【系統地理】農業について灌漑や土地生産性、農業の形態を中心に解説

みなさん、こんにちは。今回の【地理B】では「農業」について学習します。農業は、言うまでもなく我々が生きていくうえで大切な産業であり、それぞれの土地で生活をするために、あらゆる手段が講じられてきました。

 

例えば、農地に水を得るために灌漑という事業を行ってきました。この灌漑技術の進歩は、様々な場所を農地にすることを可能としました。

 

農業の生産体制についても人類は農耕開始以来、様々な手段を講じてきました。土地生産性を向上するために先述する灌漑をはじめとした事業を行い、またそれぞれの土地の形態に合わせて集約的農業粗放的農業といった様々な農業のスタイルを編み出してきました。また、自給自足の生活のための自給的農業から労働効率をよくして時間生産性を向上し、それによって生み出した時間によって新しい産業を勃興することができるようになりました。

 

今回解説する農業は、大学受験においても非常に大切な分野の一つとなっています。センター試験をはじめとした各種大学入試においても頻出なのはもちろんのこと、大学に入学してからも様々な分野で農業について検討する機会は多いと思います。ですので、この機会に農業の形態について理解していきましょう!

 

この記事を読んでわかる事・農業についてその形態や手法などを理解できる

・灌漑をはじめとした農業を実施するために行ってきた様々な事業について理解できる

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農業の形態(集約的農業・粗放的農業・自給的農業など)

農業は、その土地ごとに違う環境に適応する形で集約的農業や粗放的農業といった様々な農業のスタイルが形成されてきました。また、経営形態や生活形態に応じても様々な農業の形態が現れてきました。

土地への適応手段としての農業形態

集約的農業

集約的農業とは、耕す予定の土地に多くの資本と労働力を投下して行う農業形態のことです。資本を多く投下する場合は資本集約的農業、労働力を多く投下する場合は労働集約的農業と呼ばれます。

 

耕地面積の少ないところにおいては、より多くの収穫量を得るために、肥料・農機具・農薬などあらゆる効率的な生産手段と雇用労働力を多量に投下することで、生産量と収益の増大を図っています。日本の農業はほとんどが集約的農業です。

 

集約的農業は、集約化が一定限度に達した後は、地力(土地が持つ生産能力)が低下することを要因として収穫が逓減(徐々に減っていく)するという法則が作用します。

粗放的農業

集約的農業とは対照的に、耕す予定の土地に最低限の資本と労働力を投下させ、あとは自然の力に任せる形で行う農業形態のことを指します。気象条件や立地条件など自然環境によって農作物の生産が左右されることから、安定性は少ないです。生産量の少ない地域や土地の広い地域で行われている農業方法です。

経営形態や生活形態にあわせた農業形態

自給的農業

自給的農業とは、生産物を生産者自らが消費することだけを目的として行われる農業のことを指します。アジアやアフリカなどでよくみられる農業形態です。

 

詳細については、「【系統地理】アジアの農業について、その特徴を地域ごとに解説」を参照してください。

商業的農業

商業的農業とは、生産した農作物を販売して利益を得ることを目的とした農業形態です。

 

農業以外の産業で仕事をする人の多い国においては、販売されている農作物を購入して生活をしているため、商業的農業が卓越します。

企業的農業

企業的農業とは、企業が広大な土地に、利益の得やすい農作物(麦などの穀物)を大型の施設や農機具などを用いて栽培し、利益を追求する農業形態です。大規模な形態の農業が多いのが特徴です。

農業の労働生産性を向上させる試み(労働効率の向上・灌漑)

農業形態以外にも、農業の労働生産性を向上させるために様々な試みが行われてきました。

 

労働効率を向上させて時間生産性を向上させる形の取り組みは古くから行われており、水利を得やすくするための灌漑や農作業の機械化などはその代表的な事例といえます。現在でも、情報産業と組み合わせたうえで労働効率を向上させて時間生産性を向上させる形の取り組みは行われています。

労働効率の向上(農作業の機械化)

労働効率を向上させるにあたっては、農作業の機械化などをはじめ、農業に関する仕事や労力をできる限り減らすことが長い間にわたって行われてきました。

 

農作業の機械化は農業の労働生産性を向上させるだけでなく、それによって生み出した時間によって新しい産業を勃興することを可能としたことや、より大規模な農業を実施して農業での収入を増加させるということを可能としました。

 

現在では、農作業の機械化に加えて、情報産業と組み合わせてより効率の良い農作業を行うための取り組みが数多く行われています。

灌漑(かんがい)

灌漑とは、農地に対して外部から人工的に水を供給することを意味します。

 

農作物を育てるにあたっては、一定量の水を供給する必要があります。日本は多雨な地域が多いものの、山がちで平野が少ないためせっかく大量の雨が降っても、短時間に海に流れ出てしまいます。そのため、水を長期にわたって一定量供給するためには何らかの工夫が必要となります。

 

灌漑の歴史は古く、日本においては稲作が始まった縄文時代末期から弥生時代にかけても灌漑事業が行われていた形跡が残っています。現在では灌漑は農業の用途を越えて諸産業において水資源を有効活用するために、あらゆる産業主体が共同で行う事例もあります。

 

灌漑の事例としては、水田であれば用水路の整備や、ため池の設置などがあげられます。

まとめ

ここまで農業の基本的な形態や生産性向上のための技術について説明してきましたが、ここでもう一度整理してみましょう。

 

土地への適応手段としての農業形態としては

集約的農業

・耕す予定の土地に多くの資本と労働力を投下して行う農業形態

粗放的農業

・耕す予定の土地に最低限の資本と労働力を投下させ、あとは自然の力に任せる形で行う農業形態

がありましたね。

一方で、経営形態や生活形態にあわせた農業形態としては、

自給的農業

・生産物を生産者自らが消費することだけを目的として行われる農業

商業的農業

・生産した農作物を販売して利益を得ることを目的とした農業

企業的農業

・企業が広大な土地に、利益の得やすい農作物(麦などの穀物)を大型の施設や農機具などを用いて栽培し、利益を追求する農業

がありました。

 

また、農業生産性を向上するために

農作業の機械化

・農業に関する仕事や労力をできる限り減らす。近年では情報産業と組み合わせることも。

灌漑

・農地に対して外部から人工的に水を供給すること

などの取り組みが古くから行われてきたことが理解できました。農業は、人間が生きていくうえで大切な食料を生産するために行われています。農業を理解することは、人間がどのような環境で生きようとしているのかを理解することにもなりますので、しっかりと理解していきましょう。

 

より詳しい内容は「村瀬のゼロからわかる地理B 系統地理編 (大学受験プライムゼミブックス)」を読んでみてください。

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