こんにちは。今回は近代以降のヨーロッパの美術史について記載します。絵画で最も多い出題形式は、作品が画像で出てきて、作品名や作者名を答えさせるものです。もう一つ多いのが、作品のカテゴリーに関する出題です。
今回は詳細な解説よりも絵画そのものをできるだけ見てほしいので、画像中心にまとめました。絵で覚えるようにしておいてください。簡単に、バロックやロココ美術から印象派やロマン主義まで入試によく出るものを大まかに解説していきます。
ルネサンス期までの美術史については「古代ギリシアからルネサンス期までの西洋の美術・建築史(出題頻度の高い絵画や画像も提示!)【世界史B】」に書いてありますので、そちらも参照してください。
・もっともよく出題されるのはバロック美術や印象派や後期印象派
・政治史との関連で出題されるのは古典主義やロマン主義
17・18世紀の欧米美術
(エル・グレコ『受胎告知』:wikiより)
17・18世紀の美術はバロック美術とロココ美術の二つに大別されます。バロック美術もロココ美術も、ともに宮廷を中心に展開された美術様式でした。
バロック美術について
バロック美術は西ヨーロッパ各地で流行した華麗でダイナミックな様式の美術のことです。バロックとはもともとポルトガル語で「歪んだ真珠」という意味で「比喩的な意味で、いびつ、奇妙、不規則さ」も指すことから、ルネサンス美術にない不規則さを表現していました。非常に華やかで、豪壮華麗なのがバロック美術の魅力だといえるでしょう。
バロック美術の作品を見ていきましょう。まずは、ベラスケスの「女官たち(ラス・メニーナス)」です。筆者がどのように描いたのか謎多い作品です。
(ベラスケス:女官たち(ラス・メニーナス))
次に、ルーベンスです。外交官の仕事をしつつ画家をしていました。アニメ『フランダースの犬』で彼の「聖母被昇天」の作品が最終回に登場しました。
(ルーベンス「聖母被昇天」)
ルーベンスの筆頭助手として活躍したファン・ダイクはイタリアやイングランドで活躍しました。
(ファン=ダイク「チャールズ1世の肖像」)
もともとレンブラントの「夜警」は、アムステルダムの裕福層のグループを描いた他の肖像画と同じく、昼間のシーンでした。絵画の表面が茶色く変色したことにより、夜の風景にみえるようになっていつしか「夜景」と呼ばれるようになった作品です。
(レンブラント『夜警』)
ロココ美術について
ロココとは貝殻や石などで飾った人造岩を意味する「ロカイユ」または「ロキーユ」に由来します。18世紀前半にフランスを中心に展開されました。バロック美術に比べると繊細で優美な作風です。
ワトーやブーシェなどが有名です。
(ワトー「シテール島の巡礼」)
(フランソワ・ブーシェ『ポンパドゥール夫人』:wikiより)
19世紀の欧米美術
(ダヴィド『ナポレオン一世の戴冠式』:wikiより)
美術においても、文学と同じようにジャンルが重要となります。ナポレオン戦争の時代の画家であるダヴィドは古典主義に分類されます。
ロマン主義で最も重要な画家はドラクロワ。フランス革命の様子を描いた「民衆を導く自由の女神」や、ギリシア独立戦争を描いた「キオス島の虐殺」は頻出です。絵の印象が全然違いますがともにドラクロワの作品なので覚えておきましょう。
(ドラクロワ「民衆を率いる自由の女神」)
(ドラクロワ「キオス島の虐殺」)
自然主義のミレーは、農民のありのままの臼を「落穂拾い」で描きます。
(ミレー『落ち葉拾い』)
後期ロココ美術のゴヤは「1808年5月3日」でナポレオン軍のスペイン遠征の際の蛮行を描きました。
(ゴヤ「1808年5月3日」)
写実主義のクールベが生きたのは、ちょうど普仏戦争のころ。「石割り人夫」の絵とともに、パリ=コミューンへの参加が聞かれるので要注意です。ちなみに石割りの絵は第二次世界大戦中に焼失してしまいました。
美術史単体でよく聞かれるのは印象派。マネ、モネ、ルノワールは印象派を代表する画家たちです。
(ルノワール「ムーラン=ド=ラ=ギャレット」)
印象派の中でもセザンヌやゴーガン(ゴーギャン)、ゴッホは後期印象派として区別されることも多いですね。
まとめ
絵画史も文学史と同じく、「~主義」などの分類と人名を一致させることが重要です。と同時に、政治史と関連がある古典主義やロマン主義については、相互の関連を理解したうえで暗記するようにしましょう。
コメント