今回は英文法、過去完了形について疑問・否定形などの用法などを解説していきます。また、過去完了形が過去形や現在完了形とどのように違いがあるのか、受験生がつまづきそうなポイントを例文をまじえてしっかり解説します。
試験問題にも頻出の過去完了形を得意な単元にしてしまいましょう。
過去完了形は過去のある時点での状態をあらわしますが、重要なのはそれ以前からつながっている状態や動作をあらわしていることです。
現在完了形や未来完了形と同じで時のつながりを意識します。<had + 過去分詞>の使い方や過去完了形の完了・結果、経験、継続の意味や過去完了進行形や否定文、疑問文のつくりかたについてもこの記事で学べます。
また、最後に演習問題も用意してあります。解答のチェックボックスを開けるとこたえとともに解説も出てきます。復習して記憶の定着に役立てましょう。
今回の記事を読んだらわかること・英文法の過去完了形の用法がわかる
・過去完了形、大過去がわかる
・過去完了形の疑問文・否定文がわかる
・過去完了形と過去形の違いがわかる
・過去完了進行形がわかる
そもそも過去完了形とは? had 過去分詞を解説
完了形というのは、英語独特の表現で日本語には無い表現です。完了形には3つの種類があり、現在完了形、過去完了形、未来完了形があります。
完了形の代表、現在完了形と過去形との違いを解説します。過去形は過去の時点の状態をあらわしていて今との時間のつながりが切れているのに対し、完了形はある時点の動作がその以前から時間のつながりを持ってあらわしています。
- 【現在完了形】過去の出来事が現在と結びついている。I have lived in Nagoya for five years.(私は名古屋に5年間住んでいます。)
- 【過去形】今と切り離した過去の事柄、現在とは結びついていない。I lived in Nagoya for five years.(私は名古屋に5年間住んでいました。)
これをふまえて過去完了形を考えましょう。
現在完了形は過去から今へと時間の結びつきがありました。
これがそのままスライドするイメージで、過去のある時点とその時点より前の過去(大過去)の時間の結びつきがあり、事柄をあらわしています。
過去完了形のかたちを例文フレーズで理解する
現在完了形でいうところの「今の時点からそれ以前」ではなく「過去のある時点よりさらに過去」というふうに時をスライドさせたものが過去完了形です。
例文でみてみましょう。
- 【現在完了】The wedding ceremony has started.(結婚式はすでに始まっていました。)
- 【過去完了】The wedding ceremony had already started when I arrived.(私が到着した時、結婚式は始まっていました。)
had + 過去分詞:(過去のある時点までに)~してしまっていた。
過去完了形の時制とは? 大過去をあらわす過去完了形
過去に起きた2つの出来事を伝えるとき、時間的な前後関係を明確にするため先に起こった出来事を過去完了形にします。この用法を大過去といいます。例文で確認しましょう。
【過去完了形・大過去】He lost the watch(which)I had given him.(彼は私があげた時計をなくしました。)
ここで注意ですが、過去に起こった出来事を順に伝えるときは過去形でOKです。たとえば上の文で起きた順にすると
I gave him the watch but he lost it.(私は彼に時計をあげたがなくした。)
となります。
大過去とは少し異なりますが、expect(期待する)、hope(希望する)intend(意図する)、want(望む)などの期待や願望をあらわす動詞を、過去完了形をもちいて実際には実現されなかった期待や願望をあらわすことがあります。
例文を見てみましょう。
- 【過去完了形】We had intended to stay there for one more week.(私達はもう1週間そこに泊まるつもりだったのに〔泊まれなかった〕。)
- 【過去形】We intended to stay there for one more week.(私達はもう1週間そこに泊まるつもりだった。)
例文ですと過去完了形は実際には実現されなかったという意味になりますが、過去形では実現したかどうかまでわからない状態となります。
過去完了形の短縮形
過去完了形は<had + 過去分詞>のかたちをとりますが、会話のような口語体では短縮形が使われることが多いです。
過去完了形の短縮形
I had → I’d / you had → you’d / he had → he’d / she had → she’d / we had → we’d / they had → they’d など
※wouldの短縮形も「’d」が使われますので文脈やその後が過去分詞なのか動詞の原形なのかで判断しましょう。
過去完了形の用法
過去完了形には、現在完了形同様に用法が3つあります。
- 【完了・結果】過去のある時点における完了や結果をあらわす
- 【経験】過去のある時点での経験をあらわす
- 【(状態の)継続】過去のある時点までの(状態の)継続をあらわす
過去完了の完了・結果用法
過去完了の「完了・結果」の用法について例文をみながら確認しましょう。
【完了・結果】The wedding ceremony had already started when I arrived.(私が到着した時、結婚式は始まっていました。)
when I arrived(私達が到着したとき)という過去のある時点をしめす語句がありますので、過去のことを話しています。
「過去のある時点=私達が到着したとき」にすでに結婚式がはじまってしまっていた動作の完了・結果をあらわしています。
過去完了の経験用法
過去完了の「経験」について例文を見ながら解説しましょう。
I had never spoken to a foreigner before I entered this university.(この大学に入るまで私は1度も外国人と話したことはありませんでした。)
この文ではI entered this universityが過去のある時点をさしています。この大学に入ったときからそれ以前を振り返って外国人と話をしたことがないという経験をあらわすために過去完了を使っています。
※neverという頻度をあらわす副詞が使われています。neverは「1度も~ない」という副詞です。
過去完了形の継続用法
つづいて過去完了形の「継続」です。こちらも例文を確認しましょう。
She had lived in Paris for five years before she came to Japan.(彼女は日本に来る前に、パリに5年間住んでいました。)
この文では、before she came to Japanが過去のある時点をあらわしています。その時点までの「住んでいた」という状態の継続をあらわしています。
過去完了形の否定形と疑問形
過去完了の否定形と疑問形のかたちを見ていきましょう。
こちらも他の完了形と基本はおなじです。
過去完了の否定形
過去完了の否定形について説明です。過去完了形の否定は<had + 過去分詞>のhadの後にnotをつけます。例文で確認しましょう。
She had finished her homework when I got there.(彼女は私がそこに到着したときに宿題を終わらせていました。)
→She had not finished her homework when I got there.(彼女は私がそこに到着したときに宿題を終わらせていませんでした。)
過去完了形の否定
had + not + 過去分詞:(過去のある時点で)~して(しまって)いなかった。
※過去完了形否定形の短縮形はhadn’t
過去完了の疑問形
つぎは過去完了形の疑問形を見ていきましょう。
過去完了形の疑問文をつくる場合、hadを文の先頭に出し、その後に主語を置き、続いて 過去分詞、文末に「?」クエスチョンマークの語順です。
例文で確認しましょう。
She had finished her homework when you got there.(彼女はあなたがそこに到着したときに宿題を終わらせていました。)
→Had she finished her homework when you got there?(彼女はあなたがそこに到着したときに宿題を終わらせていましたか。)
過去完了の疑問形
Had + S(主語)+ 過去分詞~?:(過去のある時点で)~して(しまって)いるだろうか。
過去完了形と過去形、過去完了進行形、現在完了との違い
過去完了形と過去形の違いや過去完了進行形、現在完了形との違いを解説します。この違いをしっかり理解できればかなり完了形を攻略できているといえますね。
ではさっそく過去完了形と過去形の違いからいってみましょう。
過去完了形と過去形
まず、過去完了形と過去形の違いを例文でみてみましょう。
- 【過去形】今と切り離した過去の事柄、現在とは結びついていない。I lived in Nagoya for five years.(私は名古屋に5年間住んでいました。)
- 【過去完了形】過去のある時点からそれ以前へと状態の継続をあらわしている。I had lived in Nagoya for five years before I studied abroad in college.(私は留学する前に名古屋に5年間住んでいました。)
比べてみますと、過去形は過去のどこかの時点で5年間名古屋に住んでいたことだけで今はどこに住んでいるかわからず、過去完了形は過去のある時点(ここでは留学する前)より以前から住んでいた状態をあらわしています。
過去完了形と過去完了進行形
つぎは過去完了形と過去完了進行形のちがいについてです。
過去完了進行形は過去完了形の継続で動作動詞が使われるときに「し続けている」ことをあらわすため had been に加えて 動作動詞にingがつきます。これが過去完了進行形です。
例文で確認しましょう。
・He had been playing soccer for two hours when it started to rain.(雨が降り出した時には彼は2時間(ずっと)サッカーをしていました。)
過去のある時点で動作をずっとし続けている場合は<had been + V ing>となります。
状態動詞の場合は進行形にできませんが、動作動詞の場合で完了形の継続であれば動詞はingにすることが基本です。
過去完了進行形
had + been + V(動作動詞)ing
(過去のある時点まで)ずっと~し続けていた。
過去完了進行形は過去のある時点より前に始まったことが継続され動作がし続けられていたことを示します。
過去完了形はこの前の項目で確認しましたように、過去完了形の【完了・結果】【経験】【状態の継続】をあらわす時に使われ、過去完了進行形は過去完了形の【動作の継続】につかわれますので違いをしっかり覚えてしまいましょう。
このように過去完了形の「継続」をあらわす時は、動詞が状態動詞なのか、動作動詞なのかによって、過去完了形か過去完了進行形を使うのかが変わってきます。
問題を見抜くにはまずある時点がどこかを意識して過去であれば、「完了・結果」なのか「経験」なのか「継続」ならば状態動詞か動作動詞かを見極めましょう。
この継続で動作動詞か、状態動詞かの見極めは現在完了形でも未来完了形でも同様ですのでしっかり理解しましょう。
過去完了形と過去来完了進行形のちがい・ポイント
過去完了形の「継続」の用法で状態動詞なら過去完了形、動作動詞なら過去完了進行形
過去完了形と現在完了形
次に過去完了形と現在完了形の違いです。
現在完了形は今の時点からそれ以前の時間のつながりで「完了・結果」「経験」「状態の継続」を表表します。
一方、過去完了形はその時間のつながりが、現在完了形でいうところの「今の時点からそれ以前」ではなく「過去のある時点よりさらに過去」というふうに時をスライドさせたものになります。
例文でみてみましょう。
- 【現在完了】The wedding ceremony has started.(結婚式はすでに始まっていました。)
- 【過去完了】The wedding ceremony had already started when I arrived.(私が到着した時、結婚式は始まっていました。
見極めはある時点が現在なのか、過去なのか。そしてある時点より以前からの時間のつながりがあって「完了・結果」「経験」「状態の継続」をあらわすかどうかがポイントです。
過去完了形の演習問題
今回学んだ過去完了形の復習として問題を解いていきましょう!
日本語の意味に合うように選択肢から正しいものを選んでください。
1.The woman ( )when the police arrived.(警察が駆けつけたときには、すでにその女性は逃げてしまっていました。)
(ア)had run away (イ)have run away (ウ) will run away (エ)be run away
過去完了形の完了・結果です。そのため<had+過去分詞>のかたちですので、runを過去分詞にした(ア)had run awayが正解です。
2.He had never( )Kabuki until he came to Japan.(彼は日本に来るまで歌舞伎を見たことがありませんでした。)
(ア)saw (イ)been seeing (ウ)seen (エ)see
until he came to Japanは日本に来るまでという過去のある時点をさしています。そして見たことがない、という経験をあらわしています。<had+過去分詞>で1度も~ないというneverの副詞が使われていて日本語が「見たことがない」ですのでhad never の後は(ウ)seenが正解です。
3.I hadn’t ( )the news before I watched on TV. (テレビで見るまで私はそのニュースを知りませんでした。)
(ア)know (イ)known (ウ)was known (エ)knew
I watched on TVで過去のある時点をしめしています。それまでに「知らなかった」のですから過去完了形の否定形となります。<had + not + 過去分詞>ですので(イ)knownが正解です。had notはhadn’tの短縮形になることが多いです。
4.I heard that Marta( ) to Italy.(マルタはイタリアに帰ったと聞きました。)
(ア)had returned(イ)hadn’t returned(ウ)been returned (エ)had return
過去に起こった2つの出来事を並べたときに、時間的に前後してしまっている時は先に起こった出来事を過去完了形(大過去)にします。私が聞いた時点より、マルタは前にイタリアに帰っているのでで過去完了形にします。<had + 過去分詞>のため(ア)had returnedが正解です。
5.Mari had ( )the piano for three hours when we visited her.(私達が彼女を訪ねていったとき、マリは3時間ピアノを練習していました。)
(ア)be practicing (イ)practicing (ウ)been practice (エ)been practicing
when we visited herで彼女を訪ねたときという過去のある時点より前からマリは練習を継続しています。そのため過去完了の継続、practiceは動作動詞です。そのため過去完了形の動作の継続です。そのため、過去完了進行形にする必要がありますので<had + been + 動詞ing>のかたちとなります。よって(エ)been practicingが正解です。
まとめ
いかがでしたか。
過去完了形というとわかりにくく完了形に対しての苦手意識のあった人もいたかもしれませんが学んでみると完了形の基本部分は同じで、「ある時点」が過去であるというポイントに気づけばほかの完了形と同様のしくみと同じなのです。
法則を理解してしまえばそれほど難しい単元ではありません。過去完了進行形は他の現在完了進行形や未来完了進行形と同じく、動詞のみきわめもポイントになりますので状態動詞と動作動詞についても不安な人は復習をしておきましょう。
ついでに「【受験の英文法】受験に役立つ空欄補充問題(時制)[10問出題]」で知識の確認もしましょう。
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