鎌倉時代になると、京都の貴族たちだけではなく鎌倉の武士たちが文化の担い手となりました。平安時代までの貴族文化と新興の武士文化の二つが互いに影響しあいながら鎌倉文化が出来上がったといえるでしょう。
鎌倉時代最大の特色は仏教の革新です。のちに「鎌倉新仏教」とよばれる仏教の革新運動は後世に大きな影響を与えました。また、有職故実や古典・和歌など古来の伝統文化もしっかりと受け継がれます。
鎌倉時代の文化についてしっかりとまとめます。
・新仏教だけではなく、旧仏教も取りこぼさないよう整理しよう
・建築物は大仏様・和様・禅宗様・折衷様の違いと代表的な建築物を抑えよう
・建築物や彫刻は資料集を活用し、写真と名前を一致させましょう
鎌倉時代の仏教
(知恩院:wikiより)
鎌倉新仏教
鎌倉時代に入ると、旧来の仏教に飽き足らない僧侶たちが新たな考え方で新宗派を開きました。大学入試で問われるのは下の表の内容です。
寺の場所は以下の形になります。しっかりと覚えましょう。
旧仏教の革新
新仏教の興隆によって旧来からの仏教勢力にも革新的な動きがみられました。大学入試で問われるのは下の表の内容です。
鎌倉時代の文学
(琵琶法師:wikiより)
和歌・紀行文
鎌倉時代は平安時代と異なるタイプの和歌が発達しました。その代表が藤原定家の編纂した『新古今和歌集』です。この和歌集の編纂を命じたのは後鳥羽上皇でした。
さらに、後鳥羽上皇は関東の源実朝とも親交をもちました。実朝の編纂させた和歌集が『金槐和歌集』です。実朝は和歌を通じて朝廷と交わりを持っていました。和歌だけではなく古来の伝統である有職故実にも通じていた才人でした。
しかし、実朝は頼家の子に暗殺されてしまいました。また、西行法師の『山家集』もよく出題されますので要注意です。
説話集・随筆
鎌倉時代を代表する説話集といえば『宇治拾遺物語』です。
『宇治拾遺物語』は『今昔物語』とならぶ説話の名作です。この二つの作品には重複する物語が収録されています。ほかにも『十訓抄』や『古今著聞集』、『沙石集』などの説話文学も書かれました。
また、鴨長明は『方丈記』を、吉田兼好(兼好法師)は『徒然草』を書き平安時代の『枕草子』とあわせて三大随筆と称されることもあります。
軍記物語・史書
武士の時代を代表する文学が軍記物語です。
平安時代末期の戦乱を題材とした『保元物語』や『平治物語』、『平家物語』は代表的な軍記物語でよく出題されます。くわえて、『源平盛衰記』もたまに出題されます。
一方、有名な歴史書も数多く編纂されました。のちの世まで大きな影響を与えた慈円の『愚管抄』や虎関師錬の『元亨釈書』はこの時代を代表する史書です。
また、鎌倉幕府の正史である『吾妻鏡』は鎌倉時代を知るうえで重要な史料となっています。
鎌倉時代の建築・彫刻
(東大寺南大門金剛力士像:wikiより)
鎌倉時代でよく出題さ入れる建築物や彫刻・絵画をまとめます。
鎌倉時代の建築
鎌倉時代の建築のポイントは建築様式と建築物の一致です。
表にまとめている建築物は大概の資料集に掲載されているものですので、持っている資料集と照らし合わせながら建築様式と建築物を一致させましょう。
鎌倉時代の彫刻
鎌倉時代の彫刻の特徴は豪快さです。武士の時代である鎌倉時代の雰囲気にマッチした力強い彫刻が多いので、他の時代と間違える可能性は低いでしょう。k
注意するべきは空也上人像のように平安時代に活躍した人物を鎌倉時代に彫刻としている場合です。空也上人は平安時代の人で、空也上人像は鎌倉時代の作品です。問題文に注意して答えるようにしましょう。
入試問題に挑戦
(引用:2016年 日本史B センター試験過去問題 第1問 問4)
紀貫之の『土佐日記』は仮名文字の日記なので ウ は かな が正解。鎌倉幕府の正式な歴史書は『吾妻鏡』。したがって、エ の 『吾妻鏡』が正解。『愚管抄』は慈円が書いた私的な歴史書であり、正式な歴史書ではありません。
まとめ
鎌倉時代はこれまでと異なり武士の影響力が強まり、世の中に新しい考え方が広がった時代でした。そのため、鎌倉文化は仏教や建築・仏像などで新しいものが次々と導入される革新的な文化となりました。
また、軍記物語のように武士たちを主人公とした物語も多数つくられました。しかし、平安時代の文化がまったくなくなったわけではありません。
和歌の分野では『新古今和歌集』や『金槐和歌集』のような新しい歌集がつくられ、建築分野でも和様や和様を大仏様や禅宗様と融合させた折衷様などが生み出され、以前からの文化と新しい文化が混ざり合うことで新しい文化となりました。
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前回の記事は「元寇(蒙古襲来)と鎌倉時代の政治・社会の変化【日本史第27回】」です。
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[…] 前回の記事は「鎌倉文化について(仏教、建築、文学史なども)入試問題を解く!」です。 […]
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