【数学IA】三角比をマスターしましょう!

数学IA

みなさん、こんにちは。前回は、二次不等式について学びました。二次不等式については「【数学IA】二次不等式をマスターしましょう!」を詳しくみてください。

 

そして、HIMOKURI「数学IA」の今回のテーマは、【三角比】です。

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たかし君

また新しいことを習うのですか?もう、結構訳がわからない!!!

 

名前だけ聞くと、新しいことのように聞こえますが、こちらもこれまでに習った直角三角形の性質を基礎として、少し発展させた内容になっているので、心配ありません。では、始めていきましょう。

 

ここでは、数学のテストで安定して得点できるようになるために、基礎から応用へとステップを踏んで説明します。数学が苦手な人は、始めは基礎の部分だけを克服して、苦手意識が払拭できてきたら徐々に応用に進んでもいいでしょう。

 

まずは、各カテゴリーで少しずつでも得点し、試験でどんな範囲が出ても安定的に得点できるようにすることが目標です。次のステップでは、入試対策として苦手な科目やカテゴリーを戦略的に克服して、できるだけ満点に近づけるように持っていきましょう。

 

この分野は、センター試験・二次試験のどちらにおいても、よく出題される分野です。グラフを使って定義や公式を思い出すことができるようになれば、難しいことはありません。繰り返し練習してマスターおきましょう。

 

三角比とは?


中学校では、ある特定の三角形における、辺の長さや角度の関係を学びました。

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S先生

覚えていますか?

 

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たかし君

テストのときは覚えていたけど、自信ないかも。

(1) 3つの角が45°・45°・90°の直角三角形の3辺の長さの比は、\(1:1:\sqrt{2}\)
(2) 3つの角が30°・60°・90°の直角三角形の3辺の長さの比は、\(1:\sqrt{3}:2\)
(3) 直角三角形の3辺の長さの関係は、\(a^2+b^2=c^2\)

 

高校数学1Aでは、この内容を、もっと広い範囲に適用できるように発展させます。上では直角三角形に限定していましたが、直角三角形以外の三角形では、辺の長さや角度にどのような関係があるのかを考えます。つまり、辺の長さと角度を結びつける新しい概念を取り入れます。

三角形は、例えば鋭角\(\theta\) を持つ直角三角形など、同じ形でも大きさが違うという相似なものがたくさん存在します。辺の長さと角度の関係を考えるにあたって、辺の長さをそのまま使って考えると、いろんな大きさの三角形が出てくるたびに、新しい定義が必要になってきます。

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S先生

では、たくさんの相似な三角形でも、一定のものって何でしょう?

 

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たかし君

一定???

 

辺の長さの比です。比を使えば、辺の長さに影響されずに、辺の長さや角度の関係を表すことができます。この考えに基づいて、3辺のうちの2辺ずつを用いた比を、分数の形で定義したのが三角比です。

これは定義です。つまり、覚えることです。この定義を覚えないと先には進めません。

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たかし君

でも覚えにくい。。。

 

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S先生

覚え方があります。もしかすると、他でいろんな先生が紹介しているところや、参考書で見たことがあるかもしれませんね。

 

それぞれの初めのアルファベットを、筆記体で、三角形を囲むように書いてみます。

最初に通る辺が分母、次に通る辺が分子になります。このとき注意するのが三角形の配置です。正弦・余弦・正接など、求める角を左下にします。その右に直角の角を置き、残りの角が頂点になるようにします。この配置を間違えると、この後正しく計算できません。

 

また、30°・45°・60°くらいは、値も思い出せるようにしておきましょう。三角形を思い出せば、今ある知識で導き出せます。


例えば、

 

\(\sin 30°=\frac{1}{2}\)
\(\cos 45°=\frac{1}{\sqrt{2}}=\frac{\sqrt{2}}{2}\)
\(\tan 60°=\sqrt{3}\)

 

といった具合です。ここまで、三角比の定義について説明しました。

三角比を図にしてみると…

これまでの定義では、直角三角形についてのみ考えていたので、\(\sin \theta\)・\(\cos \theta\)・\(\tan \theta\) において、\(\theta\) が鋭角(\(0\text{°}<\theta<90\text{°}\))と限定されていました。

 

これをさらにどんな角度にも適用できるように、定義を拡張します。三角比をさらに深く考えるにあたって、どのような三角形を使って考えるのが、楽に考えられるでしょう?

 

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たかし君

え、楽に?楽に考えられる三角形なんてあるの?

 

定義では、三角比はすべて分数で表されていました。分数の分母が\(1\) なら、つまり斜辺の長さが\(1\) なら、\(\sin \theta=\frac{対辺}{斜辺},\cos \theta=\frac{底辺}{斜辺}\) は、それぞれ対辺と底辺の長さで表されます。

 

よって、角度\(\theta\) の角を原点に置き、斜辺\(1\) の三角形を考えます。\(\theta\) を変化させると、原点を中心とする半径\(1\) の円ができます。これを単位円と呼びます。

図からわかるように、斜辺と円の交点\(P\) の座標は、斜辺の長さが\(1\) なので、\(P(\cos \theta, \sin \theta)\) となります。\(\cos \theta, \sin \theta\) の値が座標\((x, y)\) として求められます。

 

よって、単位円を用いると、三角比は下のように定義されます。

長さが\(1\) で\(x\) 軸正方向からの回転角\(\theta\) の線分と、単位円の交点\(P\) の座標は\((\cos \theta, \sin \theta)\)

 

単位円の考えを取り入れることによって、\(\theta\) は鋭角に限定される必要がなくなり、三角比の定義が拡張されました。

 

例題\(\sin 120°\) , \(\cos 120°\) の値を求めよ。

単位円を描いてみます。

図を描いてみると、これまで習った知識で解けることがわかります。ピンクの直角三角形に注目して、辺の長さの比から求めます。斜辺の長さが\(1\) であることから、答えは、


\(\sin 120°=\frac{\sqrt{3}}{2}\),\(\cos 120°=-\frac{1}{2}\)

 

単位円を用いて、\(\sin \theta\) や\(\cos \theta\) がどのように表されるかはわかりました。では、\(\tan \theta\) はどのように表されるでしょうか?

 

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S先生

ヒントは、「どうやったら分母を\(1\) にすることができるか?」です。

 

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たかし君

\(\tan \theta\) の分母は底辺だから…

 

\(\tan \theta=\frac{対辺}{底辺}\) なので、分母を\(1\) にするということは、底辺の長さを\(1\) にするということです。底辺の長さが\(1\) の直角三角形で考えると、\(\tan \theta\) は対辺の長さと一致します。座標を描くと、

\(\theta\) を鋭角から鈍角まで拡張した場合を、\(120°\) を例に考えてみると、

上図のように、\(120°\) の場合も、\(60°\) の知識から求められることがわかります。

三角比ってどういう性質があるの?

次は、定義から導き出される性質を説明します。教科書では公式と表されているかもしれません。

 

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たかし君

え、公式?また暗記??

 

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S先生

暗記が得意な人は暗記してください。苦手な人は自分で導き出せるようにしておくのがいいですね。どちらにしても、導き方を理解しておくことが大事です。

 

まずは3つの三角比の関係から!

3つの三角比、\(\sin, \cos, \tan\) の関係は以下のようになっています。

では上から順に証明します。

 

まずは、\(\tan A=\frac{\sin A}{\cos A}\) から証明しましょう。

 

上の図の△\(ABC\) において、

\(\sin A = \frac{a}{c}, \cos A = \frac{b}{c}\) より、\(a=c \sin A, b=c \cos A\) \(\cdots(ア)\)

ここで、\(\tan A=\frac{a}{b}\) に(ア)の両式を代入すると、

\(\tan A=\normalsize\frac{c\sin A}{c\cos A}=\normalsize\frac{\sin A}{\cos A}\)

 

他の2つの角についても、同様に証明されます。

 

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たかし君

難しそうに見えたけど、意外と単純な式変形だけだったなぁ。もしかしたら、次もできるかも!

 

次は、\(\sin^2 A+\cos^2 A=1\) について証明します。

 

上図の△\(ABC\) において、三平方の定理より、\(a^2+b^2=c^2\)

これに、(ア)の両式を代入して、

\(c^2\sin^2 A+c^2\cos^2 A=c^2\)

両辺を\(c^2\) で割ると、

\(\sin^2 A+\cos^2=1\) \(\cdots\)(イ)

この式は、\(\sin A\) と\(\cos A\) の関係を示しています。

 

残りの2式、\(1+\tan^2 A=\frac{1}{\cos^2 A}, 1+\frac{1}{\tan^2 A}=\frac{1}{\sin^2 A}\) については、(イ)の両辺をそれぞれ\(\cos^2 A, \sin^2 A\) で割ることで導かれます。

 

\(\angle{A}\neq 90\text{°}\) のとき、(イ) の両辺を\(\cos^2 A\) で割ると、

\(\frac{\sin^2 A}{\cos^2 A}+\frac{\cos^2 A}{\cos^2 A}=\frac{1}{\cos^2 A}\)

\(\tan A=\frac{\sin A}{\cos A}\) より、\(1+\tan^2 A=\frac{1}{\cos^2 A}\) が導かれます。これは、\(\cos A\) と\(\tan A\) の関係を示しています。

 

\(\angle{A}\neq 0\text{°}, 180\text{°}\) のとき、(イ) の両辺を\(\sin^2 A\) で割ると、

\(\frac{\sin^2 A}{\sin^2 A}+\frac{\cos^2 A}{\sin^2 A}=\frac{1}{\sin^2 A}\)

ここでも、\(\tan A=\frac{\sin A}{\cos A}\) より、\(1+\frac{1}{\tan^2 A}=\frac{1}{\sin^2 A}\) となり、これは、\(\sin A\) と\(\tan A\) の関係を示しています。

 

例題を解いてみましょう。

例題\(0°\text{≦}\theta\text{≦}180°\) とする。\(\sin \theta=\frac{15}{17}\) のとき、\(\cos \theta,\tan \theta\) を求めよ。

\(\sin \theta\) から、\(\cos \theta\) を求めるときは、\(\sin \theta\) と\(\cos \theta\) の関係を表す式を使います。

\(\sin^2 \theta+\cos^2 \theta=1\) より、

$
\begin{array}{rcll}
\cos \theta&=&\pm\sqrt{1-\sin^2 \theta}\\
&=&\pm\sqrt{1-(\normalsize\frac{15}{17})^2}\\
&=&\pm\sqrt{\normalsize\frac{64}{289}}\\
&=&\normalsize\pm\frac{8}{17}
\end{array}
$

$
\begin{array}{rcll}
\tan \theta&=&\frac{\sin \theta}{\cos \theta}\\
&=&\normalsize\frac{\frac{15}{17}}{\pm\frac{8}{17}}\\
&=&\normalsize\pm\frac{15}{8}
\end{array}
$


\((\cos \theta, \tan \theta)=(\pm\frac{8}{17}, \pm\frac{15}{8})\)(複号同順)

 

余角\(90°-\theta\) と補角\(180°-\theta\) を考えてみる!

\(90°-\theta\)、\(180°-\theta\) のことを、それぞれ余角、補角と呼びます。特に名前を覚える必要はありません。下の図で位置関係を表します。

余角・補角の三角比も、\(\theta\) の三角比から求められます。

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たかし君

あ、図をよく見たら、なんかわかりそう!

《 余角の公式 》
\[
\left\{
\begin{array}{lcll}
\sin (90°-\theta)&=&\cos \theta\\
\cos (90°-\theta)&=&\sin \theta\\
\tan (90°-\theta)&=&\dfrac{1}{\tan \theta}
\end{array}
\right.
\]

 

《 補角の公式 》
\[
\left\{
\begin{array}{lcll}
\sin (180°-\theta)&=&\sin \theta\\
\cos (180°-\theta)&=&-\cos \theta\\
\tan (180°-\theta)&=&-\tan \theta
\end{array}
\right.
\]

まずは余角の公式から証明します。文字は上の余角・補角の図と対応していますので、わかりにくいときは図と照らし合わせながら、以下を読んでください。

 

直角三角形を用いた三角比の定義より、\(\sin \theta=\dfrac{y}{r}\)、\(\cos \theta=\dfrac{x}{r}\)、\(\tan \theta=\dfrac{y}{x}\)

 

直角三角形の一つの角が\(\theta\) であるとき、もう一つの鋭角は\(90°-\theta\) と表されるので、\(90°-\theta\) の角に注目して三角比を求めると、

\(\sin (90°-\theta)=\dfrac{x}{r}\)、\(\cos (90°-\theta)=\dfrac{y}{r}\)、\(\tan \theta=\dfrac{x}{y}\)

よって、
\[
\left\{
\begin{array}{lcll}
\sin (90°-\theta)=\dfrac{x}{r}=\cos \theta\\
\cos (90°-\theta)=\dfrac{y}{r}=\sin \theta\\
\tan (90°-\theta)=\dfrac{x}{y}=\dfrac{1}{\frac{y}{x}}=\dfrac{1}{\tan \theta}
\end{array}
\right.
\]

以上より、余角の公式について証明されました。

次は、補角の公式を証明します。

 

単位円を用いた三角比の定義より、回転角\(\theta\) のときの座標を\((x, y)\) とすると、\(\cos \theta=x, \sin \theta=y\)

回転角\(180°-\theta\) のとき、座標は\(y\) 軸に対して対称となるため、\((-x, y)\) となる。よって、

\[
\left\{
\begin{array}{rcll}
\sin (180°-\theta)=y=\sin \theta\\
\cos (180°-\theta)=-x=-\cos \theta
\end{array}
\right.
\]

これらを使って、
$
\begin{array}{rcll}
\tan (180°-\theta)&=&\dfrac{\sin (180°-\theta)}{\cos (180°-\theta)}\\
&=&\dfrac{\sin \theta}{-\cos \theta}\\
&=&-\tan \theta\
\end{array}
$

以上より、補角の公式についても証明されました。

 

では、余角と補角の公式の考え方を応用した例題です。

例題\(\sin (90°+\theta), \cos (90°-\theta), \tan (90°-\theta)\) を、\(\sin \theta, \cos \theta, \tan \theta\) を使って表せ。

単位円を描いて、どこが対称になっているかを考えても求められますが、ここでは式変形を使った方法で解いてみます。

\[
\left\{
\begin{array}{rcll}
\sin (90°+\theta)&=&\sin \left\{180°-(90°-\theta)\right\}\\
&=&\sin (90°-\theta)\\
\cos (90°+\theta)&=&\cos \left\{180°-(90°-\theta)\right\}\\
&=&-\cos (90°-\theta)\\
\tan (90°+\theta)&=&\tan \left\{180°-(90°-\theta)\right\}\\
&=&-\tan (90°-\theta)
\end{array}
\right.
\]

よって、答えは、


\(\sin (90°+\theta)=\cos \theta\)
\(\cos (90°+\theta)=-\sin \theta\)
\(\tan (90°+\theta))=-\dfrac{1}{\tan \theta}\)

以上です。

まとめ

今回は、暗記する式がたくさん出てきました。こういうときは、式とにらめっこしたり、何度も書いたりして覚えるよりも、練習問題で繰り返し使ってみるのが一番です。

 

最初は、公式を見ながらじゃないと何もできないかもしれませんが、何度も使っているうちに、公式を覚えられるのはもちろん、どういうときにどの公式を使うのがいいのかの判断もできるようになって、一石二鳥です。一緒に頑張りましょう!

 

前回は、二次不等式について学びました。二次不等式については「【数学IA】二次不等式をマスターしましょう!」を詳しくみてください。

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