企業的農業について解説(関連入試問題つき)【地理B】

皆さんこんにちは!今回の記事では企業的農業について説明したいと思います。

 

ところで、企業的農業といわれて皆さんは何のことだかよくわからずあまりぱっとしないのではないのでしょうか?日本において農業は農家が個人あるいは家族でやっているというイメージが多いかもしれませんからね。確かに、日本において農業の担い手は個人あるいは家族であり、経営形態も家族経営かそれに準じる形で行われているものが大半です。

 

しかしながら、世界の農業では法人格を有する企業が農業を行うことがしばしばあります。企業的農業は大規模に行われることが多く、他国への輸出もしばしば行われます。例えば、よくスーパーなどで目にする外国産のオレンジやキウイフルーツなどに企業のシールが貼られてたりしませんか?そういう作物の多くは企業的農業によって作られたものです。

 

この記事を通して実は身近な存在である企業的農業について理解していきましょう。

 

この記事を読んで理解できること・企業的農業とは何かについて理解できる

・企業的農業の種類や関連する項目について理解できる

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企業的農業とは

企業的農業とは、市場への出荷を主な目的として、企業が資本を投下して農畜産物の生産を大規模に行う農業形態のことを指します。特定の農畜産物を集中して生産することから労働生産性が極めて高く、国際競争力が高いのが特徴です。

 

方法としては市場への出荷を目的とする点において商業的農業と似ている部分がありますが、企業的農業のほうが広大な土地で機械、施設を利用して大規模に行うことや、土地生産性の低い粗放的農業を手法として用いることが多いということも特徴としてあげられます。

企業的農業の種類について

企業的農業の種類として、企業的穀物農業、企業的牧畜、プランテーションに分けられます。以下、具体的に個別に見ていきます。

企業的穀物農業

企業的穀物農業とは、小麦や飼料作物といった穀物について、広大な土地で大型機械を利用しながら大規模に生産する農業のことです。

 

粗放的農業であることから土地生産性は低いものの、環境に合わせて単一の作物を大規模に生産することもあり、労働生産性は極めて高いことから国際競争力が高いのが特徴です。

企業的穀物農業の主要地域

企業的穀物農業の主要地域としては、北アメリカの中央部に位置するプレーリー、アルゼンチンのパンパ、オーストラリア南東部、シベリアやウクライナに分布する黒色土地帯であるチェルノーゼムなどで見られます。

 

いずれの場所も肥沃な土壌と適度な降水量に恵まれているのが特徴です。

アグリビジネスについて

アグリビジネスとは、農業に関連する様々なビジネスを指す総称です。農業は生産・収穫・流通の過程の中で様々な道具やシステムを使用します。

 

例えば生産・収穫の過程では農業機械(トラクター・コンバイン)、作物の育ちをよくするために使用される肥料(化学肥料・堆肥)、作物を害虫から守るために用いられる農薬といったように、多くの機械や道具が用いられています。これらを取り扱う企業はアグリビジネスを行っている企業といえます。

 

また、流通の過程においてもアグリビジネスを行っている企業はあります。農作物の輸出入や買い付けには商社の活躍するところが多く、なかには穀物メジャーと呼ばれる穀物の流通の大半を担う商社も存在しています(五大穀物メジャーと呼ばれる商社が世界の穀物の7割近くの流通を扱っているといわれています)。

 

最近では、農業も情報化が進んでおり、農業に関するITビジネスも多数登場しています。

企業的牧畜

企業的牧畜とはステップ気候区の地域を中心に、広大な牧場で大規模に行われる肉牛や羊などの粗放的な牧畜のことをさします。

 

牧畜業は肉が腐りやすいということもあって、消費地から遠方で行うことが難しかったものの、19世紀後半に冷凍船が発明されたことによって肉類の長距離輸送が可能となったこともあり、発展したという経緯を持ちます。農作業や家畜の管理などで機械化が進んでおり、労働生産性が高いのが特徴です。

企業的牧畜の地域について

企業的牧畜は北アメリカ西部、アルゼンチンのパンパ、オーストラリア内陸部などが代表的な地域です。一部の地域は企業的農業が行われている場所と重複するものの、企業的農業が行われる地域と比較すると降水量が少ない場所になるのが特徴です。

 

アメリカではグレートプレーンズと呼ばれる地域を中心に肉牛や羊の放牧がおこなわれています。グレートプレーンズではトウモロコシ地帯(コーンベルト)フィードロットと呼ばれる肉牛の肥育場で肥育されているのが特徴です。

牛、豚、羊について

牛については、インド、ブラジル、アメリカ、中国で飼育数が多いのが特徴です。ただし、インドについては飼育されている牛の大半が乳牛で、牛乳やバターの生産がおこなわれています。これは、インドでは牛は神聖な生き物とされており食用する習慣がないということが理由となっています。

 

豚については中国、アメリカ、ヨーロッパでの飼育数が多いのが特徴であることに加えて、一部の地域では宗教的な理由を要因として飼育されていません(イスラム教で豚が禁忌となっており、イスラム教国で飼育されていないため)。

 

羊は乾燥に強いこともあり、乾燥地域を有する中国、オーストラリア、ニュージーランドなどで飼育されているのが特徴です。

 

牛・豚に関するデータは次の通りです

プランテーション

プランテーションとは、熱帯・亜熱帯地方に多く見られる農業形態で、熱帯性の作物でかつコーヒー豆やゴム、パーム油といった輸出向けのものを大規模かつ単一(モノカルチャー)で栽培する農業形態のことです。

 

もともとは植民地地代に欧米諸国が開発・経営し、植民地においてえた現地の安い労働力を使用して大農園(プランテーション)において嗜好品を生産したことに起源を持つものです。

プランテーションで栽培される穀物

プランテーションで栽培される穀物は、輸出向けでかつ嗜好品として好まれるものが多いというのが特徴としてあげられます。代表的なものと産地とは次の表の通りになります。

企業的農業の入試問題について

センター試験における企業的農業

2015年度(2015年1月実施) センター試験 本試験より

問題の解答及び解説

この問題では、茶、天然ゴム、パーム油の生産動向について生産国の特徴から読み解くという問題です。茶、天然ゴム、パーム油の生産が盛んな国は次の国です。

ここで、問題文中の表を見てみると、イの作物においてインド、中国といった国が卓越していることが理解できます。よって、イは茶となります。

 

次に、アの作物においてインドネシア、マレーシアが第3位のタイを含め他国と比較しても圧倒的に卓越していることが理解できます。

 

よって、アはパーム油となります。ウの作物はタイ、インドネシアが卓越していることが理解できます。よってウは天然ゴムであると理解できます。

 

以上の点から

企業的農業を理解しよう

企業的農業について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。

企業的農業には次のような種類がありましたね。

 

企業的穀物農業

小麦や飼料作物といった穀物について、広大な土地で大型機械を利用しながら大規模に生産

企業的牧畜

ステップ気候区の地域を中心に、広大な牧場で大規模に行われる肉牛や羊などの粗放的な牧畜

プランテーション

熱帯・亜熱帯地方に多く見られる農業形態で、熱帯性の作物でかつコーヒー豆やゴム、パーム油といった輸出向けのものを大規模かつ単一(モノカルチャー)で栽培する農業形態

 

 

日本では企業的農家が行われている事例がほとんどありません。しかしながら、世界では企業的農家は頻繁に行われており、私たちの暮らしにも深くかかわっています。

 

食生活を眺めながら、企業的農家がどれだけ私たちの暮らしにかかわっているのか、もう一度確かめてみるのもいい勉強になると思います。

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