抵抗力の求め方を解説(空気抵抗の入試問題も解説!)【物理基礎】

こんにちは。今回も物理を学んでいきましょう。

 

前回は摩擦力について解説しました。摩擦力という抵抗力を考えることで私たちの周りの実際の運動について考えることができましたよね。実はもう一つ私たちの身近に存在する、考えなくてはならない抵抗力があります。それはなんでしょうか。

 

そうです。空気抵抗です。

 

今回は空気抵抗についての基本を解説します。また、アウトプットのためにも抵抗力について入試でどのように出題されるかをみていきましょう。

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空気抵抗とは

空気抵抗とはその名の通り、空気中を運動する物体に動いている方向を妨げる方向に働く抵抗力のことです。

 

もう1つ、終端速度という言葉を覚えておいてください。終端速度とは空気抵抗と重力がつりあい、物体の速さが一定になったときの速度のことです。

 

空気抵抗と終端速度をいう2つの用語について押さえて、空気抵抗が身の回りの物体にどのように関わっているのかをみていきましょう。

 

例として雨粒を思い浮かべてみてください。雨が降っているとき、空の高いところから雨粒が降ってきますよね。

 

この地上に降るときの雨粒の速さを

  • (1)空気抵抗がない場合
  • (2)空気抵抗がある場合

についてそれぞれの速さを数値だけざっくりと見てみましょう。

 

(1)は今までの知識で解けるので数式を見てみてください。(2)については今は具体的には求めることが難しいため値だけ見ておきます。

 

まず考えるにあたって雨粒の初速をv0[m/$s^2$]としたときv0 = 0­、雨雲の高さをh[m]としたときh = 1000であるとします。

 

また雨粒は自由落下するので、原点を雨雲の下端として鉛直下向きを軸正方向とします(つまり地上が)。(ただし重力加速度は9.8[$m/s^2$])

空気抵抗がない場合

初期条件を考えると、速度と時間の関係式として

v = gt …( 1 )

距離と時間の関係式として

$$y = \frac{1}{2}gt^2$$…(2)

が成り立ちます。ちなみに、鉛直下向きが正なので重力加速度の項にマイナスはつきません。

 

今、時間は考えていないため式(1)と式(2)からをt消去すると以下のようになります。

 

y = $\frac{1}{2}$($\frac{v}{g}$)$^2$

具体的な途中式は以下の形になります。

v = $\sqrt{2gy}$

 

この雨粒の速度は雨雲の下端からの距離による関数です。今知りたいのは地上での雨粒の速度なので、y = h = 1000を代入してみましょう。

 

v = $\sqrt{2×9.8×1000}$ = $\sqrt{19600}$ = 140[m/s]

 

こうして空気抵抗がない場合の地上での雨粒の速度を求めることができました。

 

野球のピッチャーが投げるボールは約42[m/s]くらいなので、この3〜4倍の速さになります。空気抵抗がなかったら痛いどころではありません。

空気抵抗がある場合

これはおよそ

v = 1.210[m/s]

 

くらいだと考えて差し支えないでしょう。

 

これらの値を見てみると、私たちが雨粒に当たっても痛くないのは空気抵抗のおかげだということがわかると思います。

空気抵抗の公式と解き方について

空気抵抗は一般に、速さvまたはvの2乗に比例します。つまり空気抵抗の大きさをf、kを比例定数としてこれを式で表すと以下のようになります。

 

f = kv または f = $kv^2$

 

空気抵抗がどちらになるかというのは問題文中に与えてあるので、問題文をしっかり読んでください。

 

それでは、空気抵抗のある物体についての運動を考えてみましょう。運動を考えるときは運動方程式から考えることが基本となるので確認しておきましょう。

 

物体の質量をm[kg]、加速度をa[m/$s^2$]、重力加速度をg[$m_s^2$]、空気抵抗をf = kvとしたときの運動方程式はどうなるでしょうか。

ma = mg – kv

 

となります。

 

空気抵抗のある運動方程式の解を具体的に求めるのは大学入学以降になります。よって一般的には高校範囲では終端速度を求める問題が出ます。あまり出すことのできる問題はないので、他の分野と融合して出題されることもあります。

 

まず終端速度についてみておきましょう。先ほど終端速度は空気抵抗と重力がつりあい、物体の速さが一定になったときの速度のことだと説明しました。つりあいなのでa = 0のときで終端速度をvfとすると先ほどの運動方程式より

m・0 = mg -k$v_{f}$

⇨$v_{f}$ = $\frac{mg}{k}$

これは簡単に求められますが、覚えておいても良いでしょう。

空気抵抗と摩擦の違い

空気抵抗とは、抵抗という名の通り運動を妨げる力です。

 

さて、運動を妨げる力と聞くと、摩擦力を思い出す方もいると思います。摩擦力も同様に物体の運動を妨げる力ですが、空気抵抗と摩擦力は一体何が違うのでしょうか。

 

それは「何に比例するか」です。

 

空気抵抗は物体の速度(場合によっては、速度の二乗)に、床や壁から受ける摩擦力は物体に働く垂直抗力の大きさにそれぞれ比例します

 

以下の図を参照してください。

図1:物体の速度に比例する空気抵抗の例です。比例定数kをとしました。

図2:物体に働く垂直抗力の大きさに比例して働く動摩擦力の例です。床は動摩擦係数μ’を持つものとしました。物体は速度vで運動していますが、摩擦力は速度vの関数ではありません

 

入試問題を解くときは混同しないようにしましょう。

抵抗力を利用した問題について

空気抵抗の問題

空気抵抗の問題は基本的な知識を押さえておけば解けるものが多いので、実際に入試問題を解いて慣れましょう。

[問題]

大学入試問題 [問題]空気中で、質量𝑚の物体を静かに放し、落下させた。物体は速さ𝑣に比例する大きさ 𝑘𝑣の抵抗力を受けるものとする。重力加速度の大きさを𝑔とし、鉛直下向きを加速度の正の 向きとする。また、𝑘は比例定数である。

 

(1) 物体の加速度𝑎として、物体の運動方程式と、十分に長い時間が経過し速度が一定になったときの速さ$v_{f}$を表す式を答えよ。

(2) 物体の速さが$v_{f}$になった後、空気の抵抗力が単位時間あたりに物体にする仕事の大きさを答えよ。

(出典:2016 年度大学入試センター試験・追試(一部改題)

解答及び解説

それでは、解答解説を行います。

vf = $\frac{mg}{k}$
これは先ほど導出したので復習です。

問2もしっかりと理解しましょう。

k$v_{f}^2$
ここで考えているのは仕事率(仕事率とは単位時間あたりの仕事)です。物体に一定の力Fを加え続けてその方向に距離𝑥だけ動かした時、仕事とは𝐹𝑥と定義されます。この仕事がtという時間だけ行われたとすると、仕事率は
$\frac{Fx}{t}$ = F $\frac{x}{t}$ = Fv
と表すことができます。本記事のテーマである「抵抗力」とは直接関係ありませんが、上のような仕事率の表し方はよく使うので、原理から理解し覚えておくと良いでしょう。
さて、本問では抵抗力𝑘$v_{f}$は一定なので、上の式に𝐹 =k$v_{f}$,𝑣 = $v_{f}$を代入すると解答を導くことができます。

空気抵抗を理解しよう

今回は以下の内容を学びました。最後に復習をしましょう。

  • 空気抵抗は抵抗力の一つで、大きさは問題文で与えられる
  • 終端速度とは終端速度とは空気抵抗と重力がつりあい、物体の速さが一定になったときの速度のことでvf=$\frac{mg}{k}$
  • 空気抵抗は物体の速度(場合によっては、速度の二乗)に、摩擦力は物体に働く垂直抗力の大きさにそれぞれ比例する
  • 入試問題では他の分野と融合されることもある

おすすめの物理の参考書として「大学入試 漆原晃の 物理基礎・物理[力学・熱力学編]が面白いほどわかる本」があります。こちらもよろしければ参考にしてみてください。

 

なお、物理の演習をしたいと考えている人は「《新入試対応》 大学入試 全レベル問題集 物理 1 基礎レベル 新装版 」を購入して問題演習にあたってください。簡単な内容なので初学者には取り組みやすい一冊となっています。

 

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