ

「相対」という考え方は「速度」や「加速度」に限らずあらゆるものに適用され、「求めたい〇〇」から「基準点の○○」を引けば、「相対○○」が求められます。

 

「相対的観測」において重要なことは「観測者 (基準点)の状態」によって、観測結果が変化する、ということです。

 

私たちが普段当たり前と感じていること、見えているもの、聞いていることも、「常識」という列車に乗って観測しています。よって、その列車から降りて、普段見ているものを見直してみれば、全く違ったものに感じることでしょう。

 

逆に言えば、私たちが普段目にしているものには「常識」が付け加えられて見えているのです。これを日本では「色眼鏡」と言ったりします。

 

天動説を唱えた人を愚かだと思うかもしれませんが、私たちも何かを考えるとき、ほとんどは「天動説」で考えています。つまり、自分が「絶対」に「動かない、正しい」ものだと考えているのです。

 

相対的な考え方で他人と接すれば「他人と意見が違うのは、持つ常識が違うから」だということが分かり、他人に対してもっと寛容になれるはずです。ということも物理は教えてくれます。

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