血液凝固とは?実験や演習問題の解き方まで詳しく解説!【高校生物基礎】

高校生物基礎のテスト勉強をしているときに

 

血液凝固ってなに?
血液凝固因子を阻害するってどういうこと?
血液凝固はどんな感じで入試に出るの?
たなか君
たなか君

と疑問に思ったことはないですか?

 

こんな悩みを解決できるように分かりやすく解説します。

 

今回の記事のポイント液凝固因子とは
血液凝固を阻害する物質
血液凝固とカルシウムの関係
血液凝固実験につ
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血液凝固とは?

血液凝固とは血液が固まることです。

 

たなか君
たなか君
まんまやん!

転んでけがをすると血が出ますよね。

でもしばらくすると血が止まって、かさぶたができます。

 

これが血液凝固です。

 

ちなみに、高校生物基礎では、血液凝固について

血管壁が傷つくと血小板の働きによってフィブリンが作られ、フィブリンが血液中の血球をからめとって血ぺいを作る。作られた血ぺいが傷口をふさぐ

 

と書かれています。

血液凝固のしくみ

愛知県教育総合センターより引用)

 

血液は、血球血しょうに分けることができます。血球は赤血球、白血球、血小板血しょうはそれ以外の成分です。

 

けがをして血管が切れたりして出血したあと、血が止まるまでの血液凝固を説明していきます。

 

①血小板が集まって一時的に傷口をふさぐ

けがをすると、まず血小板が傷口に集まって一時的に傷口をふさぎます。この時、血小板から『血小板因子』が放出されます。

そして傷ついた組織(細胞)から、『血液凝固因子=トロンボプラスチン』が出てきます。

②酵素が活性化

①で出てきた血小板因子やトロンボプラスチン(血液凝固因子)と、血しょう中のカルシウムイオン(Ca²⁺)、そのほかの凝固因子によって、血しょう中にあるプロトロンビンという不活性酵素がトロンビンという活性化酵素に変わります。

けがをして血液凝固因子が出てくることによって、不活性だった酵素(プロトロンビン)が、活性化する(トロンビンに変化する)んですね。

③フィブリンが作られる

トロンビンは、血しょう中にあるフィブリノーゲン(繊維の素)を、フィブリン(繊維製タンパク質)に変化させます。

フィブリンは水に溶けにくい繊維状のタンパク質です。フィブリンが周りにある血球をからめとって、血ぺいを作ります。

血ぺいが傷口をふさいで出血が止まっている間に血管壁が修復されます。

 

血管壁の修復が終わると、フィブリンを分解する酵素が活性化され、血ぺいが取り除かれます。

血液凝固因子

血液凝固因子と聞くと、血液凝固に関わっている物質全てのことを言うと考えがちですが違います。

 

血液凝固因子は、トロンボプラスチンのことです。

 

トロンボプラスチンは、ケガをした時に傷ついた組織から出る物質です。

血液凝固を阻害する物質

血液凝固を阻害するには、

 

  • 血液中のカルシウムイオンの働きを阻害する
  • 低温に保つ
  • ヘパリンを加える
  • ヒルジンを加える
  • 棒でかき回し絡みついたものを取る

 

の5つの方法があります。

血液中のカルシウムイオンの働きを阻害する

カルシウムイオンを阻害するには、クエン酸ナトリウムまたはシュウ酸カリウムを加えます。

 

クエン酸ナトリウムを加えるとカルシウムイオンがクエン酸カルシウムに、シュウ酸カリウムはシュウ酸カルシウムになるからです。

 

化学式:3Ca²⁺+₂Na₃C₆H₅O₇(クエン酸ナトリウム)→6Na⁺+Ca₃(C₆H₅O₇)↓沈殿
Ca²⁺+K₂C₂O₄(シュウ酸カリウム)→2K⁺+CaC₂O₄↓沈殿

 

クエン酸ナトリウムやシュウ酸カリウムを加えた血液は、カルシウムイオンが結合してしまうので、血液凝固を起こさなくなります。

 

実験用に使う豚の血液などは、凝固してしまっては使えないのでクエン酸カルシウムで凝固阻害した状態で運ばれてきます。

 

低温に保つ

低温に保つと酵素(トロンビンなど)の働きが抑えられるので、血液凝固を阻害または遅らせることができます。

 

ヘパリンを加える

トロンビンの生成を阻害し反応を妨げることができます。ヘパリンとは、血液凝固阻害剤として肝臓から発見された多糖類の一種です。

薬として、血栓塞栓症や人工透析などで血液の凝固防止に使われています。

ヒルジンを加える

山などにすんでいるヒルという生き物(環形動物)の唾腺に含まれる物質です。

 

ヒルは人間の血を吸いますが、吸っている途中で血が固まらないようにヒルジンという物質をだして血液凝固を阻害しています。

ヒルジンの働きでヒルが吸った血は凝固しないんですよ。

棒でかき回して絡みついたものを取る

棒でかき回すと、フィブリンが棒に絡みつきます。

 

フィブリンが無ければ血ぺいを作れないので血液凝固が起こらなくなります。

高校生物基礎で出題される血液凝固の実験の問題

高校生物基礎で出題される血液凝固の実験の問題では、血液凝固阻害剤を使った対照実験が多く出題されます。

 

A 40℃ 水
B 40℃ 塩化カルシウム溶液
C 40℃ 塩化カルシウム溶液 攪拌
D 4℃ 塩化カルシウム溶液
E 60℃ 塩化カルシウム溶液

 

これらを豚の血液に混ぜるとどうなるかという問題です。

 

この豚の血液は実験用なので、クエン酸ナトリウムを加えて凝固しないようにしてあります。

 

この時、それぞれどうなるか?を考察していく問題です。

 

Aはコントロール実験なので、実験を始める前と後で結果は変わりません。固まらないままということです。

B~Eは塩化カルシウム溶液を加えるので、理論的にはすべて血ぺいができて凝固するはずです。ここで、それぞれの条件をよく見てみましょう。

Cは攪拌していますね。攪拌すると、フィブリンが絡みつくので取り除かれてしまいます。つまり血液凝固が阻害されてしまいます。

Dは4℃という低温です。これでは酵素であるトロンビンの働きが抑えられてしまい、血液凝固が起こりません。

Eは60℃という高温です。これでは酵素であるトロンビンが熱によって変性、失活してしまいますね。

 

よって、この場合、血液凝固が起こるのはBだけということになります。

 

生物基礎の問題は、問題文が長くて途中で分からなくなってしまいがちですが、血液凝固の阻害について暗記していればこの問題はとても簡単です。

 

問題文を読みながら図を描いていくと、条件が整理しやすいのでおすすめですよ。

高校生物基礎 H24年センター試験 血液凝固の問題に挑戦!

センターより引用)

 

 

 

解説

まず、血管に傷がつくと集まってくるのは血小板です。よって、①と②は違うことが分かります。

 

そして③ですが、血小板は壊れませんし、血小板から放出されるのは血小板因子です。ヘモグロビンは赤血球に含まれる酸素を運搬する物質ですよね。

 

⑤は、繊維状のフィブリンです。グリコーゲンは肝臓などに含まれるグルコースが貯蔵されるときの形ですよね。

 

よって正しいことが書いてある④が正解となります。

高校生物基礎 血液凝固のまとめ

血液凝固はいろんな酵素の名前が出てきてややこしいと思うかもしれません。

覚えておきたいのは

トロンビンがトロンボプラスチンになる
フィブリノーゲンがフィブリンになる
血小板から出てくるのは血小板因子
血液凝固にはカルシウムイオンが必要
血液凝固阻害の方法5つ
クエン酸ナトリウムを加えてカルシウムイオンの働きを阻害
低温に保つ
ヘパリンを加える
ヒルジンを加える
棒でかき回してフィブリンを取り除く

 

これだけです。

ややこしいと思われがちですが、遺伝や抗体などの分野に比べると点数を取りやすい分野なので頑張ってみてくださいね。

 

生物基礎の参考文献として「田部の生物基礎をはじめからていねいに (東進ブックス 名人の授業)」があります。よければ、ぜひ読んでみてください。

 

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