戦国大名について解説(入試問題演習つき)【日本史第34回】

応仁の乱をきっかけに戦国時代へと突入していきました。

 

この時代には各地の有力者が独自に国を支配するようになります。中には国を統治するために法を定めるものもいました。

 

今回は戦国大名とは何なのかについて見ていくのに加え、有力な戦国大名を地域ごとに解説していきます。

この記事からわかること・戦国大名とは、実力によって自国を独自に支配したものを指す。

・戦国大名は守護大名とは異なり、守護出身とは限らず、国人や守護代出身の者もいた。

・分国法とは、各地の戦国大名が制定した国を支配するうえで基本となる法のことである。

・下の者が上の者の地位を実力で奪い取ることを下剋上といい、戦国時代にはしばしば見られた。

・各地の有力な戦国大名としては、関東の北条早雲、越後の上杉謙信、甲斐の武田信玄などが挙げられる。

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戦国大名とは

(長宗我部元親像:wikiより)

戦国大名について説明する前に、まず大名とは何かについて解説します。

 

大名とはもともと地方で勢力をふるう者のことを指す言葉でした。戦国時代になると各地で、実力によって自国を独自に支配し、家臣に土地を与えて統轄する者が現れました。彼らのことを戦国大名といいます。

 

また戦国大名の中には領国を統治する基本法を制定する者もいました。こうした基本法を分国法といいます。

守護大名との違い

(大寧寺の大内義隆主従の墓所:wikiより)

では戦国大名と守護大名との違いは何なのでしょうか?

 

そもそも守護大名とは室町幕府から守護に任命された者の中で、大名としての力をつけ、自分の国の支配を確立していった者のことを指します。

 

それに対して戦国大名は、必ずしも守護出身とは限りません。中には下の者が上の者の地位を実力で奪い取ることによって、国を支配していった者もいるのです。このように下の者が上の者の地位を実力で奪い取ること下剋上といいます。

各地の戦国大名

(上杉謙信像:wikiより)

ここからは各地域の戦国大名について見ていきましょう。

東北地方の戦国大名

(伊達氏家紋:wikiより)

まず東北地方からです。

 

東北で勢力を広げていったのが、国人という地方の有力武士の出身だった伊達氏でした。伊達氏は分国法として塵芥集(じんかいしゅう)を制定しました。

 

「独眼竜」として知られる伊達政宗がのちに登場します。

関東地方の戦国大名

(北条早雲画像:wikiより)

続いて関東の戦国大名についてご紹介します。

 

関東では北条氏が勢力を伸ばしました。北条氏は鎌倉時代に登場した北条氏とは関係がないという点に注意してください。鎌倉時代の北条氏と区別するために後北条氏とも呼ばれます。

 

当時関東では、鎌倉公方が足利持氏の子成氏の古河公方と8代将軍足利義政の兄弟政知の堀越公方とに分裂して争っていました。

 

北条早雲は堀越公方を滅ぼし、伊豆を奪取すると、相模へと進出したのち、小田原城を拠点として勢力を拡大していったのでした。小田原のように大名の居城がある都市を城下町といいます。

 

また北条氏には「早雲寺殿二十一箇条」という家訓があったことも覚えておきましょう。

北陸・中部地方の戦国大名

(武田晴信像:wikiより)

ここでは北陸・中部地方の戦国大名を見ていきます。

 

まずは越後の長尾景虎から見ていきましょう。彼はのちに上杉謙信と改名し、守護の代わりを担う守護代として国を支配します。そのライバルであったのが、甲斐の武田信玄です。二人は川中島で何度か戦いました。武田氏は「甲州法度之次第」という分国法を制定しています。

 

また越前では朝倉氏、駿河では今川氏戦国大名として国を統治していたのでした。朝倉氏は一乗谷、今川氏は府中を城下町としていました。

 

また朝倉氏には「朝倉孝景条々」という家訓が、今川氏には「今川仮名目録」という分国法があったことも押さえておきましょう。

中国地方の戦国大名

(紙本著色毛利元就像:wikiより)

中国地方では、当初大内氏が山口を城下町として力をふるっていました。ところが重臣の陶晴賢(すえはるかた)による下剋上を許し、国を奪われてしまいます。大内氏の大内義隆は自害に追い込まれました。

 

しかし陶晴賢の時代も長くは続かず、安芸の大名であった毛利元就が陶晴賢を倒し、勢力を拡大していったのでした。

四国・九州地方の戦国大名

(大友氏家紋:wikiより)

最後に四国・九州地方の戦国大名についてご紹介します。

 

四国では、長宗我部氏(ちょうそかべし)が土佐を統一して、権力を握りました。長宗我部氏が制定した分国法は「長宗我部氏掟書」です。

 

九州では、薩摩を中心に九州南部を支配していた島津氏と豊後を中心に九州北部に勢力を広げた大友氏が力を持っていました。

入試問題にチャレンジ

下線部ⓓに関連して、鎌倉公方に関して述べた次の文X・Yについて、その正誤の組合せとして正しいものを、下の①~④のうちから一つ選べ。

X 足利義教は関東に軍兵を送り、足利持氏らを討ち滅ぼした。

Y 鎌倉公方は、のちに古河公方と堀越公方とに分裂した。

① X 正 Y 正 ② X 正 Y 誤

③ X 誤 Y 正 ④ X 誤 Y 誤

平成31年度 センター試験 本試験 日本史B 第3問 問5より)

 

正解:①
1438年の永享の乱で足利義教は鎌倉公方の足利持氏を倒したので、Xは正です。また鎌倉公方はのちに古河公方と堀越公方に分裂して争ったのでYも正であり、①が正解となります。

まとめ

今回は戦国大名について解説しました。

 

戦国大名は守護大名とは異なり、必ずしも守護出身とは限らず、国人や守護代から戦国大名になる者もいて、彼らは自らの力によって各地で勢力を広げていったのでした。

 

北条早雲や上杉謙信、武田信玄、毛利元就といった各地の代表的な戦国大名を中心に覚えていきましょう。

 

前回の記事「室町幕府の衰退から滅亡までを解説(入試問題も解説)」ですのでよければ読んでください。

室町幕府の衰退から滅亡までを解説(入試問題も解説)【日本史第33回】
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次回の記事「室町時代の外交を解説(入試問題も解説)

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コメント

  1. […] 北条氏康は、後北条氏の3代目に当たります。後北条氏については「戦国大名について解説(入試問題演習つき)【日本史第34回】」を合わせてご覧いただくとより理解が深まりますよ。 […]

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