みなさん、こんにちは。数学のコーナーです。今回のテーマは【多項式の除法】です。
これまで除法のやり方について、いろいろ勉強してきた人も多いでしょう。
ただ、多項式の除法にはどんな方法があるのか?と聞かれると、ぱっと出てこないかもしれません。
今回は、そんな人のために、多項式の除法のやり方3つをわかりやすくまとめていきます。自分がやりやすい方法を見つけて、多項式の除法をスムーズにできるようになりましょう。
・多項式の除法のやり方がわかる
・自分で実際に多項式の除法ができる
そもそも多項式とは?
多項式とは、「かけ算とたし算で成立している文字式」のことです。
例えば、$2x+3$、$5x^{2}+3x-6$が多項式にあたります。
また、「多項式の次数」とは、一番次数の高い項の次数を意味します。
すなわち、$5x^{2}+3x-6$であれば$5x^{2}$の次数2であり、この式は2次式といいます。
多項式の除法のやり方
多項式の除法には、3つのやり方があります。
まず、①一般的な除法と同じように筆算する方法、そして、②恒等式を用いて解く方法、最後に、少しむずかしいですが③組立除法の3つです。
①と②のやり方は、どんな問題であっても使うことができるので、しっかりと覚えておきましょう。
多項式の除法のやり方①筆算
まずは、①一般的な除法と同じように筆算する方法です。
例題で解き方を確認しましょう。
$3x^{3}+5x^{2}-6x+7$を$x^{2}-2x+3$で割った商と余りを求めなさい。
筆算は、整数の筆算と同じように行います。
商は$3x+11$、余りは$7x-26$です。
このときに、もっとも次数の高い項だけでなく、割る式(今回は$x^{2}-2x+3$)全体を計算することを忘れないようにしましょう。
多項式の除法のやり方②恒等式
次に、②恒等式を用いて解く方法です。
恒等式については、「恒等式とは?計算の仕方をわかりやすく解説して問題演習をする【数学IA】」の記事が参考になります。
先ほどと同じ例題で、解説していきます。
$3x^{3}+5x^{2}-6x+7$を$x^{2}-2x+3$で割った商と余りを求めなさい。
$3x^{3}+5x^{2}-6x+7$を$x^{2}-2x+3$で割った商は、1次式になるので$Q\left(x\right)=ax+b$と表せます。
また、余りは1次以下の式となるため、$R\left(x\right)=cx+d$とおけます。
※商を$Q\left(x\right)$、余りを$R\left(x\right)$とすることが多いです。
$3x^{3}+5x^{2}-6x+7$を$x^{2}-2x+3$で割った商が$ax+b$、余りが$cx+d$なので、
$3x^{3}+5x^{2}-6x+7=\left(x^{2}-2x+3\right)\left(ax+b\right)+cx+d$となります。
展開すると、
$3x^{3}+5x^{2}-6x+7=ax^{3}+\left(-2a+b\right)x^{2}+\left(3a-2b+c\right)x+3b+d$
です。
これは恒等式であるため、
$a=3$、$-2a+b=5$、$3a-2b+c=-6$、$3b+d=7$となります。
この連立方程式を解くと、
$a=3$、$b=11$、$c=7$、$d=-26$となります。
よって、
$3x^{3}+5x^{2}-6x+7=\left(x^{2}-2x+3\right)\left(3x+11\right)+7x-26$
なので、
商は$3x+11$、余りは$7x-26$です。
多項式の除法のやり方③組立除法
最後に、組立除法で解く方法です。
組立除法は、割る式が一次式のときにしか使えないので注意しましょう。
組立除法のくわしいやり方については、こちらの記事が参考になります。
練習問題
$3x^{3}+5x^{2}-6x+7$を$x+3$で割った商と余りを求めなさい。
【解答解説】
この問題は、割る式が1次式なので、上の3つすべての方法で解くことができます。ここでは、②の恒等式を使った解き方で解説します。
$3x^{3}+5x^{2}-6x+7$を$x+3$で割った商は2次式、余りは定数なので、
$Q\left(x\right)=ax^{2}+bx+c$、$R\left(x\right)=d$とおけます。
よって、
$3x^{3}+5x^{2}-6x+7=\left(x+3\right)\left(ax^{2}+bx+c\right)+d$
展開すると、
$3x^{3}+5x^{2}-6x+7=ax^{3}+\left(3a+b\right)x^{2}+\left(3b+c\right)x+3c+d$
これは恒等式なので、
$a=3$、$3a+b=5$、$3b+c=-6$、$3c+d=7$
これを解いて、
$a=3$、$b=-4$、$c=6$、$d=-11$
よって、
$3x^{3}+5x^{2}-6x+7=\left(x+3\right)\left(3x^{2}-4x+6\right)-11$
したがって、
今回のまとめ
今回は、多項式の除法について解説しました。
自分のやりやすい方法を見つけることができたでしょうか。
多項式の除法に限れば、筆算ができれば十分です。ただ、恒等式を使った解き方は他の問題にも応用がきくので、ぜひ覚えておきたい方法です。
さらに練習問題を解いて、多項式の除法をスムーズに解けるようになりましょう。オススメの多項式の本ですが「多項式のラプソディー (はじめよう数学)」が面白いです。
今回もおつかれさまでした。
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