今回は物理基礎の【張力】について解説をしていきます。
張力は力学で扱う基本的な力の一つです。きちんと理解しておかないと、実際に問題を解くときにつまづいてしまいます。
この記事では、例を挙げつつ、「張力」とは何かについて解説していきます。物理の分野では、定義を理解し実際に問題を解くことで理解を深めることが重要です。さらに知識のアウトプットとして演習問題も記事の最後に用意しました。記事を読んで理解した上で問題演習をしてみましょう。
張力を用いた例題も用意しているので、最後までよく読み、張力の問題の練習を積んでいきましょう。
張力とは?
張力とは、結論、糸をピンと張ったときにちぎれないように引っ張り続ける力を指します。
例えば、物体と糸を繋いで糸を鉛直上向きに力を加えて物体を持ち上げると、糸は張って物体を上に引き上げます。
このときに、糸が物体を持ち上げるときにはたらいている力が張力なのです。
次に、糸をたるませた状態を維持したまま物体を持ち上げるときと、物体を持ち上げた糸を切ったときを考えます。
どちらも、糸に加えた力を物体に伝えることができず、物体を持ち上げることができません。
したがって、糸がたるんでいたり切れてしまうと、張力はゼロとなるのです。
当たり前の現象ですが、張力は「糸でぶら下げた物体」や「滑車」の運動など、力学の問題でよく出てきます。
実際に出題される問題を正確に解けるように、これから紹介する2つのポイントは必ずおさえておきましょう。
おさえておきたい張力の2つのポイント
張力を考えるとき、おさえておきたいポイントは以下の2つがあります。
• 糸の質量は無視できる
この2つを疎かにしてしまうと、張力の問題で間違える可能性が大きくなります。1つずつ確認しておきましょう。
張力は作用反作用の法則に関係する
「作用・反作用の法則」を覚えていますか?」
覚えているという方は、きちんと言語化して人に説明できますか?
簡単に復習しておくと、作用・反作用とは、「2物体が互いに力を及ぼしあうとき、それらは向きが反対で大きさが等しい」という関係にある法則です。
詳しく作用・反作用の復習をする
先ほどの糸と物体の例で説明します。
物体と糸を繋ぎ、人が糸を鉛直上向きに力を加えて物体を持ち上げたとき、糸を引く人の手を作用点として、作用・反作用の法則が成り立っています。
これは、「人が糸を引き上げる力」と「糸が人を引っ張り返す力」が互いに逆向きに等しい力で作用し合っているからです。
また、作用し合った力は、糸を伝達し、糸と物体を作用点として、さらに作用・反作用の法則が成り立ちます。
これは、「糸が物体を引き上げる力」と「物体が糸を引っ張り返す力」が互いに逆向きに等しい力で作用し合っているからです。
このように、「人が糸を引き上げる力」が糸を連鎖してはたらき、「物体が糸を引っ張り返す力」とつりあいがとれた状態になり、糸は張って物体を上に引き上げることができるのです。
糸の質量は無視できる
糸そのものの質量は、非常に軽く物体の運動に影響を与えないので、無視して考えても問題ありません。
したがって、糸にはたらく重力を考える必要がないので、糸の中央には重力の鉛直下向きの矢印は書き加えないようにしましょう。
ここで注意点として、記述問題において糸を用いた張力に関する問題が出題された場合、「糸の質量は無視できるものとする」という一言を添えておくと、減点されにくくなります。
問題に慣れてくると、糸の質量を無視できることが当たり前になり、糸の質量を無視する前提で問題を解こうとしてしまいます。
物理は定義が重要なので模試や学校の先生によっては、「糸の質量は無視できるものとする」という一言がないだけで減点になる場合があるので、十分注意しておきましょう。
ただし、問題文に糸の質量は無視できることが記載されている場合は特段記入の必要はありません。
張力の問題と求め方
質量mの物体が糸で繋がれ天井からぶら下がって静止している。糸の質量が無視できるとき、物体にはたらく張力Tを求めよ。ただし、重力加速度をgとする。
解法
物体は静止した状態にあるので、鉛直下向きを正としたとき、糸と物体とで以下の力のつり合いの式が成り立ちます。
mg-T=0
張力Tについて求めるので、式を整理して、
(答) T=mg
まとめ
今回の記事のまとめです。
張力:糸をピンと張ったときにちぎれないように引っ張り続ける力
張力を考えるときにおさえておきた2つのポイント
• 張力は作用・反作用の法則に関係する
• 糸の質量は無視できる
何度もお伝えしてきましたが、物理において、定義を理解することは非常に重要です。
今回の張力についても、人に説明できるようになるまで、本記事をしっかりと読み込んでください。
他の分野についても同様です。定義は基本的な内容で物理の基礎です。
疎かにしてはいけません。本記事で定義を理解した後、実際に問題集で練習を積み、さらに理解を深めていってください。
おすすめの参考書は「大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理[力学・熱力学編]が面白いほどわかる本 」があります。ぜひとも一読してみてはいかがでしょうか。
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