みなさん、今回は英文法の群動詞(別名:句動詞:phrasal verb)について学びます。
群動詞とは、動詞に副詞、前置詞、名詞などがくっついて1つのまとまりになり、本来の意味と違い、別の意味の動詞となることです。take care of(~の世話をする)やgo on(続く)のように、みなさんは知らず知らずのうちに群動詞を覚えているかもしれません。
ここではもう少し掘り下げて主語+群動詞の自動詞の場合、主語+群動詞+目的語を必要とする他動詞パターンや過去分詞をつかって群動詞の受動態を表現する方法などしっかり解説していきますので一緒に習得しましょう。また、疑問文、否定文についても解説してきます。
この記事の最後には練習問題もありますのでぜひトライしてみてくださいね。
簡単にいうと一つ一つの言葉の意味と違って動詞と前置詞や副詞、名詞がくっつくと意味が発展するのよ。
今回の記事を読んだらわかること・英文法の群動詞(句動詞)がわかる
・群動詞(句動詞)の自動詞、他動詞がわかる
・群動詞(句動詞)の受動態がわかる
・助動詞の役割をする群動詞(句動詞)がわかる
そもそも群動詞(句動詞)とは? 群動詞(句動詞)の種類について解説
群動詞(句動詞ともいいます)とは、それぞれひとつの単語では別の意味を持つ、動詞と前置詞・副詞・名詞がくっついてひとつのまとまりになると本来持つ意味から発展した意味をあらわします。
たとえば、turn down(断る)は動詞のrejectやrefuseと同じ意味をあらわしますが、本来はturn(まわす)down(下ろす)です。
これらをくっつけても断るという意味にはなりませんが、提案をひっくり返して却下する、などとイメージを持って覚えるとよいです。明確な由来や理由があるわけではなくあくまで2つの語が人まとまりになると発展して意味を持つという事を理解しましょう。
また、みなさんが良く使うget up(起きる)get on(乗る)も群動詞(句動詞)です。getには他にもget off(降りる)get back(戻る)get over(乗り越える)get along with(~と一緒にうまくやる)とたくさんありますので「get」の単語関連で一緒に覚えてしまうのもいい方法です。
動詞 + 前置詞
動詞+前置詞で他動詞のはたらきをする群動詞(句動詞)です。
動詞 + 前置詞
・ask for ( ~を要求する )
・call on ( ~[人] を訪問する )
・depend on ( ~に依存する )
・laugh at ( ~を見て笑う )
・look for ( ~ を探す )
・look on (~を見物する )
・rely on ( ~に依存する )
・speak to ( ~ と話す )
・talk about ( ~を議論する )
動詞 + 副詞
動詞+副詞で自動詞のはたらきをするものと他動詞のはたらきをする群動詞(句動詞)があります。違いは目的語を必要とするか、しないかです。
そして重要なポイントとして、自動詞としてはたらく群動詞は受動態にはできません。なぜなら受動態は目的語を主語に置き換えてつくるものなので、主語となる目的語がない場合受動態の文章が成立しないからです。
文型が重要になりますので、心配な人はこのサイトの英文法文型でしっかり復習してくださいね。詳しくは「英語の受動態(基本編)【大学受験の英文法】」を読んでください。
動詞 + 副詞【自動詞のはたらき:受動態にはできません】
・go on(続く=last, continue)
・go out(出かける、[火などが]消える)
・break down(故障する)
・break out(起こる、発生する)
・come about(起こる=happen, occur)
・pass away(亡くなる=die)
・run away(逃げる)
・set out(出発する)
・show up(あらわれる=appear)
・stand out(目立つ)
・take off(離陸する)
次は動詞+副詞で他動詞のはたらきをする群動詞です。他動詞のはたらきをするので目的語を取れますから受動態にすることができます。
・My teacher put off the athletic meeting until next Saturday.(先生は運動会を来週の土曜日まで延期しました。)→The athletic meeting was put off by my teacher until next Saturday.(運動会は先生により来週の土曜日まで延期されました。)
動詞 + 副詞【他動詞のはたらき】
・bring about ( ~を引き起こす=cause )
・call on ( ~を育てる=raise)
・call off ( ~を中止する )
・carry on( ~を続ける=continue )
・carry out ( ~ を実行する)
・give up ( ~をあきらめる )
・hand in ( ~を提出する)
・look up ( ~を[辞書などで]調べる )
・make [figure] out( ~を理解する=understand )
・pick out( ~ を選び出す=choose)
・put off(~を延期する=postpone)
・see off(~を見送る)
・turn on(~[電気など]をつける)⇔ turn off( ~[電気など]を消す)
・turn up(~[音量など]を上げる)⇔ turn down( ~[音量など]を下げる)
動詞 + 副詞 + 前置詞
動詞+副詞+前置詞と3つの語をつかって他動詞のはたらきをする群動詞(句動詞)は下記の通りです。
動詞 + 副詞 + 前置詞【他動詞のはたらき】
・look up to ( ~ を尊敬する =respect)
・put up with ( ~ を我慢する )
・speak well of ( ~をほめる)⇔・speak ill of(~をけなす )
・catch up with ( ~に追いつく )
・keep up with ( ~に遅れない )
・do away with ( ~を廃止する=abolish )
・get away with (~を持ち逃げする )
・come up with(~を思いつく)
動詞 + 名詞 + 前置詞
動詞+名詞+前置詞と3つの語をつかって他動詞のはたらきをする群動詞(句動詞)は次の通りです。
動詞 + 名詞 + 前置詞【他動詞のはたらき】
・take care of ( ~ を世話する )
・make use of ( ~ を利用する )
・lose sight of ( ~ を見失う )
・put an end to ( ~にとどめをさす )
・take notice of ( ~ に注意を払う)
・take advantage of ( ~ を活用する )
・take part in(~に参加する)
・give way to(~に屈する=yield to)
・give birth to(~を産む=bear)
群動詞の受動態の作り方~文型は通常の受動態と同じく変化~
群動詞(句動詞)を受動態にする場合はどうするのでしょうか。複数の語からなる群動詞はくっついた副詞や前置詞も含めてひとつのまとまりを動詞とみなして受動態にします。早速例文で確認しましょう。
・The dog was taken care of by my brother.(その犬は私の兄弟に世話をされました。)
この文ではtake care of が群動詞でひとつのまとまりですので、be動詞+過去分詞のかたちで受動態にしています。能動態にするのであれば、My brother took care of the dog.(私の兄弟はその犬の世話をしました。)となり文の構造は下記になります。
受動態の文章のとき、ofとbyが連続していますが、前置詞が重なっているからとofを省略してはいけません。試験で出たら注意しましょう。
それでは、他の例文も確認しましょう。左側の通常の文を受動態に変化させてみます。
・He laughed at me.(彼は私を笑いました。)→I was laughed at by him.(私は彼に笑われました。)
・He looked up the word in the dictionary.(彼は辞書でその単語を調べました。)→The word was looked up by him in the dictionary.(その単語は彼に辞書で調べられました。)
・We spoke well of her.(私達は彼女をほめました。)→She was spoken well of by us.(彼女は私達にほめられました。)
・It gave rise to new problems.(それは新たな問題を引き起こしました。)→The new problems were given rise to by it.(新たな問題がそれにより引き起こされました。)
このように、群動詞を受動態にする際には、群動詞をひとまとまりの動詞という形にみなしてそのまま受動態の形を作成します。
群動詞のあとにはbyを忘れないよう注意しましょう。
試験に出やすい群動詞の受動態をまとめました。
群動詞の受動態
・be brought up ( 育てられる )
・be laughed at ( 笑われる )
・be put off ( 延期される )
・be spoken to ( 話しかけられる )
・be called off ( 中止される)
・be looked up to ( 尊敬されている )
・be run over([車に]ひかれる)
・be taken care of(世話をされる)
群動詞の受動態の否定文
次に群動詞(句動詞)受動態の否定文の作り方です。こちらも受動態同様通常の文型と同じくbe動詞のあとにnotをつけるだけです。先ほどの受動態の例文で確認していきましょう。
・I was laughed at him.(私は彼に笑われました。)→I wasn’t laughed at by him.(私は彼に笑われませんでした。)
・The word was looked up by him.(その単語は彼に辞書で調べられました。)→The word wasn’t looked up by him.(その単語は彼に辞書で調べられませんでした。)
・She was spoken well of us.(彼女は私達にほめられました。)→She wasn’t spoken well of by us.(彼女は私達にほめられませんでした。)
・The new problems were given rise to by it.(新たな問題がそれにより引き起こされました。)→The new problems weren’t given rise to by it.(新たな問題はそれにより引き起こされませんでした。)
群動詞の受動態の疑問文
最後に群動詞(句動詞)受動態の疑問文の作り方です。勘のよいあなたはもうお分かりかもしれません。
こちらも通常の文型と同じくbe動詞を主語の前に出して文末に疑問符「?」(クエスチョンマーク)をつけるだけです。また先ほどの受動態の例文で確認していきましょう。
・I was laughed at him.(私は彼に笑われました。)→Was I laughed at by him?(私は彼に笑われませんでしたか。)
・The word was looked up by him.(その単語は彼に辞書で調べられました。)→Was the word looked up by him?(その単語は彼に辞書で調べられましたか。)
・She was spoken well of us.(彼女は私達にほめられました。)→Was she spoken well of by us?(彼女は私達にほめられませんでしたか。)
・The new problems were given rise to by it.(新たな問題がそれにより引き起こされました。)→Were the new problems given rise to by it?(新たな問題はそれにより引き起こされませんでしたか。)
群動詞の演習問題
今回学んだ群動詞(句動詞)は実は試験に出やすい分野です。簡単な単語の組み合わせですが知っていなければ意味を正確に捉えられないので、試験でためされやすいという事があります。
それでは、今回学んだ群動詞(句動詞)の復習として問題を解いていきましょう!日本語の意味に合うように選択肢から選んでください。答えはチェックボックスを開いたらでてきます。
1.Because of the bad weather, we had to( )our trip to Hokkaido.(悪い天気だったので、私たちは北海道への旅行を延期しなければなりませんでした。)
(ア)take off (イ)look on (ウ)put off (エ)put on
take off(離陸する、服を脱ぐ) look on(見物する) put on (服を着る)となりますのでこの中ではput offが正解です。
2.To my great regret, I will have to ( )your invitation.(大変残念ですが、あなたのお招きをお断りしなければならないでしょう。)
(ア)turn off (イ)turn down (ウ)bring up (エ)take after
turn off (電気などを消す) bring up (子どもを育てる ) take after (~に似ている) なりますのでこの中ではturn offが正解です。
3.You will catch up ( )her If you leave at once.(もしあなたがすぐに出発すれば、彼女に追いつくでしょう。)
(ア)in (イ)to (ウ)off (エ)with
catch up with(~に追いつく)となりますのでwithが正解です。
4.He made ( ) of his experience.(彼は自分の経験をいかしました。)
(ア)use(イ)fun(ウ)sense (エ)room
make use of(~を利用する)となりますのでuseが正解です。make fun of(~をからかう) make sense of(~を理解する) make room ofではなく、make room for(~の為に場所を空ける)となります。
5.The cat( )run away the mouse.(猫はねずみに逃げられました。)
(ア)was (イ)be (ウ)is (エ)been
群動詞の受動態を作るので、be動詞+過去分詞であらわします。今回は逃げられた、というかこのお話なのでbe動詞のisをwasに変えます。
6.The cat is taken care ( )by me.(猫は私に世話をされています。)
(ア)to (イ)of (ウ)on (エ)in
群動詞の受動態を作るので、be動詞+過去分詞であらわします。「世話をする」はtake care ofですので、正解は(イ)of です。
7.He was ( )by a foreigner.(彼は外国人に話しかけられた。)
(ア)spoken to(イ)speak to (ウ)look for (エ)look at
群動詞の受動態を作るので、be動詞+過去分詞であらわします。「~に話しかけられる」はbe Spoken toで、過去の話なのでbe動詞がwasになり正解は(ア)spoken to です。
8.My mobile phone was ( )by a car.(私のスマートフォンは車にひかれてしまった。)
(ア)put off (イ)run over (ウ)looked for (エ)run away
群動詞の受動態を作るので、be動詞+過去分詞であらわします。「[車など]にひかれる」はbe run overです。過去の話なのでbe動詞がwasになり正解は(イ)run overです。be put off(延期される)、be looked for(探される)、be run away(逃げられる)
9.She is ( )to by her classmates.(彼女はクラスメイトから尊敬されています。)
(ア)look down (イ)look up (ウ)looked down (エ)looked up
群動詞の受動態を作るので、be動詞+過去分詞であらわします。「尊敬されている」はbe looked up toです。過去分詞にすることを忘れずに。また、「見下す、馬鹿にする」はlook down onです。look down toではありませんので注意です。
10.( )the boy brought up by his sister after her parents died?(その少年は彼女の両親が亡くなってから姉の手でそだてられましたか。)
(ア)When(イ)Have(ウ)Were (エ)Was
群動詞の受動態の疑問文なのでbe動詞を主語の前に持っていき動詞は過去分詞であらわします。育てられたと過去を聞いていますので正解は(エ)Was です。
群動詞の演習問題おすすめ参考書
群動詞の演習問題を解くためにおすすめの参考書は、桐原書店の「NextStage(ネクステージ)」です。入試英語頻出のポイントを押さえた英文法、語法問題が豊富です。
特にイディオムのパートでは今回勉強した群動詞(句動詞)がたくさん出てきますのでおすすめです。他には旺文社のスクランブル英文法もおすすめです。どちらも基礎から私大難関レベルまで網羅しています。
まとめ
また、自動詞や他動詞のはたらきをする群動詞を理解するためには英文法の文型について理解が必要ですので、このサイトの他のページもぜひ見てくださいね。
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