みなさん、こんにちは。数学ⅠAのコーナーです。今回のテーマは【方べきの定理】です。
方べきの定理って覚えられないや。テストに出なければいいのに…。
たかしくんの期待とは裏腹に、方べきの定理の問題は毎年のように大学入試で問われるので、しっかり押さえておかなくてはなりません。方べきの定理は公式を覚えれば解くことができるので、まずは公式を覚えましょう。
方べきの定理の一番かんたんな覚え方は、方べきの定理とはどのようにして導かれるものか知ることです。一見遠回りにも思えますが、方べきの定理を証明することで、理解を定着させましょう。
・方べきの定理の解き方がわかる
・自分で実際に方べきの定理を解ける
方べきの定理とは?
方べきの定理とは、1つの円に2つの直線を引いたときにできる4つ(ないし3つ)の線分の長さに関する定理です。
言葉だけではイメージしづらいので、図を見てみましょう。
この図において、2つの直線とはAB・CD、4つの線分とはPA・PB・PC・PDのことです。
それでは、これら4つの線分の長さがどうなっているのか、3つのパターンに分けて公式を確認しましょう。
方べきの定理の公式とその覚え方
2直線の交点Pが円の内側にあるとき
このときの方べきの定理の公式は「PA・PB=PC・PD」です。
2直線の交点Pが円の外側にあるとき
このときの方べきの定理の公式は「PA・PB=PC・PD」です。
実は、点Pが円の内側にあろうと外側にあろうと公式は変わらないのです。
2本のうち1本の直線が接線のとき
このとき、方べきの定理の公式は「$PA・PB=PC^{2}$」となります。
方べきの定理の公式がちがう形になるのは、このときだけです。
方べきの定理の公式は、基本的に「PA・PB=PC・PD」というかんたんなものです。しかし、どこがAでどこがBなのかを間違えてしまうと、当然導かれる答えも間違ってしまいます。
方べきの定理の証明を理解すると、どうしてそのような式になるのかがはっきりと分かります。さっそく証明していきましょう。
方べきの定理の証明
2直線の交点Pが円の内側にあるとき
△APCと△DPBの関係を見てみましょう。
円周角の性質より、∠CAP=∠BDP、∠ACP=∠DBP。
2角が等しいので、△APCと△DPBは相似です。
よって、PA:PC=PD:PB。
式を変形すると、「PA・PB=PC・PD」が導けます。
2直線の交点Pが円の外側にあるとき
この場合も同様に、相似の性質を利用します。
△PACと△PDBにおいて、円に内接する四角形の性質より、∠PAC=∠PDB、∠PCA=∠PBD。
2角が等しいので、△PACと△PDBは相似です。
よって、PA:PC=PD:PB。
式を変形して、「PA・PB=PC・PD」が導けます。
2本のうち1本の直線が接線のとき
△PCAと△PBCにおいて。
接弦定理より、∠PCA=∠PBC。
また、共通なので∠CPA=∠BPC。
2角が等しいので、△PCAと△PBCは相似です。
よって、PA:PC=PC:PB。
式を変形して、「$PA・PB=PC^{2}$」が導けます。
方べきの定理の逆
方べきの定理は、「方べきの定理の逆」が成り立ちます。すべての定理の逆が成り立つわけではないので、注意しましょう。
①線分AB・CDもしくはそれらの延長線が交わる点をPをするとき、「PA・PB=PC・PD」が成り立つならば、点A・B・C・Dは同一円周上にある。
②円の弦ABの延長線上の点Pとその円周上の点Tに対して、「$PA・PB=PT^{2}$が成り立つならば、PTはこの円に接する。
3分類の最初の2つに対応しているのが①、最後の1つに対応しているのが②です。図形問題で応用できるので、ぜひ覚えておきましょう。
方べきの定理の問題演習
問題
①同一円周上にある、4点A・B・C・Dについて、線分AB・CDの交点をPとする。PA=6、PB=2、PC=4のとき、PDの長さを求めなさい。
②同一円周上ににある3点A・B・Cについて、線分ABの延長線と点Cを通る接線との交点をPとする。PA=2、PB=8のとき、PCの長さを求めなさい。
解答
①方べきの定理より、PA・PB=PC・PDなので、$6\times 2=4\times PD$
②方べきの定理より、$PA・PB=PC^{2}$なので、$PC^{2}=2\times 8$
今回のまとめ
今回は、方べきの定理について勉強しました。
方べきの定理がなぜ成り立つのかが分かったあなたはもう安心です。他の定理についても、「なぜ?」を知ることが、覚えるための近道になりますよ。
今回もおつかれさまでした。
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