古典動詞の上二段活用と下二段活用の4つのポイントを理解して問題を解こう

今回は古典文法の古文動詞の中でも、上二段活用と下二段活用について解説します。古文の上二段活用と下二段活用に分類される動詞は、四段活用をする動詞と共に数多くあり、自分で活用の種類を見分ける必要があります。とりわけ、ヤ行上二段活用、ワ行下二段活用、ラ行下二段活用 は特殊なのできちんと理解し覚えるようにしましょう。

上二段活用と下二段活用現代語の動詞とは少し異なる活用の仕方をしますので、そこにも注意が必要です。上二段活用と下二段の活用については活用の表も載せてあるので表もしっかりと暗記できるようにしましょう。

では、今回も一つずつしっかり学んで、古文を読む時の武器を増やしていきましょう。

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上二段活用の動詞

上二段活用の動詞は「イ・イ・ウ・ウル・ウレ・イヨ」と活用します。実際の例として上二段活用の「起く」という動詞の活用をみてみましょう

例)起く

未然形連用形終止形連体形已然形命令形
くるくれきよ

起「き・き・く・くる・くれ・きよ」となっていますね。そして、これはイ段、ウ段の2段に渡って活用するので、「上二段活用」と言います。

上二段活用の動詞を見分ける時には、「ず」を付けて未然形を作り、「ず」の直前がイ段音になっているものを選びます。

例)起く 「起く」+「ず」→「起ず」

ヤ行上二段活用の動詞は覚えてしまおう!

ヤ行上二段活用の動詞は「老ゆ」「悔ゆ」「報ゆ」があります。ヤ行上二段活用は「い・い・ゆ・ゆる・ゆれ・いよ」と活用します。

このうち、未然形や連用形の「い」、命令形の「いよ」がア行と区別がつきにくいため、ヤ行上二段活用の動詞は覚えてしまいましょう。

四段活用に似た上二段活用動詞

上二段活用の動詞のうち、「恋ふ」「滅ぶ」「恨む」は四段活用と間違えやすいので、覚えてしまいましょう。

《練習問題》

次の各文の中から、上二段活用の動詞を抜き出し、その活用形を答えよう。

1、悔ゆれども取り返さるる齢ならねば

2、日数のはやく過ぐるほどぞ、ものにも似ぬ。

3、あるいは大家滅びて小家となる。

《解答&解説》

悔ゆれ/已然形。「悔ゆれ(悔ゆ)」は未然形が「悔い」となるので、上二段活用と判断でき、また、「取り返さ(取り返す)」は未然形が「取り返さ」となるので、四段活用と判断できます。

過ぐる/連体形
文中に動詞は「過ぐる」「似」の2つがあります。

滅び/連用形。文中に動詞は「滅び」「なる」の2つがあります。「滅び(滅ぶ)」は未然形が「滅び」となるので、上二段活用と判断できます。また、「滅ぶ」は覚えるべき上二段動詞でもありましたよね。「なる」は未然形が「なら」となるので、四段活用の動詞です。

下二段活用の動詞

下二段活用の動詞は「エ・エ・ウ・ウル・ウレ・エヨ」と活用します。下二段活用の動詞として「受く」があります。

未然連用終止連体已然命令
くるくれけよ

受「け・け・く・くる・くれ・けよ」となっています。ウ段、エ段の2段に渡って活用するので、「下二段活用」と言います。

下二段活用の動詞を見分ける時には、「ず」を付けて未然形を作り、「ず」の直前がエ段音になっているものを選びます

例)受く 「受く」+「ず」→「受ず」

覚えるべき下二段活用の動詞

ワ行下二段活用の動詞→「植う」「飢う」「据う

→「ゑ・ゑ・う・うる・うれ・ゑよ」と活用する

ア行下二段活用の動詞→「得(う)」「心得(こころう)」

→「え・え・う・うる・うれ・えよ」と活用する

ア行、ヤ行、ワ行の「i」と「e」は、発音上は同じであるため、見分けがつきにくい場合があります。また、ワ行であれば「i」は「ゐ」と、「e」は「ゑ」と書く必要があります。それらを混同せずに、正確に答えられるようにするためにも、ワ行とア行の下二段活用動詞は覚えてしまいましょう。

語幹のない下二段活用の動詞

下二段活用の動詞のうち、「得(ア行)」「寝(ナ行)」「経(ハ行)」は語幹がなく、1字で活用します。

《練習問題》

次の文中から、下二段活用の動詞を抜き出し、活用形を答えよう。

1、五文字を句のかみに据ゑて、旅の心を詠め。

2、さて、年ごろ経るほどに

3、もの心づきなき御気色絶えず。

《解答&解説》

据ゑ/連用形。文中に動詞は「据ゑ」「詠め」の2つがあります。「据ゑ(据ゆ)」は未然形が「据ゑ」となるので、下二段活用だと判断できます。「詠め(詠む)」は未然形が「詠ま」となり、四段活用です。
経る/連体形。文中の動詞は「経る(経)」のみです。未然形は「経(へ)」となりますので、下二段活用です。
絶え/未然形。文中に動詞は「絶え(絶ゆ)」のみです。未然形は「絶え」となりますので、下二段活用です。

上二段動詞、下二段動詞の見分け方

四段活用も含め、上二段活用、下二段活用の動詞は数多くあり、それぞれの活用の種類を自分で見分ける必要があります。

活用の種類の見分け方

それぞれの動詞に「ず」をつけ、未然形を作ります。

活用の識別方法ア段の活用であれば、四段活用  例)咲く + ず → 咲ず(カ行四段活用)

イ段の活用であれば、上二段活用  例)落つ + ず → 落ず(タ行上二段活用)

エ段の活用であれば、下二段活用  例)捨つ + ず → 捨ず(タ行下二段活用)

のように見分けます。

《練習問題》

次の下線部の動詞について、活用の種類と活用形をそれぞれ答えましょう。

1、わが寝る所に率て入りて、

2、四十過ぎぬれば、かたちを恥づる心もなし。

3、鳴かぬかぎりはあらじとぞ思ふ

《解答&解説》

ナ行下二段活用/連体形。「寝る(寝)」は未然形が「寝(ね)」ですから、下二段活用です。
ダ行上二段活用/連体形。「恥づる(恥づ)」は未然形が「恥ぢ」ですから、上二段活用です。
ハ行四段活用/連体形。「思ふ(思ふ)」は未然形が「思は」ですから、四段活用です。係助詞「ぞ」がありますから、係り結びにより、終止形ではなく連体形です。

まとめ

四段活用と共に、見分ける作業の必要な上二段活用、下二段活用の動詞ですが、たくさん古文に触れることで、慣れることができます。古文を読む時、問題を解く時など、活用の種類も指摘しながら学習してみましょう。

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