今回は使役動詞と知覚動詞の受動態について解説します。
日常会話では能動態の方が良く使われますが、受動態は試験にも頻出ですのでしっかりとおさえましょう。
使役動詞と知覚動詞の受動態を理解するには、まず使役動詞と知覚動詞の基本の復習が必要です。この2つを振り返って受動態にするときの注意点などを一緒に学んでいきましょう。
最後に使役動詞と知覚動詞の受動態についての演習問題も用意してあります。解答のチェックボックスを開けるとこたえとともに解説も出てきます。復習して記憶の定着に役立てましょう。
今回の記事を読んだらわかること・英文法の使役動詞の受動態がわかる
・英文法の知覚動詞の受動態がわかる
使役動詞の受動態
使役動詞の受動態を学ぶ前に使役動詞の復習をしましょう。
くわしく復習したい人は過去記事「英文法の使役動詞(make have letの違い、動詞getとhelp、使役動詞の受動態、使役動詞と過去分詞)が10分で理解できる【大学受験の英文法】」で確認してみてください。
英文法での使役動詞とは「~させる」という意味を持ちます。
使役動詞には、make・have・letなどがあります。
使い方は「使役動詞+O(目的語)+原形不定詞(動詞の原形)」の形をとり、
意味は「Oに~させる」となります。
使役動詞+O+動詞原形
強制力 | 強▼弱 | make | 強制的 | (強制的に)Oに~させる(=force / compel + to動詞原形) |
have | 中立・意識外 | (Oがすべきことを)Oに~させる、~してもらう | ||
let | 許可 | Oが~することを許す、~させてあげる=(allow + O + to動詞原形) |
表のように、使役動詞 makeは命令して強制的にさせる時に使います。
使役動詞 letはmakeとは反対で、したいようにさせるので強制ではなく、許可や放任でさせてあげるイメージです。
例文でみてみましょう。
強制的に掃除をさせたのでmakeの過去形made + O(me)+ clean(動詞の原形)となります。このかたちはSVOCの第5文型です。
文型について不安な人はこちらも過去記事「英語の第1文型〜第5文型の特徴は?例文とともに解説【大学受験の英文法】」で復習してください。
makeの受動態
能動態では<使役動詞+O+動詞原形>のかたちになるという事が分かりました。では、受動態になった場合はどうなるのでしょうか。
使役動詞の受動態は「be動詞 +made +to動詞の原形(to不定詞)」の形をとり、意味は「~させられる」となります。先ほどの例文で確認しましょう。
SVOCの文のうち、Oであるmeが主語 Iになって受動態になります。受動態になるとSVCの第2文型に変わります。
※使役動詞haveには受動態はありません。
letの受動態
では、使役動詞letの受動態はどのようになるのでしょうか。使役動詞 letの受動態はそのままではできず、be動詞+allowed + to動詞の原形(to不定詞)に置き換える事が出来ます。
使役動詞の受動態にtoがつく理由
使役動詞は能動態では原形不定詞でtoがつきません。受動態になるとなぜtoがあらわれてto不定詞のかたちをとるのでしょうか。
それは、能動態ならSVOCの文型をとるので、動詞Vのあとに目的語のOがはいり、その後に原形不定詞の動詞が来ましたが、受動態にするとOが主語に変わるので、be動詞+動詞Vの後に原形不定詞が続くと動詞が2つ続いてしまうので不自然です。
それを避けるために準動詞のto不定詞に変換します。
知覚動詞で原形不定詞がくる場合の受動態
まず、簡単に知覚動詞とはなんなのか振り返りましょう。
知覚動詞とは、字のとおり知覚や感覚をあらわす動詞です。感覚動詞とも呼ばれます。
知覚動詞 + O(目的語) + do(原形不定詞)の形で「O(目的語)が〜する(原形不定詞)のを…する(知覚動詞)」という意味で使われます。
この場合のO(目的語)がdo(原形不定詞)の意味上の主語になります。
例文で確認しましょう。
知覚動詞の後に原形不定詞がくる場合のポイントは、SVOCのO(目的語)とC(原形不定詞)の関係が能動的な主語と述語であるということです。
では、これが受動態になったら…。
この場合も使役動詞の時と同様にO(目的語)がS(主語)に変わりbe動詞+ V(動詞)とC(原形不定詞)が続いてしまいます。
そのため、ここも準動詞のto不定詞にします。
知覚動詞の受動態はseeとhearでそれぞれ<be動詞+seen+to不定詞>で「~するところを見られる」と<be動詞+heard+to不定詞>「~するのを聞かれる」です。
他の知覚動詞、feel, notice, watch, listen to, look atはふつう受動態にしません。
知覚動詞のあとの動詞が過去分詞となる場合
知覚動詞のあとの動詞が原形不定詞の場合は目的語が原形不定詞の意味上の主語となり、能動的な関係があると分かりました。では知覚動詞のあとの動詞が過去分詞の場合はどうでしょうか。
「知覚動詞 + O(目的語)+ 過去分詞」で「Oが 〜される(過去分詞)のが…する(知覚動詞)」とあらわします。
例文を見てみてください。
(私は自分の名前を呼ばれるのが聞こえた。)
使役動詞・知覚動詞の受動態 演習問題
今回学んだ使役動詞と知覚動詞の受動態の復習として問題を解いていきましょう!問題にあわせて選択肢から正しいものを選んでください。答えはチェックボックスを開いたらでてきます。
1.能動態の文章を受動態にした場合の正しい選択肢を選んでください。
She made me go there.(彼女は私にそこへ行かせました。)
→I was made ( ) there by her.(私は彼にそこへ行かされました。)
(ア)go (イ)went (ウ) to go
使役動詞makeの受動態は<be動詞 +made +to動詞の原形(to不定詞)>「~させられる」です。そのため(ウ) to goが正解です。
2.能動態の文章を受動態にした場合の正しい選択肢を選んでください。
She saw me enter the room.(彼女は私がその部屋に入るところを見ました。)
→I was seen ( )the room by her.(私はその部屋に入るところを彼女に見られました。)
(ア)enter (イ)entered (ウ)to enter
知覚動詞seeの受動態は<be動詞+seen+to不定詞>で「~するのを見られる」です。受動態のときは原形不定詞ではなくto不定詞になりますので(ウ)to enterが正解です。
3.次の文章の日本語訳に合う正しい選択肢を選んでください。
Ken ( )to complain about his team.(ケンは彼のチームについて不満を言うのを聞かれました。)
(ア)was heard (イ)heard (ウ)hear
知覚動詞hearの受動態は<be動詞+heard+to不定詞>で「~するのを聞かれる」です。日本語訳は過去形になっていますので、be動詞はwas、よって(ア)was heardが正解です。
まとめ
使役動詞と知覚動詞の受動態について学びました。
ポイントは能動態のときはSVOCの文型で使役動詞+原形不定詞だったのが、受動態に変わるときは原形不定詞がto不定詞に変わることでした。
書き換えの問題では間違いやすいところなので、しっかりポイントを押さえてパーフェクトにしましょう。
さらに、基礎力を高めるために「Next Stage英文法・語法問題―入試英語頻出ポイント218の征服」や「全解説頻出英文法・語法問題1000 (大学受験スーパーゼミ)」がおすすめです。
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