両統迭立から鎌倉幕府滅亡までを解説(入試問題つき)【日本史B 第29回】

鎌倉幕府は北条氏主導の得宗専制政治と御家人の窮乏化により、衰退していきました。

 

一方で天皇家では大覚寺統と持明院統の対立がきっかけで両統迭立(てつりつ)が行われます。その結果後醍醐天皇が即位しました。後醍醐天皇は討幕を目指して、2度計画を立てましたが、いずれも失敗し、隠岐へ流されます。

 

しかし、後醍醐天皇の子である護良親王をはじめ、足利高氏や新田義貞らが立ち上がり、鎌倉幕府は滅亡へと追い込まれたのです。

 

今回は両統迭立から鎌倉幕府の滅亡までの内容を解説します。また、関連する入試問題もありますので知識のアウトプットのためにも是非とも最後まで読んでください。

この記事からわかること・天皇家は大覚寺統と持明院統との間で対立する
・この状況を踏まえて幕府は両統迭立をすることを決めた
・両統迭立により、後醍醐天皇が天皇に即位
・後醍醐天皇は正中の変・元弘の変と2度の討幕計画に失敗し、隠岐へ配流
・護良親王は討幕の令旨を出したことで、再び討幕へ向けて動き出す
・足利高氏は六波羅探題を攻め落とした
・新田義貞が鎌倉へ攻め込むと、当時の執権北条高時は自害し、鎌倉幕府は滅亡した
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両統迭立

(持明院統・大覚寺統両統関係系図:Wikiより)

ここからは両統迭立から後醍醐天皇の即位までの内容について解説します。簡単にまとめれば以下の形です。

 

両統迭立をした背景

両統迭立についての説明をする前に、まずは両統迭立をすることになった背景について解説します。

 

後嵯峨法皇の死後、彼の二人の息子である亀山天皇と後深草上皇が皇位の継承をめぐって対立し始めました。

 

亀山天皇の子孫のことを大覚寺統、後深草上皇の子孫のことを持明院統といいます。やがてこの対立は大覚寺統と持明院統の争いとなって続き、しまいには幕府をも巻き込んでいくことになりました。

 

もう少し詳しく大覚寺統と持明院統の対立の流れを見ていきましょう。

 

後深草上皇から天皇の座を譲り受けた亀山天皇は、自らの子である後宇多天皇に後を託します。大覚寺統が天皇家の家督になったかと思われましたが、これをよく思わなかった後深草上皇が幕府に働きかけを行いました。

 

その結果、北条時宗の仲裁もあって、後深草上皇の息子、伏見天皇を後宇田天皇の後に即位させることに成功します。また続いて伏見天皇は息子の後伏見天皇に譲位して、上皇になりました。

 

ところが今度はこのことに対して、すでに天皇の座を退いていた亀山上皇が不満を持ちます。亀山上皇が幕府に働きかけをして、後二条天皇を即位させました。

 

そんな長引く両統の対立に対して幕府はある提案を行ったのでした。

両統迭立から後醍醐天皇即位までの流れ

1317年に行われた文保の和談の中で、幕府は大覚寺統と持明院統が交互に天皇の座につくことを提案しました。

 

これを両統迭立といいます。「迭」は「互いに」という意味です

 

この両統迭立によって天皇に即位したのが、大覚寺統後醍醐天皇でした。後醍醐天皇は自ら政治を執り行うべく、記録所を設置し、自らの権限を強化することに着手し始めました

 

S先生
S先生
「ゴダイゴ天皇」「ダイガクジ統」と「ダイ」が共通しているので覚えやすいわね

 

鎌倉幕府の滅亡

(後醍醐天皇:Wikiより)

続いて後醍醐天皇の鎌倉幕府の討幕へ向けた計画から鎌倉幕府が滅亡するまでを解説していきます。

 

S先生
S先生
いよいよ
クライマックスね。

正中の変・元弘の変

後醍醐天皇が自らの権限を強めていたころ、幕府は当時執権だった北条高時と内管領の長崎高資による得宗専制政治により、幕政の腐敗が進んでいました。御家人の不満も高くなっていきます。

 

この状況を鑑みて後醍醐天皇は討幕を企てます。1324年に正中の変、1331年に元弘の変を起こしました。

 

しかし正中の変は事前に計画が露顕してしまったことで失敗に終わります。元弘の変も近臣の密告により計画が露顕し、挙兵はしたものの結局失敗してしまいました。

 

その罪により後醍醐天皇は隠岐へと流されてしまったのです。

討幕の令旨

幕府は持明院統の光厳天皇を天皇に即位させますが、幕府に対する不満はさらに高まっていきました。後醍醐天皇の子である護良親王が討幕の令旨を出すと、次々と討幕へ向けた動きが加速していきます。

 

足利高氏が六波羅探題を攻め落とし、新田義貞は鎌倉へ攻め込みます。追い込まれた北条高時が東勝寺で自殺したため、鎌倉幕府は150年足らずで滅亡しました。1333年のことです。

 

隠岐へ流されていた後醍醐天皇は再び京都へ戻ってきて、天皇の座に返り咲いたのでした。

 

入試問題にチャレンジ

朝廷と鎌倉幕府との関係に関して述べた次の文Ⅰ~Ⅲについて,古いものから年代順に正しく配列したものを,下の①~⑥のうちから一つ選べ。
(2018年 センター試験 本試験 第三問 問3より)

 

Ⅰ 幕府は朝廷の監視などを目的に六波羅探題を設置した。
Ⅱ 幕府は皇位の継承について,両統迭立の方針を提案した。
Ⅲ 幕府からの求めにより,皇族がはじめて将軍となった。

 

①Ⅰ―Ⅱ―Ⅲ ②Ⅰ―Ⅲ―Ⅱ ③Ⅱ―Ⅰ―Ⅲ
④Ⅱ―Ⅲ―Ⅰ ⑤Ⅲ―Ⅰ―Ⅱ ⑥Ⅲ―Ⅱ―Ⅰ

 

②が正解。
まずⅠの六波羅探題を設置したのは、1221年に起きた承久の乱の後です。Ⅱの両統迭立は、1317年の文保の和談で幕府が提案したのですから、ⅠはⅡより先に起きたことであることがわかります。Ⅲについては、1252年に5代執権の北条時頼が後嵯峨天皇の子である宗尊親王を将軍にしたことから、ⅠとⅡの間に起きた出来事であると判断できますね。よって、Ⅰ―Ⅲ―Ⅱの順番となっている②が正解でした。

 

まとめ

大覚寺統と持明院統の皇位をめぐる対立を受けて、幕府は大覚寺統と持明院統が交互に天皇に即位する両統迭立をすることを提案します。両統迭立によって天皇になった後醍醐天皇が、正中の変・元弘の変と2度の討幕計画を企てるも失敗してしまい、隠岐へ配流されました。

 

しかし、その子どもの護良親王が討幕の令旨を出すと、足利高氏・新田義貞らの活躍があり、1333年鎌倉幕府は滅亡へと追い込まれました。隠岐へ流された後醍醐天皇は天皇に再び即位し、天皇親政を行ったのでした。

 

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前回の記事は「鎌倉文化について(仏教、建築、文学史なども)入試問題を解く!」です。

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コメント

  1. […] 前回の記事は「両統迭立から鎌倉幕府滅亡までを解説(入試問題つき)」です。まだ読んでいない人は是非読んでください。 […]

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