私たちの体の中では、たくさんの化学反応が起こっています。
化学反応を円滑に進めるために、必要なのは酵素という物質です。
入れ歯洗浄や、洗剤、食品などでも、酵素という名前を聞いたことがあるかも知れません。
この記事では、酵素について解説したいと思います。
記事の最後には、入試問題がついています。
是非、記事を読んだ後、入試問題で理解度を確認してみてください。
酵素とは
体の中では、化学反応が同時進行で進んでいます。
このような体の中での化学反応を代謝といいます。
化学を促進し、反応速度を早めるが自分自身は変化しない物質を触媒といいます。
生体内で働くタンパク質でできた触媒を酵素と呼びます。
酵素の主成分
酵素の主成分は、タンパク質です。
タンパク質は、アミノ酸がいくつも繋がってできている物質です。
酵素の特性
酵素の特性は、
- 基質特異性
- 最適温度でよく働く
- 最適P Hでよく働く
などがあります。
基質特異性
酵素が働く相手の物質を基質といいます。
反応によって作られた物質を生成物といいます。
酵素と基質は、鍵と鍵穴のような関係です。
酵素には、基質と結合する場所があります。
この鍵穴にあたる場所を、活性部位といいます。
鍵と鍵穴がくっついている状態を酵素―基質複合体と言います。
酵素は、自分の担当になる特定の基質とだけ結びつきます。
特定の基質とだけ酵素が結びつくことを基質特異性といいます。
鍵穴にはまる鍵しか結合することができないのです。
![S先生](https://i0.wp.com/wearewhatwerepeatedlydo.com/wp-content/uploads/2019/11/74a89b3d2683b4080dce4d7ceab99523.png?w=1256&ssl=1)
決められた相手とだけくっつくなんて、酵素は一途ね
最適温度
酵素には、最もよく働く温度があります。
化学反応が起こるには、反応する分子同士が衝突する必要があります。
つまり、基本的には温度が上がれば上がるほど、反応速度は上がります。
酵素の場合もあるところまでは、反応速度は上がります。
しかし、ある一定の温度になると酵素の反応速度は下がります。
これは酵素がタンパク質でできている為です。
タンパク質は、高い温度だと立体構造が壊れて変性してしまいます。
目玉焼きもタンパク質が変性することで出来上がります。
変性すると元のタンパク質とは、性質が変わってしまいます。
そして、タンパク質は活性が失われてしまうのです。
活性が失われることを失活と言います。
最適pH
それぞれの酵素は、特定のp Hの時によくはたらきます。
酵素によってのp Hでよく働くかが違います。
基質濃度と反応速度
一定量の酵素があるとします。
基質濃度を変えて反応速度を増やすとどうなるでしょうか。
基質濃度があるところに達するまでは、反応速度はあがります。
しかし、あるところになると反応速度は一定になります。
反応速度が一定になる時、基質濃度が早くなると全ての酵素が常に基質と結合している状態になっています。
基質が反応を終えるまで、次の基質が酵素に結合することができないので、反応速度が一定になるのです。
入試問題
生体内では特殊な場合を除いて、常温、中性に近いpHという条件で化学反応が効率よく行われており、これは、酵素のはたらきによる。
酵素の本体は( ア )からなる。
酵素が作用する物質を( イ )という。
酵素には、( イ )と結合する鍵穴のような( ウ )があり、これは特定の( イ )としか結合できない。
この性質を( エ )という。
酵素と( イ )が結合すると、( オ )ができ、化学反応を起こして( イ )が( カ )へと変化する。
( カ )は酵素から離れる。
酵素の反応速度は( キ )や( ク )などの条件によって変化する。
また、生体内では(a)一連の酵素反応の最終産物が,最初の段階ではたらく酵素の活性を抑制して反応速度を調節していることがある。
この場合、(b)最終産物が最初の段階ではたらく酵素の( ウ )とは異なる部分に結合して、反応を阻害する。
(1) 文章中の( )に下記の語群から適切な語を選んで入れ、文章を完成させよ。
〔語群〕
- 生成物
- 受容体
- 活性部位
- 基質
- タンパク質
- pH
- 情報伝達物質
- ホルモン
- 基質特異性
- 温度
- 酵素-基質複合体
(2) 酸性、アルカリ性でよくはたらくヒトの酵素を1つずつ答えよ。
〔リードα 11 静岡理工大 改〕
【解説】
(1)
- ア タンパク質
- イ 基質
- ウ 活性部位
- エ 基質特異性
- オ 酵素-基質複合体
- カ 生成物
- キ・ク pH 温度(順不同)
酵素はタンパク質でできていて、基質と活性部位で結びつきます。
そして、酵素−基質複合体を作ります。
その後、生成物ができます。
酵素の性質は、
- 基質特異性
- 最適温度で働く
- 最適pHで働く
です。
(2)
酸性 ・・・ ペプシン
アルカリ性 ・・・ トリプシン
胃に存在するペプシンは、酸性で一番はたらきます。
す液に存在するトリプシンは、アルカリ性の時に一番はたらきます。
まとめ
・ 化学を促進し、反応速度を早めるが自分自身は変化しない物質を触媒といいます。
・ 生体内で働くタンパク質でできた触媒を酵素と呼びます。
・ 酵素の特性は、
- 基質特異性
- 最適温度でよく働く
- 最適P Hでよく働く
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