【系統地理】アジアの農業について、その特徴を地域ごとに解説

みなさん、こんにちは。今回の【地理B】では「アジアの農業」について学習します。

 

アジアの農業の特徴としては、多地域の農業と比較して、集約的に行う農業が多く、集約的畑作農業の形態が一般的です。また、アジアの農業の特徴として東アジアから東南アジアにかけてと、中央アジアから西アジアにかけて、気候、特に年間降水量の違いによって地域的に全く異なる農業形態を示しているという点があげられます。

 

東アジアから東南アジアにかけては降水量も多いことから稲作に適した地域が多く、コメの収穫が東南アジアを中心に非常に多いのが特徴です。また、東南アジアの地域では季節風によって風向きが季節ごとにかわり、この結果雨季と乾季が1年のうちに発生します。

 

いっぽうで、中央アジアから西アジアにかけては東アジアと比較すると降水量が乏しいですが、小麦やトウモロコシを栽培することは可能であり、中央アジアにあるカザフスタン共和国をはじめ、中央アジア一帯は世界有数の小麦生産地となっています。

 

アジアの農業は、アジアの気候や地誌とセットで試験に出題されることも多いので、アジアの地誌と合わせてよく理解しておきましょう。

 

この記事を読んでわかる事・アジアの農業についてその地域性や形態・手法などを理解できる

・アジアの農業形態を生む要因について理解できる

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アジアの農業の形態(地域別の特徴)

アジアの農業の特徴として、気候、特に年間降水量の違いによって地域的に全く異なる農業形態を示しているという点があげられます。

 

一般的に、降水量が年間1000mm以上あれば稲作が、年間降水量が500mm以上あれば畑作が、年間降水量が500mm以下の場合、農業をすることは難しく、酪農が一般的に行われています。250mm以下の場合、酪農も難しいとされています。

(世界別における平年の降水量マップ)

東アジアから東南アジアにかけては季節風によって風向きが季節ごとにかわり、この結果雨季と乾季が1年のうちに発生します。また、降水量も年間1000mm以上は優に超すことから稲作に適した地域が多く、コメの収穫が東南アジアを中心に非常に多いのが特徴です。

 

いっぽうで、中央アジアから西アジアにかけては東南アジアと比較すると降水量が乏しいですが、小麦やトウモロコシを栽培することは可能であり、中央アジアにあるカザフスタン共和国は世界有数の小麦生産地となっています。

 

ここでは降水量を軸に、アジアの農業を地域別にみていきましょう。

多雨地帯における農業(東アジア・東南アジア)

日本や中国南部など東アジアのうち雨が多い地域、東南アジアからインド東部にかけては稲作が盛んであり、生産されるコメの多くは主食として自国内で消費されています。

東南アジアでは米を炊飯して食べるほかに麺類に加工(フォーなど)して食べる風習が古くからありました。また、インドやタイ、ベトナムにおいては輸出目的で生産されるものもあります(農林水産省の2017年度の統計によるとコメの輸出量第1位はインド、第2位はタイ、第3位はベトナムとなっています)。東南アジアを代表する河川であるチャオプラヤ川(タイ)・メコン川(ベトナム)などの大きな川の三角州が代表的な産地としてあげられます。

 

東南アジアでは夏に海から湿った温かい季節風が吹くことを要因に気候が雨季と乾季に分かれており、稲作はこの雨季に降る雨をもとにして行われています。かつては浮稲と呼ばれる茎が3~4m近く雨季で増える水かさに合わせて伸びる稲を栽培し船で収穫を行ってきましたが、生産性に乏しかったことに加えて、現在では灌漑設備が整備されたため、現在はなくなりつつあります。

 

また、灌漑施設の整備とともに農作業も機械化され、二期作なども行われています。

半乾燥地帯(ステップ気候)の地域における農業(中央アジア・西アジアの一部)

西アジアから中央アジアにかけては、東南アジアや東アジアと比べると雨や雪などの降水が少ないです。ただ、ステップ気候の地域においては年間500mm程度の降水量を得ることができるため、この降水量に適した作物が栽培されます。

 

代表的なものとしては、カスピ海南部を中心とする西アジアを原産とする小麦をはじめ、トウモロコシ、綿花などがあげられます。西アジア・中央アジア諸国は黒土など肥沃な土壌が形成されていることも相まって、これらの作物(小麦・トウモロコシ・綿花)における世界有数の生産地となっています。

乾燥地帯の地域における農業(中央アジア・西アジアの一部)

年間降雨量が500mm以下の場合、農業をすることは難しく、酪農がおこなわれています。

 

さらに、年間降水量が250mm以下の場合、酪農も難しいとされています。そのため、年間降雨量が250mm以下の砂漠気候の地域においては、基本的に農業・酪農を行うことは難しいです。しかしながら、外来河川が存在している、あるいはカナートやフォガラといった灌漑施設が整備されているといった場合においては、農業を行うことが可能です。

 

これらの地域で行われる農業は、オアシス農業と呼ばれています。オアシス農業では小麦や大麦のほかに、乾燥に強いナツメヤシなど主食として用いられる作物が長年栽培されています。また、これに加えて近年では商品作物である綿花やサトウキビなどの栽培がおこなわれています。

まとめ

ここまでアジアの農業について説明してきましたが、ここでもう一度整理しておきましょう

アジアの農業の特徴として

多地域の農業と比較して集約的に行う農業が多く、集約的畑作農業の形態が一般的

ということが前提としてありました。そして、気候によって

多雨地帯における農業(東アジア・東南アジア)

・稲作がさかん

半乾燥地帯(ステップ気候)の地域における農業(中央アジア・西アジアの一部)

・小麦をはじめ、トウモロコシ、綿花などの栽培が盛ん

乾燥地帯の地域における農業(中央アジア・西アジアの一部)

・基本的に難しいが外来河川や灌漑施設の整備によって可能

・年間降水量が250mm 以上の場合、酪農が可能であり、実施されている。

・農業が可能な場合、小麦、大麦のほか、乾燥に強いナツメヤシなどが栽培される。

がありました。

アジアの農業は気候によって同じアジアでも全くその様相が異なっていることが理解できます。ですので、アジアの農業を理解するにあたっては、同時にアジアの地域別の気候を理解しておく必要があるといえるでしょう。

 

詳しく知りたければ「目からウロコのなるほど地理講義 系統地理編/宮路秀作」がおすすめです。

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