こんにちは。今回はThe+比較級について解説していきます。
これまで学習してきた比較の単元では『最上級にTheをつける』ということは習ったと思いますが、今回は比較級にTheがつくパターンです。
例外的な内容になるため、普通の比較級というより、慣用句的に暗記をする側面が強くもあるのですが、しっかりとロジックを理解することが大切です。
理解を深め、もう間違わないようにしていきましょう!
『The』の根幹的な意味・概念
The+比較級の内容に進むために、『The』の概念とは何か、という根本的なお話を復習しておきましょう。
今さらそんなことしなくても余裕なんだけどなあ、、、
という方も多くいるかもしれませんが、ここを丁寧に抑えておくことで後の理解がグッと深まります。基礎を大事にしていきましょう。
さて『The』というのは日本語訳すると『その』などという意味ですね。この意味自体を覚えているのは当然のことです。
ここで『その』という意味に着目します。これは日本語で言うところの『こそあど言葉』で、指示語という物にあたります。
いきなり『その映画、面白かったよね~!』などと言われても何の話をしているのか理解出来ないように、こういった言葉は『明確な対象を特定する』などの場合にのみ使うことが出来ます。
これを覚えておくだけで、後で説明するThe+比較級の構造に合点がいくようになり、丸暗記より応用が効くようになりますよ。
『the 比較級 of the two』のパターン
さて、theの概念についておさらいしましたので、ここからはthe+比較級の具体的な表現を確認していきましょう。
まずは『the 比較級 of the two』のパターンからです。意味としては『2つの中で1番~である』と理解しておきましょう。
論理は以下の例文でもって解説します。
Taro is the taller of the two students.
太郎は2人の生徒の中で最も身長が高い。
こちらは比較的理解が容易だと思われます。先ほど『the』は『明確な対象を特定する』と言いました。
ここで言うと『2人の中で身長が高い方の人』は太郎であり、2人しかいないので、『最も背が高い人』として明確に特定することが出来ますね。
そのため、2人の中で比較をしているものの、背が高い方が明確に特定されるので『the』を用いているのです。最も背が高い人を一目で特定する、最上級に近い感覚ですね。
all the better for(because)のパターン
次に『all the better… for(because)~』の形です。これは意味だけでいうと『~が理由でますます…』という意味になります。betterが使われていることから、『ますます…』の後には肯定的な意味合いが続きます。
しっかりとロジックを理解した後に、意味を覚えておきましょう。
She loves Taro all the better for his faults.(欠点があるので、彼女はますます太郎のことを好きになる。)
「for/because」の後ろには、理由が続きます。その部分が「~ので」となるのですが、「for」は前置詞であるため後ろに名詞が、「because」は接続詞であるため後ろに文章が続く点には注意をしましょう。
「because」を使うと以下のように言い換えられます。
She loves Taro all the better because he has faults.(欠点があるので、彼女はますます太郎のことを好きになる。)
と考えれば、「ますます」の部分が「all the better」の部分に該当するのですが、では何故「the+比較級」の形が使われているのでしょうか。
それは「the」が示す「特定の部分」が「for/because以下の理由の部分」を指しているからです。
理由を特定して指して、「~だから、その分ますます・・・」という論理になる訳です。
少々理解が難しいかもしれませんが「the」が特定するニュアンスを掴んでいれば理解できることでしょう。
また、以下でも同じ意味になります。覚えておきましょう。
allの対義語noneと、betterの対義語lessを使って、マイナスとマイナスの表現が打ち消しあって肯定の同じ意味になります。
all the better for(because)の派生形
all the better for(because)については派生形もしっかりと覚えておく必要があります。前出のものが最頻出ですが、「all the better」の「ますます」は変わらず、接続詞の部分が変わって、細かに意味が変わるものがありますので、順に追っていきましょう。
「even though」は「たとえ~でも」という表現。接続詞によって微妙に意味が変わっています。
「if」は「もし」という表現。接続詞以下の意味が変わるだけなので簡単ですね。
The比較級 SV+The比較級 SVのパターン
最後にThe 比較級 SV+the 比較級 SVの用法を理解しておきましょう。日本語の字面では意味が理解しづらいと思いますので、早速例文を確認しましょう。
強調しているところがキーポイントです。コンマの前半の部分が、『~になればなるほど』となりコンマ以下の部分が『ますます~』という意味になり、『~になればなるほど、ますます~』という訳で覚えておきましょう。
注意すべきポイントは大きく2つあります。
まず比較級の後ろが、SVという形で終わっている点です。例えば前半の部分は元来なら、The room is big.というSVCの形になりますよね。
その補語及び目的語の部分が比較級として、先頭に出る倒置が発生しているのです。ここの語順は整序問題や英作文で頻出ですので注意です。
2つ目はコンマ以下の部分の形です。the moreという形でのみ暗記をする方が多いのですが、これだけでは何が『more』なのかわかりません。
『more』が『many』や『much』の変化形であることを考えると後ろに対象が必須になるのです。the moreではなく、the+比較級なのです。
しかしこれも、先ほどの倒置が起こっているという概念を覚えてさえいれば間違えることはないですね。
演習問題
1.括弧内に適切な語句を入れなさい。
(1).I bought of the two.
「私は二つの内、最も高いものを購入した。」
(2)She says she loves Taro all( )( ) for his character.
「彼の性格のせいで、ますます太郎が好きになると彼女は言っている」
for以下の理由を指している「all the more」構文
(3).We were all ( ) delighted because we had not expected it.
「我々は期待していなかったので、ますます嬉しかった。」
以下は理由。それを指して「ますます」
Q2.日本語訳にせよ。
(4).The younger we are, the more likely we are to believe others.
語順にも注意。コンマ以下はlikelyを強調。
(5)The more time you spend,the more your English improves.
訳出の問題は必須なので、正確に出来るように。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
比較の単元はやや難しいことから、択一の文法問題・整除英作文・自由英作文・訳出問題など非常に様々な形で頻出です。
慣用句的に丸暗記をすることも大切なのですが、最初にお示しした「the 」の根幹的な意味を理解しておけば、応用が効いてより望ましいです。
もう二度と間違えないようにしていきましょう。
より詳しい文法の本として「英文法・語法vintage」を参考にされると良いでしょう。英文法の練習としてはこれ一冊で十分と思います。
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