【物理基礎】速度の合成と分解(公式を使って実際に問題を解いてみる】

様々な力とその働き

みなさん、こんにちは。物理基礎のコーナーです。

 

今回は【速度の合成と分解】について。数学用語で説明するならば「ベクトルの合成と分解」についてです。

 

数学では「合成と分解」の『方法』を学んだと思いますので、物理では「合成と分解」を『どう使うのか』に焦点に当てていきます。

 

ここではまず、「合成と分解」とは何なのか、を解説し、その方法について復習します。その後、「合成と分解」が物理の問題を解くうえでどう役に立つのか、を説明し、実際に速度の合成と分解のの問題を解いていきましょう。

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速度の合成と分解とは何か

 

速度の「合成」を一言で説明するならば、「合成」とは「足し算」です。

$$ 3+1 \rightarrow 4 $$

 

見た目は変化しますが、合成の前後で数が大きくなったり小さくなったりすることはありません。一方で「分解」とは、「合成」と逆の操作のことを指します。

$$ 4 \rightarrow 3+1 $$

 

1つのものを2つ (または3つや4つ)に分けること、これを「分解」と呼びます。

ベクトルの合成と分解

ベクトルの場合には合成と分解が少し違ってきます。

 

ベクトルにおいても「合成」とは足し算のことです。しかしベクトルの足し算は普通の数の足し算とは少し異なるのでした。

 

ベクトルの足し算は言葉で説明するより図を見る方が100倍分かりやすいです。百聞は一見に如かず。以下の図をご覧ください。

ベクトルの和は元の2つのベクトルをそれぞれ平行四辺形の2辺としたときの対角線となっているのでした。このように2つのベクトルを1つのベクトルにまとめることを「ベクトルの合成」と呼びます。

「分解」はこの逆の操作です。1つのベクトルを2つのベクトルにします。

 

元のベクトルを対角線とする平行四辺形を描き、平行四辺形の2辺が分解後のベクトルです。

 

また、元のベクトルを対角線とする長方形の2辺へと分解する場合には、三角比を使って分解後のベクトルを表すことができます。

 

長方形の2辺へのベクトル分解

 

分解前のベクトルを $\overrightarrow{v_0}$、分解後のベクトルを $\overrightarrow{v_1}$、$\overrightarrow{v_2}$ とする。$\overrightarrow{v_1}$ と $\overrightarrow{v_2}$ が直角であり、$\overrightarrow{v_0}$ と $\overrightarrow{v_1}$ のなす角が $\theta$ のとき、

\begin{eqnarray}v_1 &=& v_0 \cos{\theta} \\ v_2 &=& v_0 \sin{\theta}\end{eqnarray}

 

 

物理の問題においては様々な場面でベクトルの合成と分解を用います。では分解と合成、それぞれを「速度」の問題でどのように使うのか見てきます。

速度の合成と分解の使い方

速度の合成

 

例題 1Aさんは北向きに 6 km/h で進む船に乗り、東向きに 2 km/h の速度で歩いた。海上の静止した点からAさんを観測すると、Aさんの速さはいくらか。

飛行機や電車、船などに乗ってその中で移動した場合、外部からその人の速度を観測すると、「乗り物の速度」と「その人が乗り物上で動いたときの速度」が合成された速度となります。

 

例題 1 の状況を図にしました。

外部から見た速度は船の速度と船の上でAさんが動いた速度の合成速度となっています。

 

合成速度の大きさ (速さ)は2つのベクトルでできる長方形の対角線となっているので、三平方の定理を使い、

 

\begin{eqnarray} \rm{(合成速度の大きさ)} ^2 &=& \rm{(船の速さ)} ^2 + \rm{(Aさんの速さ)} ^2 \\ &=& 36 + 4 \\ &=& 40 \\ \rm{(合成速度の大きさ)} &=& 2 \sqrt{10} \\ &\simeq& 6.3 \end{eqnarray}

 

よって、$\rm{(外部から観測したAさんの速さ)} = 6.3 \; \rm{m/s}^2$ となります。

速度の分解

速度の分解と言えば放物運動です。放物運動には「速度の分解」、「重力加速度」、「等加速度運動」など、力学の重要な要素が詰まっています。

 

例題 2速さ $v_0$、仰角 $\theta$ ($0 < \theta \leqq \pi / 2$)でボールを打ち出し、ボールが元の高さまで戻ってくる時間を調べた。ボールが元の高さに戻ってくるまでの時間 $t$ を $v_0$ 及び $\theta$ を用いて表せ。ただし、ボールの大きさと空気抵抗は考えないものとし、重力加速度を $g$ とする。

 

 

元の高さに戻ってくるまでの時間を求める問題です。真上にボールを投げる場合であれば状況はより簡単です。

 

試しに真上に投げて ($\theta = \pi / 2$)、ボールが元の高さに戻ってくる場合を考えてみます。

 

ボールが元の高さに戻ってくるときのボールの速度は、ボールを打ち出したときの速度と向きが反対で同じ大きさになっています。

 

鉛直上向きを正の方向として、元の高さに戻ってくるときのボールの速度について式を立てると、

\begin{eqnarray} -v_0 &=& v_0 -gt \\ gt &=& 2v_0 \\ t &=& \frac{2v_0}{g} \end{eqnarray}

 

よって、元の高さに戻ってくるのにかかる時間は $t=\frac{2 v_0}{g}$ となります。詳しくは、「【物理基礎】等加速度運動とは何か?(公式だけでなくグラフ、平均速度、瞬間速度なども解説)」

では、斜めに打ち出したときはどうなるでしょうか。

 

斜めに打ち出したとき、ボールは水平方向にも進みますが、考えるべきは鉛直方向の速度のみです。速度を水平方向と鉛直方向に分解し、鉛直方向の運動のみを考えます。

仰角 $\theta$ で打ち出したとき、鉛直方向のボールの初速度は $v_0 \sin{\theta}$ となります。

 

鉛直方向のボールの運動は初速度 $v_0 \sin{\theta}$ でボールを真上に投げたときと同じになり、ボールが元の高さに戻ってくるときの鉛直方向のボールの速度は、ボールを打ち出したときの速度と向きが反対で同じ大きさになっています。

 

\begin{eqnarray} – v_0 \sin{\theta} &=& v_0 \sin{\theta} – gt \\ t &=& \frac{2 v_0 \sin{\theta}}{g} \end{eqnarray}

 

以上から、ボールが落ちてくるまでの時間 $t$ と、仰角 $\theta$、及び打ち出したときの速さ $v_0$ の関係を求めることができました。

今回のまとめ

速度の分解と合成は、速度ベクトルを実際に描いてみることでイメージが容易になります。合成前の速度ベクトルでできる平行四辺形をしっかり描いて、合成と分解を行いましょう。

ベクトルの合成と分解は速度のみならず、変位 (位置の変化量)や力においても活用され、問題を解くうえ欠かせません。

分解と合成が分からなくなったときには、何度でも復習し、身に着けていきましょう。

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