H30プレテストからみた大学入学共通テスト数学2Bの対策

来年(2021年)から、センター試験に代わり「大学入学共通テスト」がついに導入されます。高校生や大学受験生の皆さんは、初めてのテスト形式に戸惑いを感じていることと思います。

 

この記事では、平成30年度の「試行調査(プレテスト)」情報をもとに、「大学入学共通テスト数学2Bに焦点をあて、出題内容、配点や解答時間について解説します。

 

大学入試センターが公開した情報によると、センター試験では「知識・技能」を求められたのに対し、大学入学共通テストでは、それらに加えて「思考力・判断力・表現力」が問われるようです。

 

「思考力・判断力・表現力」が問われる問題という部分が、センター試験との大きな違いになります。

 

センター試験との違いをしっかりと把握し、適切な大学入学共通テスト数学対策をしていきましょう。

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大学入学共通テスト数学2Bの内容は

まず最初に、大学入学共通テスト数学IAの出題の形式面について分析していきます。

配点100 点・解答時間60分間、センター試験から変更なし

 

配点は100 点解答時間は60分間で昨年のセンター試験から変更はありません

 

解答形式はマーク式

 

当初、記述問題の出題が予定されていましたが、最終的になくなり、昨年までと同様全てマーク式の解答となります。

 

また「正解を全て選べ」というような解答方式もなくなり、正解を一つ選べばよい方式となっています。

必答問題2題、選択問題3題

 

「数学Ⅱ・数学B」は「数学Ⅱ」と「数学B」を総合した出題範囲となり、全部で5題出題され、そのうち4題を解答します。5題中2題は必ず解答する必要がありますが、残り3題は選択問題です。

 

選択となる問題は「数学B」から出題される「数列」,「ベクトル」,「率分布と統計的な推測」の3題で、このうち2題を選びます。

 

次に問題傾向について分析していきます。

平成30年試行調査(プレテスト)の数学2B解説

プレテストは2017(平成29)年度と2018 (平成30)年度の2回、開催されました。平成30年度のプレテストでは、平成29年(1回目)のプレテストの問題点が改善されています。

 

つまり、平成30年度のプレテストの方が、より本番の大学入学共通テストに近い内容になると思われます。

 

それでは、平成30年度の数学2Bプレテスト」の問題を確認しながら、その対策法について解説します。

 

平成30年プレテスト数学2Bでは、第1問と第2問が必答問題(必ず解答する必要がある問題)でした。

 

(必答問題)数学2B第1問解説と対策

それでは、平成30年のプレテストの数学2B第1問の簡単な解説をしていきます。

 

第1問は〔1〕から〔3〕まであり、配点は30点です。

第1問〔1〕出題範囲:三角関数

(1)三角関数の基本的な定義を理解してれば解答できる問題です。Qの座標は$\frac{π}{2}$での$\sinθ$ $\cosθ$変換を使用します。

 

$\frac{π}{2}$での$\sinθ$ $\cosθ$変換の暗記に自信がないという場合でも、図形の問題に切り替えて解答することができます。

 

Pからx軸に垂直に線分をおろし、x軸との交点をP’とします。同様にQからx軸に垂直に線分をおろし、x軸との交点をQ’とします。そうしてできる△OPP’ と△OQQ’が合同の直角三角形になることに気が付けば、Pの座標のxとyを逆にしてy座標を負にしたものがQの座標になると気がつくことができます。

 

このように、数式計算を図形に変換するというテクニックを使うことで、簡単かつ短い時間で問題を解くことができます。本番では何が起こるかわかりませんので、柔軟な思考を持って問題に向き合いましょう。

 

(2)Qの座標がわかっているので、AQの長さは三平方の定理から算出します。

ルートの中が$2-\cosθ$になりますが、これも$\sinθ$ $\cosθ$変換すればルートの中を二乗にすることができるので、ルートを外すことができます。あとは$\sinθ$がどのようなグラフであるか、θが$\frac{1}{2}$になった時に、グラフがどのように変化するのかを理解していれば解答を導けます。

 

ルート内の変換ができない場合、具体的な数字を入れていって、どのようなグラフになるのかを確認することもできます。本番ではそれくらいの泥臭さが時には必要になります。

第1問〔2〕出題範囲:微分積分

 

(1)微分積分の基本的な定義ですので、数式計算だけで解ける問題です。

 

(2)イメージしやすくするため、実際にグラフを描いてみましょう。

 

極小値の位置と、y軸と交わる場所から、負の解は2つと視覚的にわかります。

 

また、問題文で記された「面積」については、Sがy軸の負の座標領域、Tが正の座標領域になることも視覚的にわかります。そのため、Sはマイナスにすれば良いことを導くことができます。

 

第1問〔3〕出題範囲:指数関数・対数関数

(1)指数関数・対数関数の基本的な定義です。 

 

(2)指数対数のものさし問題で、少しとっつきづらいとは思います。しかし冷静に考えれば解ける問題です。

 

(ⅰ)の問題は、対数グラフが頭に浮かべばすぐに解ける問題です。対数グラフはx軸の増加に対し、y軸の増加がどんどん少なくなってくる、「頭打ち」グラフです。

 

浮かばない場合は、実際にnに具体的な数字を入れて、自分でグラフを描いてみましょう。

 

(ⅱ)以降の問題は、「2つのものさしの目盛りが一致する=その2点間の長さが等しい」、ということに気が付けば、そこから方程式を得ることができます。あとは指数対数の基本的な定義を使って計算するのみです。

最後の問題(ⅳ)は、文章の意図が読み取りづらいことが難点です。また「すべて選べ」という問題形式になっていますが、本番ではこういったタイプの問題はありません。必ず1つの正解を選ばせるようになっています。

 

前問までと同様、ものさしAとB、ものさしAとCが「2つのものさしの目盛りが一致する=その2点間の長さが等しい」、ということから方程式を得ましょう。選択肢の計算に一致する方程式かどうかを一つずつ確認していけば解答を得られます。

(必答問題)数学2B第2問解説と対策

続いて、平成30年のプレテストの数学2B第2問の簡単な解説をしていきます。

 

第2問は〔1〕と〔2〕があり、配点は30点です。

第2問〔1〕出題範囲:図形と方程式

日常生活の問題を数学的にとらえることを意図した問題文です。問題文が長いこと、必要な情報を読み取る読解力が必要になります。しかし、問題自体は図形と方程式の基本的な内容ですので、難易度は高くありません。

 

まずは問題文に沿って不等式を得ましょう。

 

どちらも座標上で直線として表すことができます。2つの直線をxy座標でグラフに変換しましょう。両方の不等式を満たす範囲が、グラフにすることで視覚的にわかりやすくなります。

 

第2問〔2〕出題範囲:図形と方程式

(1)図形と方程式の基本的な問題です。中点Mの軌跡を表す数式の計算に多少時間がかかりますが、丁寧に計算していきましょう。

 

(ⅲ)ではDの判別式を使用します。プレテストでは「すべて選べ」という問題形式になっていますが、本番ではこういったタイプの問題はありません。必ず1つの正解を選ばせるようになっています。

 

(2)オリンピックマークに関する問題です。

5つの円に惑わされるかもしれませんが、中心の円のみに注目しましょう。この円が定点(0, 0)とQの中点の軌跡であることに気づけば、すぐに解ける問題です。たくさんある情報に惑わされず、情報の取捨選択する能力も必要です。

 

では、次は選択問題を解説します。

(選択問題)数学2B第3問解説と対策

選択問題配点は20点です。

 

出題範囲:確率分布と統計的な推測

確率分布と統計的な推測の問題が第3問にくるのは、センター試験ではなかった傾向です。選択問題を解く前に、必ず全ての選択問題を確認し、自分が解けると思うものを解答するようにしてください。

 

問題の内容としては、推測統計の基本的な問題です。

センター試験対策では他と比較して難易度が高いので、最初からこの分野は捨てるという方法もありました。しかし、解き方さえわかっていれば難度は高くありません。他の選択問題の難易度が高かった場合に備えて、基礎的な内容だけは把握しておいた方が良いでしょう。

 

(選択問題)数学2B第4問解説と対策

選択問題配点は20点です。

 

出題範囲:数列

 

漸化式の解法に関する問題です。

 

会話形式なので、問題文が長めになっていますが、会話にしたがって誘導された通りに解いていきましょう。

 

注意すべきなのは、最初に階差数列を使った解き方を考えさせたあと、「等比数列でも解くことができないか?」という展開になるところです。

 

複数の解答方法で答えさせる問題となっており、普段から他の解き方はあるのだろうか?と別解を考える姿勢が重要になります。

 

(選択問題)数学2B第5問解説と対策

選択問題配点は20点です。

 

出題範囲:ベクトル

ベクトルの空間図形への応用問題です。

問題文と図から、2つの正四面体が△OABの面で合わさった図形であることを読み取りましょう。

 

ベクトルの計算として解答することもできますが、図形の問題に落とし込むことで簡単かつ短い時間で解くこともできます。

 

例えば、(1)(ⅱ)については誘導に従うより、点Nが△OABの重心であることに気が付けば、ベクトルの複雑な計算をしなくても解答を得ることができます。

平成30年プレテスト数学2Bからみる共通テスト数学への対策

平成30年プレテスト数学2Bの問題を分析から、大学入学共通テストでは以下の傾向があることが予想されます。

 

  1. 情報量が多い長文問題、限られた時間内に適切に読み解く「読解力」が必要に
  2. 公式丸暗記はNG
  3. 複数の解答方法で答えさせる問題がある
  4. 問題文の「誤答」を見破らせる問題がある
  5. 「日常生活の問題を数学的にとらえる」ことを意図した問題がある

 

しかし、問題の難易度自体は、以前のセンター試験と比較し、決して高くはありません。

 

一方で、付け焼刃の「公式丸暗記」は通用しない可能性が高いので、数学知識の本質を理解するような勉強を心がけましょう。オススメなのは「チャート式基礎からの数学」です。チャート式を利用した数学の勉強法については「数学の勉強には青チャートがおすすめ!青チャートのバラバラ勉強法や読むだけ勉強法も解説」に詳しく記載しています。

 

 

公式丸暗記でない数学勉強は、大学2次試験にも十分通用するので、難関大学や医学部入試にも応用できます。今から自分の勉強法を見直し、しっかりとした大学入学共通テスト対策をしていきましょう。

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