【世界史B】受験に役立つヨーロッパ史(1920年代のアメリカ)【近現代編その13】

みなさん、こんにちは。受験に役立つヨーロッパの歴史シリーズをはじめます。近現代シリーズ第13回の今回は1920年代のアメリカを取り上げます。

 

これまでのアメリカについては南北戦争までを取り上げていました。詳しくは「【世界史B】受験に役立つヨーロッパ史(アメリカ南北戦争)【近現代編その6】」を読んでください。

 

1920年代のアメリカは「黄金の20年代」とよばれる空前の繁栄を謳歌していました。大量生産・大量消費による新しい文化がアメリカで誕生します。しかし、一方でギャングや禁酒法など様々な負の側面も生じた時代でもあります。

 

今回の記事のポイント・1920年代のアメリカ大統領は共和党のハーディング、クーリッジ、フーヴァー

・アメリカ外交の基本は孤立主義。しかし、ヴェルサイユ・ワシントン体制の維持には積極的

・禁酒法制定や移民・黒人差別などアメリカ社会の保守化が強まった

・大量生産・大量消費を前提とする新しい社会が生まれた

・野球やラジオ、映画といった新しい娯楽が生まれた

 

黄金の20年代

(狂想の20年代:wikiより)

第一世界大戦で戦場とならなかったアメリカは1920年代に世界一の経済大国となります。アメリカはそれまでの借金を全て支払い、イギリスやフランスに貸付を行う債権国へと変化しました。

 

1920年代、アメリカは空前の繁栄を迎えます。この時期、アメリカ大統領は3人続けて共和党出身でした。ハーディング大統領はワシントン会議を成功させ太平洋でのアメリカの主導権を確立します。

 

ハーディングが急死したため、副大統領から昇格したクーリッジは、次の大統領選挙にも勝利します。クーリッジは政府が企業活動を邪魔しないとする自由放任主義経済の立場をとりました。

 

[L1_wsbStart][L_wsbAvatar]https://wearewhatwerepeatedlydo.com/wp-content/uploads/2019/10/teacher.png[L_wsbName]S先生[L_wsbText]自由放任というのは、政府が民間の企業経営に口を挟まない、というスタンスです。小さな政府という考え方とも相性がいいわね。[L_wsbEnd]

 

1929年の大統領選挙に勝利し、クーリッジの次に大統領となったのがフーヴァーです。フーヴァーはクーリッジ時代の自由放任主義の継続を約束します。誰もが、この繁栄が続くと考えていました。

 

しかし、地方の農村は不況に陥っていました。農産物の価格低下などにより農民が苦しむ様子を描いたのがスタインベックの『怒りの葡萄』です。

戦間期のアメリカ外交

(ドーズ:wikiより)

19世紀から20世紀にかけて、アメリカ外交の基本は孤立主義でした。アメリカはヨーロッパの干渉を受け付けないが、ヨーロッパにも干渉しないという立場で、モンロー大統領以来のアメリカ伝統の外交姿勢です。

 

[L1_wsbStart][L_wsbAvatar]https://wearewhatwerepeatedlydo.com/wp-content/uploads/2019/10/teacher.png[L_wsbName]S先生[L_wsbText]中立主義とも言いますね。[L_wsbEnd]

 

そのため、ウィルソン大統領が国際連盟創設を提案しながら、議会の反対によってアメリカは国際連盟に加盟しないという矛盾した状態に陥ります。アメリカの不参加により、国際連綿の力は限定的となりました。

 

詳しくは「【世界史B】受験に役立つヨーロッパ史(ヴェルサイユ体制とワシントン体制)【近現代編その11】」をみてください。

 

フランスのルール出兵でヨーロッパの緊張感が高まると、アメリカはドーズ案を提案。ドイツの賠償返済延期とアメリカ資本の出資を行ってドイツを支えます。また、国務長官のケロッグはフランス外相のブリアンと協力して不戦条約を締結しました。

 

このあたりは、前回の「【世界史B】受験に役立つヨーロッパ史(戦間期のヨーロッパ)【近現代編その12】」をみてください。

 

原則として孤立主義を維持しつつも、国際協調路線の外交を展開することでヴェルサイユ体制を支えます。太平洋ではワシントン体制をつくりあげ日本の膨張を封じ込めました。

保守化するアメリカ社会

(禁酒法:wikiより)

経済的に繁栄する一方で、アメリカ社会は保守化傾向が強まりました。一時衰えていたアメリカ南部で黒人に対する組織的暴力を行ったクー=クラックス=クラン(KKK)は1920年代に復活。猛威を振るいました。

 

1920年代、アメリカでは酒類の製造・流通・販売を禁止する禁酒法が制定されます。キリスト教保守派などが中心となった禁酒運動の結果、連邦議会や各州に広がりを見せました。

 

しかし、飲酒を完全に禁止することは難しいことでした。密造酒の製造や流通があとを絶たず、それに目をつけたマフィアの資金源となります。そうしたマフィアの代表がアル=カポネでした。

 

(アル=カポネ)

 

このころ、アメリカには大量の移民が流入していました。1920年、イタリア系移民のサッコとヴァンゼッティの二人が強盗殺人の容疑で逮捕されます。判事は最初から有罪と決め付けて裁判を進行させ、二人は死刑とされてしまいました。

大量生産・大量消費社会の出現

(T型フォード:wikiより)

第一次世界大戦後、空前の繁栄を迎えたアメリカでは大量生産・大量消費という新しいスタイルが出来上がりました。その代表が自動車産業です。特にフォードがT型フォードを庶民でも購入できる金額で販売すると、爆発的に自動車が売れました。同時に自動車に関連して石油産業や道路産業、タイヤ産業などが急成長を遂げます。

 

企業活動も以前に比べて活発化しました。特に、企業広告は大きな進歩を遂げます。今でも活動しているコカコーラなどは積極的に広告を掲載しました。

 

1920年代に新しく生まれた大衆伝達手段がラジオでした。1920年にピッツバーグで放送が開始されたのを皮切りに、全米に広がります。

 

新しい大衆娯楽の登場

(ベーブ=ルース:wikiより)

大量消費・大量生産を背景に、1920年代のアメリカでは新しい大衆娯楽が生まれました。ハリウッドでは多くの映画が撮影され、チャップリンなどが人気を博します。

 

新しい踊りであるチャールストンや新しい音楽であるジャズが流行しました。スポーツでは野球が花形となり、ベーブルースなどが活躍します。ウォルト=ディズニーがミッキーマウスなどのアニメを製作したのもこのころです。

まとめ

1920年代のアメリカは黄金の20年代とよばれる空前の繁栄を迎えました。共和党のハーディング、クーリッジ、フーヴァーの政権は自由放任主義経済をおしすすめます。

 

大量生産・大量消費の社会システムができあがり、今までとはまったく違う大衆文化がうまれました。華やかさの影で保守主義が進み、禁酒法の制定とギャングの横行や黒人差別など負の面でもさまざまなことが起きた時代でした。

次の記事は「世界恐慌」です。

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