南北問題・南南問題についてわかりやすく解説(入試問題つき)【経済第20回】

今回は、南北問題・南南問題を取り上げます。

 

南北問題は、先進国と途上国の経済格差のことで、南南問題は途上国間の経済格差です。この記事では、南北問題・南南問題それぞれが深刻化した背景について解説しました。

 

最後には入試問題も用意しているので、ぜひ最後までお読みください。

この記事からわかること

・南北問題・南南問題とは何か

・南北問題・南南問題が浮かび上がった背景

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南北問題とは

(南北問題:wikiより)

南北問題とは、北半球に多い先進国と、南半球に多い途上国との経済格差です。1960年代からクローズアップされるようになりました。

 

途上国が経済発展できない最大の理由は、モノカルチャー経済への依存が挙げられます。

 

モノカルチャーとは、農林水産物や鉱物など、特定の一次産品の輸出に依存する経済です。例えば、ガーナのココア・スリランカの茶・ガンビアの落花生・キューバの砂糖などがあります。

 

モノカルチャー経済は、特定の一次産品に依存する仕組みなので、ひとたび天候不順などが原因で生産が伸び悩んでしまうと、たちまち経済が不安定になってしまうのがデメリットです。

 

途上国の大半は、かつて先進国の植民地で、先進国向けに特手の鉱物や農作物に偏った生産をしてきた地域でもあります。

 

だから、政治的に独立したあとも、そのスタイルから脱却できず苦しんでいるわけです。

 

途上国が経済発展できない要因としては、ほかにも基礎教育の不足・不十分な医療設備・高い人口増加率・低い貯蓄率・内戦などさまざまあります。

 

そこで1960年代以降、格差を是正するための取り組みが行われるようになりました。

 

まず、1961年に設立された経済開発協力機構(OECD)は、途上国への経済援助を推進する下部機関として開発援助委員会(DAC)を設置します。

 

1964年には、途上国主導により、国連の常設機関として国連貿易開発会議(UNCTAD)が設立されました。

 

UNCTADでは、プレビッシュ報告に基づき、先進国に対して、一次産品の価格安定と輸入の増進・途上国への特恵関税制度の導入・GNP比1%の経済援助などが要求されます。

 

S先生
S先生
特恵関税制度とは、特定国の輸入品に対して、他国に対する関税よりも税率を低くする制度です。

 

また、1973年に第一次石油危機が発生したことを受け、石油輸出国機構(OPEC)に参加している産油国を中心に、自国の資源に対する主権の確立を要求する資源ナショナリズムが叫ばれるようになります。

 

翌1974年の国連資源特別総会では、途上国の天然資源に対する恒久主権や途上国に不利な交易条件の改善、援助の拡大などを盛り込んだ新国際経済秩序樹立に関する宣言(NIEO)が採択されました。

 

こうして、国家による発展途上国に対する資金・技術提供が進みます。

 

日本は、政府開発援助(ODA)の総額で1991年~2000年まで世界一でした。現在でも、先進国のなかでは援助大国に位置付けられます。

 

ただ対GNI比率が低すぎるなどの問題を抱えているのが実情です。

南南問題とは

(BRICS:wikiより)

南南問題とは、途上国間の経済格差です。

 

1970年代以降、資源を持つ国や工業化が進んだ新興国と、資源が乏しく開発も遅れている後発発展途上国との経済格差が拡大しました。

 

資源を持つ国の例としては、中東の産油国が挙げられます。

 

工業化が進んだ新興国としては、アジアだと韓国・台湾・香港・シンガポール、中南米だとメキシコ・ブラジル・アルゼンチンがありますね。

 

このように工業化の進展により、目覚ましい経済成長を遂げた国々を新興工業経済地域(NIES)といいます。

 

S先生
S先生
また、近年発展が著しいブラジル・ロシア・インド・中国・南アフリカの5か国は、まとめてBRICSと呼ばれています。

 

しかし、1980年代になると、ブラジル・メキシコなど中南米の途上国で累積債務問題が深刻化しました。

 

累積債務問題とは、先進国から借りたお金が巨額になり、返済が困難に陥る問題です。

 

やむなく先進国は、債務のリスケジューリング(繰り延べ)などを行わざるを得ない状況となってしまいました。

 

今回の範囲はここまでです。続いて入試問題を用意しているので、ぜひチェックしてみてください。

入試問題にチャレンジ

問 下線部ⓓ(政府開発援助(ODA))に関して、南北問題や、ODAをはじめとする開発協力に関する記述として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

① 1974年に新国際経済秩序樹立宣言(NIEO)が採択されたのは、国連環境開発会議(地球サミット)の場である。

② 1970年代以降に重視され始めたのは、人間が生きていく上で最低限必要な人間の基本的ニーズ(BHN)の充足である。

③ 各国のODA供与額が全世界で何位かを順位付けし、毎年の順位を見たとき、1990年代の日本のODA供与額の最高順位は2位であった。

④ 先進国は、国際通貨基金(IMF)の下部機関として開発援助委員会(DAC)を設置し、DACを中心に開発途上国への協力を行ってきた。

2022年 共通テスト 本試験 政治・経済 第1問 問6より)

答え:③
一つひとつの取引が「貿易・サービス収支」「第一次所得収支」「第二次所得収支」のどれに当てはまるのか、ていねいに分類していくことがポイントです。また、矢印の向きに注目することも重要ですよ。
まず1つ目の矢印「株式の配当」ですが、これはA国がB国に対して株式投資を行い、リターンとして配当を得たわけですから、第一次所得収支に該当します。
2つ目の矢印「医薬品のための無償資金援助」は、第二次所得収支です。
3つ目の矢印「特許使用料」は、貿易・サービス収支に当てはまりますね。
4つ目の矢印「外国人労働者による家族への送金」は、外国人労働者による母国への援助と考えると、第二次所得収支に該当します。
5つ目の矢印「国債の利子」は、先ほどの「株式の配当」と同様、第一次所得収支です。
最後の矢印「電気機器の輸入代金」は、貿易・サービス収支ですね。
これを踏まえて、「貿易・サービス収支」「第一次所得収支」「第二次所得収支」を算出します。
貿易・サービス収支は、特許使用料(25億ドル)と電気機器の輸入代金(35億ドル)です。特許使用料は矢印の向きから判断すると、B国からA国へお金が流入しているので、プラスになります。逆に電気機器の輸入代金はマイナスになるので、貿易・サービス収支は-10億ドル(=25-35)です。
第一次所得収支の、株式の配当(40億ドル)と国債の利子(10億ドル)はともにB国からA国へお金が流入しているわけですから、いずれもプラスになります。よって第一次所得収支は50億ドル(=40+10)です。
第二次所得収支の、医薬品のための無償資金援助(5億ドル)と外国人労働者による家族への送金(10億ドル)はいずれもB国へお金が流出しているため、マイナスになります。したがって第二次所得収支は-15億ドルです。(=-5-10)以上より、正解は③となります。
正解:②
 ①:NIEOが採択されたのは、1974年の国連資源特別総会です。地球サミットは1992年に開催されました。③:日本のODA供与額は、1991年~2000年まで世界1位でした。④:DACはOECDの下部機関なので誤りです。
答え:①
②・③:経常収支には、旅行や輸送によって生じる収支や、雇用者報酬・消費財の無償援助が含まれます。
④:直接投資は、金融収支に含まれるので、間違いです。

まとめ

今回は、南北問題・南南問題について解説しました。

 

この記事を読んで、南北問題・南南問題それぞれの違いをしっかりマスターしていただければ幸いです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

前回の記事「地域的経済統合(EU・ASEAN・TPPなど)についてわかりやすく解説【経済第19回】」ですのでよければ読んでください。

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