こんにちは。今回は近代以降の欧米文学史について述べていきます。17世紀、ヨーロッパ諸国では中央集権的な政府が成立します。それに伴って、国民文学が発達しました。
この時代も王侯貴族たちが文学の保護者となりますが、財を成した上級市民たちも積極的に文学を支援します。17~18世紀は英仏中心に文学が発展しました。19世紀になると資本主義社会が成熟し、ナショナリズムの高揚も見られます。
そのため、政治の動きとリンクした文学作品が書かれるようになりました。19世紀の文学は政治動向とリンクした出題が多いので注意しましょう。
・特に、ピューリタン文学と風刺文学はイギリスが中心だったことに注目
・19世紀の文学は、人名と作品はもちろんのこと、それらがどのジャンルに含まれるかも重要です。
・古典主義、写実主義、自然主義、象徴主義の違いをしっかりと把握しましょう。
17・18世紀の欧米文学
(ヴェルサイユ宮殿:wikiより)
17世紀のフランスはブルボン王朝の絶対王政が確立した時代でした。宮廷では華やかな貴族文化が花開きます。
貴族文化の一つとしてギリシア古典や喜劇を模範とした演劇が上演されるようになりました。コルネイユは古典悲劇を創始します。
また、モリエールは人間性に深く触れた本格的な喜劇作品をかきます。さらにラシーヌは恋愛感情の機微を描く作品を数多く生み出しました。
イギリスではピューリタン文学が発達します。17世紀後半、イギリスでは清教徒革命がおき、清教徒(ピューリタン)の価値観にもとづく文学作品がつくられました。代表作がミルトンの『失楽園』ですね。
17世紀後半のイギリスでは、社会のありようなどを風刺する文学が盛んになりました。デフォーの『ロビンソン=クルーソー』やスウィフトの『ガリヴァー旅行記』は作品の中で、この時代のイギリス社会を風刺します。
19世紀の欧米文学
(バイロン:wikiより)
19世紀に入るとドイツでも古典主義文学が盛んになりました。ゲーテやシラーなどが代表的なドイツ古典主義の作家で、彼らが巻き起こした新しい文学運動は疾風怒濤といわれました。
19世紀前半、古典主義にかわってヨーロッパを席巻したのはロマン主義文学です。ロマン主義は啓蒙思想や古典主義を否定し、人間の個性や感情を重視しました。
ウィーン体制によって抑圧された人々の自由主義やナショナリズムへの思いが文学の世界で結実したといってもよいでしょう。
古典主義で活躍した作家はとても多いですが、最も出題率が高いのはバイロン。ギリシア独立戦争とからめて出題してきますので要注意です。他の作家の出題頻度はほぼ似たようなものですので、過去問の傾向などを見つつ、覚える優先順位を決めましょう。
古典主義やロマン主義を非現実的なものであるとし、人間や社会の在り方をありのまま表現するべきだと主張したのが写実主義の文学です。
よく出題されるのはフランスの3人の写実主義文学者。スタンダール、バルザック、フロベールです。彼らは人名と作品名をしっかり結び付けましょう。
彼らと同じくらい良く出題されるのがイギリスのディケンズとロシアのドストエフスキー。ディケンズは『二都物語』、ドストエフスキーは『罪と罰』の出題をよく見かけます。
19世紀後半になると、写実主義と並行して自然主義が盛んになりました。自然主義は写実主義をさらに進め、社会の矛盾や人間の欲望を直視する文学です。
自然主義文学者たちの出題頻度はほぼ同じです。ただ、突出して出題されるのはゾラです。こちらもバイロンと同じく政治史との関連から出題率が高くなっていますね。ドレフュス事件とゾラはセットで覚えてしまいましょう。
象徴主義は19世紀後半に起こった動き、自然主義に対する反動ととらえられます。他の19世紀の文学に比べると頻度は落ちますが、満点を狙うならしっかりと覚えるべきでしょう。
まとめ
文学作品は、人名と作品のリンクは当然のこととして、どのジャンルの作品かを答えられることも重要です。
古典主義、ピューリタン文学、風刺文学、ロマン主義、写実主義、自然主義、象徴主義の違いをしっかりと把握し、作者・作品名とリンクさせるようにしましょう。
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