生物基礎のテスト勉強をしている時に、こんな疑問はないですか?
体内の血糖量ってどうやって調節されているの?
糖尿病って何?
こんなお悩みを解決できるようにわかりやすく解説します。また、問題演習も用意しているので最後までしっかり読んでください。
血糖量とは
血糖量とは、血液中のグルコースの量のことです。
ヒトの正常血糖量は、約100mg/100mLです。
これより血糖値が低いと「低血糖」、高いと「高血糖」です。
血糖量を上昇させるメカニズム
血液中の血糖量が正常な状態より低下すると、ホルモンが分泌され血糖量を増加させる働きをします。
そのホルモンには5種類あります。
まず、神経によって調節されるホルモンは2種類あります。
- アドレナリン
- グルカゴン
この2種類のホルモンは、脳の視床下部に「血糖量が少ない」という情報が与えられると分泌され、交感神経(興奮させる神経)を伝わって内臓から血糖を作り出します。
- アドレナリンは副腎髄質から分泌されます。
- グルカゴンはすい臓のランゲルハンス島A細胞から分泌されます。
いずれのホルモンも肝臓内に貯えられているグリコーゲンをグルコースに分解することによって、血液中の血糖量を増加させるので、血糖値が上昇します。
下垂体(かすいたい)中の前葉(ぜんよう)から分泌されるホルモン
次に、下垂体(かすいたい)中の前葉(ぜんよう)から分泌されるホルモンが2種類あります。
まず、視床下部が血糖値の低下を認識します。
すると、成長ホルモン放出ホルモンが分泌され、脳の下垂体中の前葉から成長ホルモンが分泌されます。
また、視床下部からは甲状(こうじょう)腺(せん)刺激ホルモン放出ホルモンも分泌されます。
このホルモンが前葉に伝わり、甲状腺を刺激して、甲状腺からチロキシンというホルモンが分泌されます。
成長ホルモンとチロキシンは、いずれも肝臓のグリコーゲンをグルコースに分解し、血糖値を上昇させます。
このうち、アドレナリン・グルカゴン・成長ホルモンはペプチドホルモンです。
また、チロキシンはアミノ酸ホルモンです。
いずれも、肝臓内に貯えられているグリコーゲンを分解し、グルコースとして血液内に放出することによって血糖値を上昇させます。
グルコースの材料としてタンパク質を利用するホルモン
先に挙げた4つのホルモンの他に、グルコースの材料としてタンパク質を利用するホルモン(ステロイドホルモン)があります。
それが糖質コルチコイドです。
低血糖になると、他の4つのホルモンと同じように、脳の視床下部が低血糖を認識すると、副腎(ふくじん)皮質(ひしつ)刺激ホルモン放出ホルモンが分泌され、その情報が下垂体中の前葉に届けられます。
前葉は副腎皮質刺激ホルモンを分泌し、それが副腎皮質に届くと、副腎皮質は糖質コルチコイドというホルモンを分泌します。
このホルモンによってタンパク質がグルコースに糖化されて、グルコースを血液中に放出し、血糖値が上昇します。
フィードバックのシステム
血糖値を上昇させるホルモンが放出され続けると、高血糖状態になってしまうので、血液中の血糖量を一定に保つシステムが必要です。
これをフィードバックと言います。
血液中に分泌されたチロキシンは、血管を通って全身をめぐり、脳の視床下部や前葉に到達します。
すると、視床下部や前葉はホルモンの放出を停止します。
これがフィードバックです。
フィードバックがあることによって、血糖値が上昇しすぎるのを抑えることができます。
分泌されたホルモンが、ホルモン分泌に関わった器官に抑制的に作用してホルモン分泌を停止させるので、このフィードバックのことを「負のフィードバック」といいます。
血糖値を低下させるホルモン
血糖量が正常な状態より上昇し、高血糖状態になってしまった場合もホルモンによって調節されます。
血液中のグルコース量が増えると、脳の間脳内の視床下部を刺激します。
すると、視床下部から副交感神経を伝わって、血糖量が増加しているという情報がすい臓のランゲルハンス島のB細胞に到達します。
そして、B細胞からインスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンが分泌されると、グルコースが全身の細胞内に取り込まれます。
そして、肝臓や筋肉でグルコースからグリコーゲンが合成され、再びグルコースが必要な状態になるまで貯えられます。
糖尿病のメカニズム
血糖値が何らかのきっかけで高い状態から戻らなくなることがあります。
そうすると、腎臓内の糸(し)球体(きゅうたい)で高濃度のグルコースがろ過されるので、ろ過された原尿中に高濃度のグルコースが含まれることになります。
本来ならば全てのグルコースが体内に再吸収されるのですが、グルコースが高濃度だと再吸収しきれず、尿内にグルコースが含まれた状態になります。
この状態が続くのが糖尿病です。
Ⅰ型糖尿病の場合は、すい臓のランゲルハンス島B細胞がウイルスに感染し、ウイルスに感染したB細胞を体内の免疫細胞が食作用によって減少させてしまいます。
このためインスリンが作られなくなり、血液中の血糖量が多すぎる状態から正常な血糖量に戻すことができなくなります。
自分自身の免疫細胞がインスリン産生を低下させるので、Ⅰ型糖尿病は自己免疫疾患の一つです。
Ⅱ型糖尿病の場合は、インスリンを産生することはできますが、インスリンまたは体内の細胞(受容細胞)に何らかの異常があり、インスリンを取り込むことができなくなります。
そのため、血液中のグルコースが減少せず、血液中の血糖量が高い状態に保たれてしまいます。
問題練習
血糖量調節に関するホルモンについて次の問いに答えよ。
(1)副腎髄質より分泌される血糖値上昇に関するホルモンの名称とそのホルモン分泌を促進する神経の名称を答えよ。
(2)すい臓から分泌されるグルカゴンは、何という組織の何細胞から分泌されるか答えよ。
(3)(1)およびグルカゴンはどの器官に作用して血糖値上昇を促すか答えよ。
(4) 直接肝臓に作用して血糖値上昇を促す前葉ホルモンを答えよ。
(5) 甲状腺より分泌されるホルモンのうち、血糖値を上げるホルモンを答えよ。
(6)(4)のホルモンは、視床下部の何というホルモンで分泌が促されるか答えよ。
(7)糖質コルチコイドを分泌させる前葉ホルモンを答えよ。
(8) 糖質コルチコイドは何を分解してグルコースにするか答えよ。
(9)糖質コルチコイドは、ペプチド、アミノ酸、ステロイドのいずれでできているかを答えよ。
問2.血糖を低下させるホルモンについて次の問いに答えよ。
(1) 血糖値の上昇は、視床下部からすい臓へ何で伝えられるか答えよ。
(2)(1)によって、すい臓ランゲルハンス島B細胞より分泌されるホルモンを答えよ。
(3)(2)が全身の細胞と肝臓で、どのように作用して血糖値の低下がなされるか答えよ。
問3.次の問いに答えよ。
(1) 血糖値が高く、尿中にグルコースが排出されてしまう病気を何というか答えよ。
(2)(1)の中で、インスリンの産生は伴うものの、インスリンが作用しないことで発症されるのは何型か答えよ。
(3)(2)は何によって引き起こされるか2つ答えよ。
まとめ
今回は血液中の血糖量の調節について学習しました。
血糖量を増加させるのには5つのホルモン、血糖量を減少させるのにはインスリンというホルモンが働いています。
また、糖尿病には2つの型があり、インスリンが産生されないのがⅠ型糖尿病、インスリンは産生されるけれど体内に取り込まれないのがⅡ型糖尿病です。
もし忘れたら、またこの講義に戻ってきて、ぜひ今後の勉強に役立ててくださいね。
最後までありがとうございました。
ちなみに、血糖値があがるらーめんについてはこちら。
コメント
[…] ふううう。満腹じゃ、満腹じゃ。炭水化物の大量摂取で血糖値が上がっておるわ。心地よいぞ。ちなみに血糖値についてのお話はこちら。 […]