みなさん、こんにちは。「数学IA」の今回のテーマは、二次関数についてです。少しだけ中学校で習ったかもしれません。内容は中学校で習ったものを少し発展させたもので、少しずつ理解していけば怯む必要はありません。
今回は、二次関数を理解するために、二次関数とはそもそも何か?を説明するとともに二次関数のグラフを使って二次関数を理解し、応用問題まで解けることを狙います。
この分野は、これまでに習った二次方程式と、中学校で習った二次関数の分野を合わせて、少しだけ発展させた内容になっているので、この両方をきちんと理解していれば、全く難しいものではありません。
しかも、センター試験、二次試験のどちらにおいても、この分野から出題が全くなかった年を探すのが難しいくらい、頻出の分野です。重要なことは、式と図の意味を理解すること。例題を繰り返し練習して、理解しておきましょう。
二次関数とは?
二次関数の「二次」については、前回の二次方程式のときに説明しました。覚えていますか?
では「関数」って、何でしょう?
\(x\) にある値を代入すると、\(y\) の値も一つだけに決まるとき、\(y\) は\(x\) の関数である。
関数は、Function(関数)の\(f\) を用いて、\(y=f(x)\) と表します。また、関数\(y=f(x)\) において、\(x=a\) のときの\(y\) の値を\(f(a)\) と表します。
ちなみに、二次方程式\(ax^2+bx+c=0 (a\neq0)\) というのは、二次関数\(y=ax^2+bx+c (a\neq0)\) における、\(y=0\) となる点のみを切り取って問題にしています。二次方程式と二次曲線は、絡め合わせて出題されることがほとんどです。一緒に理解するのが近道です。
次は、二次関数のグラフを理解しよう!
中学校では、\(y=ax^2\) という、原点を頂点とする放物線について習いました。\(a>0\) のとき下に凸、\(a<0\) のとき上に凸の放物線です。
高校数学では、それを、原点以外に頂点を置く放物線に発展させます。考え方としては、\(y=f(x)\) を\(x\) 軸方向に\(p\) 、\(y\) 軸方向に\(q\) だけ平行移動させます。平行移動した後の関数を\(y=g(x)\) とします。
座標平面上において、ある関数のグラフは、その関数を満たす点の集合なので、グラフの移動というのは、本質的にはグラフ上の点の移動です。
平行移動によって、\(y=f(x)\) 上の点\((x, y)\) は、点\((x+p, y+q)\) に移動します。点\((x+p, y+q)\) というのは、関数\(y=g(x)\) 上にあるので、\(y=g(x)\) に\((x+p, y+q)\) を代入しても成り立ちます。
でも、\(y=g(x)\) は、これから求める関数でまだわからなので、ここから先には進めません。
そこで、発想を逆転します。\(y=g(x)\) 上の点\((x, y)\) を、逆向きに平行移動した点\(x-p, y-q)\) を考えます。この点は\(y=f(x)\) 上に存在するので、\(y=f(x)\) に代入して成り立ちます。つまり、\(y-q=f(x-p)\) が成り立ちます。
これを変形して、\(y=f(x-p)+q\) となります。よって、
\(y=f(x)\) を\(x\) 軸方向に \(p\)、\(y\) 軸方向に\(q\) だけ平行移動するには、
\[
\left\{
\begin{array}{lcll}
x\hspace{3mm}&\text{→}&x-p\\
y\hspace{3mm}&\text{→}&y-q
\end{array}
\right.
\]と置換すればよい。
平行移動の結果、求められる関数は、\(y=f(x-p)+q\) である。
ちなみに、ここで、\(y=f(x)=ax^2\) としてみましょう。この関数のグラフを、\(x\) 軸方向に\(p\)、\(y\) 軸方向に\(q\) だけ平行移動したグラフの関数\(y=g(x)\) は、上の方法から、
\(y=g(x)=f(x-p)+q=a(x-p)^2+q\)
となります。今度はこの関数の頂点について考えてみます。\(y=f(x)=ax^2\) の頂点は原点です。では、\(y=g(x)\) の頂点はどこにあるでしょう?そうです、原点も\(x\) 軸方向に\(p\)、\(y\) 軸方向に\(q\) だけ移動しています。つまり、\(y=g(x)\) の頂点は、\((p, q)\) です。
したがって、
では、この原点を頂点としない二次曲線のグラフはどう描くのでしょうか?
\(y=ax^2\) のグラフを描くときは、まずは頂点を原点に置き、係数\(a\) の値によって曲線の開き方を変えました。
今回も基本は同じです。頂点は、上の説明のとおり、\((p, q)\) にあります。曲線の開き方は、係数\(a\) の値によって変えます。
例題で実際に描いてみましょう。
例題\(y=-x^2+6x-7\) のグラフを描け。
グラフを描くには、原点と\(x^2\) の係数が必要なので、まずは原点を求めるために、式を変形します。
$
\begin{array}{rcll}
y&=&-x^2+6x-7\\
&=&-(x^2-6x)-7\hspace{5mm}&\cdots(1)\\
&=&-(x^2-6x+9-9)-7\hspace{5mm}&\cdots(2)\\
&=&-\left\{(x-3)^2-9\right\}-7\hspace{5mm}&\cdots(3)\\
&=&-(x-3)^2+9-7\hspace{5mm}&\cdots(4)\\
&=&-(x-3)^2+2
\end{array}
$
式変形の意味を解説します。
(1) \(y=a(x-p)^2+q\) の形にするために、まずは\(x^2\) の係数でまとめました。
(2) 必要な定数項を足しました。足すだけでは等式が成り立たなくなるので、同時に引いています。
(3) \((x-p)^2\) の部分をまとめました。
(4) 定数項をかっこから出しました。
この変形で、原点は\((3,2)\)、\(x^2\) の係数は\(-1\) とわかりました。\(x^2\) の係数がマイナスの値なので、放物線は上に凸です。よって、グラフは次のようになります。
ここまで理解できましたか?ちょっと不安かな…という人は、今日読み進めるのはここまでにして、一度はじめに戻って、不安がなくなってから読み進めてもいいでしょう。
二次関数のグラフを使って応用問題を解く
次は、グラフの対称移動について考えます。対称移動の軸は3種類、\(x\) 軸・\(y\) 軸・原点です。
考え方は平行移動を考えたときと同じです。座標平面状において、ある関数のグラフは、その関数を満たす点の集合なので、グラフの移動というのは、本質的にはグラフ上の点の移動です。
また、\(y=f(x)\) を対称移動した関数\(y=g(x)\) を求めるとき、\(y=f(x)\) 上のある点 \((x, y)\) から考え始めると、先に進めなくなるので、\(y=g(x)\) 上の点\((x, y)\) を対称移動した元の点が\(y=f(x)\) 上にあるという逆の観点から考えます。
まずは\(x\) 軸に対して図にするとわかりやすいです。
関数\(y=g(x)\) 上にある点\((x, y)\) を、\(x\) 軸に関して対称移動させた点は\((x, -y)\) となります。この点は、\(y=f(x)\) 上にあるので、\(y=f(x)\) に代入して成り立ちます。
つまり、\(y\) →\(-y\) と置換することなるため、\(-y=f(x)\) となり、\(y=g(x)=-f(x)\) と求められます。
(1) \(y\) 軸 (2) 原点
考え方は\(x\) 軸に関する対称移動と同じです。
(1) 関数\(y=g(x)\) 上にある点\((x, y)\) を、\(y\) 軸に関して対称移動させた点は\((-x, y)\) となります。
\((-x, y)\) は\(y=f(x)\) 上にあるので、\(x\) →\(-x\) と置換します。よって、
(2) 関数\(y=g(x)\) 上にある点\((x, y)\) を、原点に関して対称移動させた点は\((-x, -y)\) となります。
\((-x, -y)\) は\(y=f(x)\) 上にあるので、\(x, y\) →\(-x, -y\) と置換します。よって、
ポイントをまとめます。覚えるのではなく、置換の方法を理解してください。
\(x\) 軸対称 \(-y=f(x)\) \(y\) →\(-y\) と置換
\(y\) 軸対称 \(y=f(-x)\) \(x\) →\(-x\) と置換
原点対称 \(-y=f(-x)\) \(x, y\) →\(-x, -y\) と置換
具体的な数値が入った例題の方が理解しやすいかもしれません。
(元の放物線)→(平行移動)→(原点対称)→ \(y=-2x^2+4x+1\) なので、その逆の移動を考えます。
\(y=-2x^2+4x+1\) を原点に関して対称移動するとき、\(x, y\) →\(-x, -y\) と置換できるので、
\(-y=-2(-x)^2+4(-x)+1\) より、\(y=2x^2+4x-1\)
この放物線を、\(x\) 軸方向に\(3\)、\(y\) 軸方向に\(-4\) 平行移動すると、
\(y-(-4)=2(x-3)^2+4(x-3)-1\) より、
こういった問題が出されたとき、最後にするべきことは検算です。頂点が設問どおりに移動しているか、確かめます。
解答の関数を式変形し、放物線の頂点を求めます。
\(y=2(x-2)^2-7\) となるので、頂点は\((2, -7)\) です。
この点を、\(x\) 軸方向に\(-3\)、\(y\) 軸方向に\(4\) 平行移動すると、\((-1, -3)\) となります。さらにこの点を原点に関して対称移動すると、\((1, 3)\) と求められます。
また、問題中であたえられた関数の頂点は、
\(y=-2(x-1)^2+3\) より、\((1, 3)\) とわかり、平行移動と対称移動した後の点と一致します。
簡単でいいので、グラフや座標を描きながら検算するのが一番確実です。
最後に、二次曲線の問題と言えばコレ!というくらいよく出される、最大と最小について例題を解いて、終わりにします。
(1) \(y=-2x^2+4x+3\) \((0\) ≦\(x\) ≦\(3)\)
(2) \(y=x^2-2(a+1)x+4a+1\) \((1\) ≦\(x\) ≦\(3)\)
(1) グラフを描きます。その際、\(x\) の範囲も忘れずに描きます。
よって、答えは、
\(x=3\) のとき、最小値\(-3\)
\(x=0\) のとき、\(y=3\) となりますが、これは最小でも最大でもないので、注意が必要です。
(2) まずは、頂点がわかるように、式変形します。
\(y=\left\{x-(a+1)\right\}^2-a^2+2a\)
頂点\((a+1, -a^2+2)\) は、\(a\) が変化すると放物線の軸\(x=a+1\) も変化することがわかります。つまり、\(a\) の値によって、場合分けが必要になります。どういった場合分けをするのがいいかは、与えられた\(x\) の範囲に対して、放物線がどこにあるのかを考えて決めます。
下の図は、\(1\) ≦\(x\) ≦\(3\) に対して、\(a\) の値が大きくなっていくにつれて、つまり放物線の軸が左から右へと移動するにつれて、放物線との位置関係がどのように変化するかを図示しました。どの瞬間に位置関係が変化するのかに着目します。
まず、上段左の場合です。このとき、放物線の軸\(a+1\) が\(1\) より小さく、\(a+1<1\) つまり\(a<0\) です。\(x=1\) のとき最小値、\(x=3\) のとき最大値になります。
次に、上段真ん中についてです。放物線の軸\(a+1\) が\(1\) より大きく、与えられた\(x\) の範囲の中央値である\(2\) より小さい場合、\(1\) ≦\(a+1<2\)つまり\(0\) ≦\(a<1\) のときです。このとき、放物線の頂点\(x=a+1\) において最小、\(x=3\) のとき最大です。
上段右の場合が抜けがちです。放物線は、常に放物線の軸に対して線対称の形です。つまり、軸\(a+1\) が与えられた\(x\) の範囲の中央値\(2\) にある場合、\(x=1\) のときと\(x=3\) のときの\(y\) の値は同一になります。よって、 放物線の頂点\(x=a+1\) において最小、\(x=1, 3\) のとき最大です。
同様に考えると、下段左は、\(2<a+1\) ≦\(3\)、つまり\(1<a\) ≦\(2\) のとき、\(x=a+1\) で最小、\(x=1\) で最大となり、下段右については、\(a+1>3\)、つまり\(a>2\) のとき、\(x=3\) で最小、\(x=1\) で最大となります。
よって、
以上です。
まとめ
二次曲線は、他の分野とも絡めたりして、応用問題を作りやすく、いろんなパターンの問題があります。でも、基本に忠実に、グラフと座標を描き、何が変化して何が変化しないかに意識をおいて練習すれば、難しい問題も難なく解けるようになります。頑張りましょう!
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