みなさん、こんにちは。いよいよ試験が近くなってきました。
今回は、センター試験と共通テスト(施行調査)を比較して、今後の世界史の勉強をどのようにしていければいいかについて述べていきます。
以下具体的に話をします。今回の話の内容について以下の表にまとめました。
センター試験 | 共通テスト(施行テスト) | |
問題数 | 大問4問(各大問9問:計36問) | 大問5問(各大問5〜8問:34問) |
特徴 | 正誤問題が多い | 図表の読み取りが多い |
時間/配点 | 60分100点 | 60分/100点 |
リード文 | 読まなくても可 | 読まないと解けない |
世界史Bとのセンター試験と共通テスト(施行調査)と同じ点
では、具体的に問題の内容に踏み込んでみてみましょう。
共通テストとセンター試験では60分で100点満点マークシートというかたちであり、試験の形式は同一となっております。
また、問題文はセンターが大問4問で各9問あり合計36問という問題数に対し、共通テストは大問が5つあるものの小問が5〜8で合計34問となっておりセンター試験に比べ若干少なくなっています。
ただし、施行調査の段階であるので本番では問題数の統一をしてくる可能性もあり、問題数もセンター試験と変化ない可能性が高いでしょう。
よって、制限時間、得点、問題数においてはそれほどの変化がないといえるでしょう。それでは、現行と異なる点について述べていきます。またこの部分が今回の記事で大事なところです。
世界史Bとのセンター試験と共通テスト(施行調査)と異なる点
では、世界史Bにおいて共通テストとセンター試験は具体的にどこが違うのでしょうか?以下、具体的に見て行きましょう。
図表の読み取りについて
施行調査を見る限り、センター試験と違う大きなポイントは用語の単純知識の暗記問題が減ったという形です。
例えば、最後のセンター試験である令和2年センター試験、世界史Bの第一問で正しいものを選べと選択肢をみると以下の形になります。
- 1.ギベリン(皇帝党)とゲルフ(教皇党)が争った。
- 2.マッツィーニが両シチリア王国を占領した。
- 3.オスマン帝国からモロッコを獲得した
- 4.ミラノ勅令によってヴァチカン(ヴァティカン)市国の独立が認められた。
正解は1のギベリン(皇帝党)とゲルフ(教皇党)が争ったという選択肢です。12世紀から13世紀の出来事でした。
ちなみに3はオスマン帝国はそもそもモロッコを支配していない。4のミラノ勅令は313年のキリストの信教の自由を認めた点で誤りとなります。詳しくは「【解答速報】令和2年センター試験世界史Bの解答及び詳細解説」をご確認ください。
このように、単純にイタリアの知識について知っているかどうかが大事になっています。
一方、平成30年の施行調査の第一問をみると
この図表がでてきて、以下の問が出されました。
- 1. 矢印aは,ノルマン人によるシチリア王国の建国を表している。
- 2. 矢印aは、ウマイヤ朝による西ゴート王国の征服を表している。
- 3. 矢印bは, ムッソリーニによるエチオビア侵攻を表している。
- 4. 矢印bは,ド=ゴールによるアルジェリアの植民地化を表している。
答えは2番ですが、1と3はイタリアの話ですが、イタリアについては矢印がないので違うとわかります。
4のド=ゴールはアルジェリアの独立を認めたためにむしろ反対の方向なので誤りとなります。そして2はウマイヤ朝による西ゴートを征服して後ウマイヤ朝を成立させたことから正解だとわかります。
このように、単なる共通テストは単なる知識というより地理的な情景も頭に入っていないと点数がとれない形になっています。
センター試験では、知識の有無だけで問題をとれていたのが共通テストでは資料を利用した思考をある程度問う問題になりそうです。
リード文が読まないといけない
センター試験では、大問に分かれているもののそれほどリード文(問題の説明文)を読まなくても回答することができました。
なぜなら、選択肢の正誤自体を読めば問題を解答することができたのでリード文を読ませるというのはありませんでした。
例えば、昨年のセンターの最初問題のリード文では、
中世後期のフランドルは①イタリアと並んで、商業的にも文化的にも繁栄した地域であった。なかでも、フランドルを代表する都市ブルッヘ(ブリュージュ)はヨーロッパの②交易の中枢であり、多くの国際商人が集っていた。ファン=エイク兄弟(ファン=アイク兄弟)の弟ヤンは、プルゴーニュ公お抱えの③宮廷画家となり,ブルッへで活躍した。また、彼はイタリア商人の依頼を受けて「アルノルフィーニ夫妻の像」(下図参照)を制作している。彼の油彩の技法はイタリアなどでも絶賛され,その後の絵画に影響を与えることになった。
とありましたが、この傍線部についての問題ですが、別にこの文章を読まなくても解けました。
しかし、共通テストでは、大問1問7では
林さんは、2011年国勢調査における第一言語の比率について、その歴史的な要因を考えて、次のメモ1を作った。メモ1中の空欄(ウ)と(エ)に入れる文a~dの組合せとして正しいものを一つ選べ。
メモ1
- カナダ全体で,第一言語の比率が資料のようになっているのは(ウ)ことが要因だと考えられる。
- ケベック州で、第一言語の比率が資料のようになっているのは(エ)ことが要因だと考えられる。
このように、問題文に穴埋めがあったりして、読まざる得ません。
また、会話の文章内容、グラフの読み取りなど様々な資料を読んで考えていく問題が多いです。もちろん、単純な知識があった上での読み取りの能力がもとめられます。
キーワードだけでは解けない
従来のセンター試験では、キーワードを覚えておけば正誤問題を解くことができたのでキーワードを覚える用語集や一問一答の勉強が幅を効かせていました。
一方、施行調査から判断するに、共通テストは用語のみの知識だけではな正答に導けない形になっております。
1問1答では対応できず、歴史用語を深堀りして丸暗記という方法では出来ない形になっております。むしろ、常識問題というか、資料をしっかりと読んだり、地理など情景を浮かべる思考を要求する問題となっております。
では、こうした共通テストの世界史Bに向けてどのような勉強をするといいでしょうか?次節では具体的に述べていきたいと思います。
共通テストの世界史Bに向けた勉強法
それでは、どのように世界史を勉強すればいか述べていきます。
結論、背景知識を理解しながらキーワードの勉強をしていきましょう。
思考問題と言われれば、知識を軽視して暗記をしないと考えられる方がおられますがそれは誤りです。共通テストでも一問一答での知識は必要です。まずは、キーワードの知識の暗記は必須です。
そして、共通テストではそのキーワードの背景知識が必須になってきます。なぜ、そのキーワードが重要になったのか、教科書では太字になっていない地の文をしっかりと読んで理解していく必要があります。
とにかく、太字のキーワードだけでなく地図や背景知識を理解しながら勉強する必要があります。それでは、勉強する際におすすめの参考書・問題集について述べていきます。
世界史Bを勉強する際におすすめの参考書について
世界史Bの勉強におすすめの参考書について述べていきます。ただ、紹介する参考書や問題集について複数を買う必要はありません。一冊をきちんと完璧に理解していく必要があります。
まず、おすすめの参考書が「これならわかる!ナビゲーター世界史B」です。
正直このシリーズ4冊をきちんと勉強すれば予備校や学校の授業はいりません。受験で十分な知識が載っています。しかもポイントチェックが付属しているので、これをきちんとやれば知識ベースでは問題ないでしょう。
また、同じような網羅型のものとして青木先生の「世界史B講義の実況中継」でもいいでしょう。中途半端な上手い絵が記憶に残ったりするのでいいでしょう。しかもCDの音源がついていて実際の講義を聴きながら勉強できるという自習用にもってこいの参考書です。
しかも難しい概念も噛み砕いて説明されており、このHIMOKURIの作成にもかなり参考にさせてもらっています。
さらに、ナビゲーターも実況中継も長過ぎると感じる方は「詳説世界史研究」がおすすめです。かなり細かい知識も網羅されているので、基本知識を抑えるならこの一冊と言えるでしょう。正直、この一冊を完璧にして早稲田大学に合格した生徒もいました。
正直、このどれかが終われば、過去問を積極的に解いていくのがおすすめです。知識のインプットは大事ですがそれをアウトプットしていくことがより重要ですので。とりあえず、この中の1つを決めてしっかりと理解してあとは過去問で実践していくといいでしょう。
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[…] 大学受験の社会の勉強法については「新共通テストとセンター試験との違いとその対策(世界史中心に)」で記載してますのでまだの人は読んでみてください。 […]