こんにちは! 今回の課題は、助詞の中でも終助詞です。
終助詞は、現代語でも使いますが、古文の終助詞は一つひとつの語にしっかりとした意味があり、現代語の終助詞よりも表す心情が豊富です。つまり、終助詞を理解できるようになると、古文を読む時に、人物や筆者の気持ちがより強く感じられるようになるのですね。
終助詞は、単語の単位で機械的に覚えようとするのではなく、文の単位で身に付けるのが早道です。頻出の終助詞は、それほどたくさんはありませんから、ここで一気に覚えて、ライバルに差をつけてしまいましょう。また、演習問題も用意してあるのでしっかりと解いていきましょう。
終助詞とは
終助詞は、助詞の種類の1つです。
助詞は、活用のない付属語です。様々な語について、意味を付け加える働きをします。
終助詞は、文の終わりについて、願望や禁止、念押し、詠嘆などの意味を付け加えます。
主な終助詞
ここからは、主な終助詞について、詳しく見ていきます。例文も付けてありますので、その例文を音読しながら、終助詞の意味を掴んでいってくださいね。
願望を表す終助詞
願望を表す終助詞は3種類に分けられます。願望の対象がそれぞれ違いますので、注意しましょう。
(1)自己の願望(~たい、~たいものだなあ)
–ばや 未然形につく
例)あはれ知れらむ人にみせばや(情趣を理解する人に見せたいものだなあ)
–にしがな・てしがな 連用形につく
例)いかでよくて見せてしがな(何とかしてよく見せたいものだなあ)
(2)他への願望(~てほしい)
–なむ 未然形につく
例)いつしか梅咲かなむ(はやく梅の花が咲いてほしい)
*注意!!
「なむ」は、見分けの問題で頻出の語です。以下の、3つについては、正確に見分けられるようにしましょう。
–終助詞「なむ」 未然形につく
例)「惟光とく参らなむ」とおぼす(「惟光が早く参上してほしい」と思いなさる)
–係助詞「なむ」 強意であるため、なくても文意が通る
例)母なむ藤原なりける(母は藤原氏であった)
–強意の助動詞「ぬ」未然形 + 推量の助動詞「む」 強意の助動詞「ぬ」の直前は連用形
例)船に乗りなむとす(船に乗ってしまおうとする)
(3)その他(~あればなあ)
–もがな 体言・形容詞の連用形につく
例)心あらむ友もがな(情趣を理解する心を持つような友があればなあ)
●ポイント●
願望を表す助動詞は、願望の対象がそれぞれ異なる
「なむ」の見分けは頻出なので、しっかり練習しよう!
《練習問題》
次の下線部の「なむ」は、後のア~ウのうちどれに当てはまるかを、それぞれ記号で答えよう。
1、「まかりなむ」とばかりこそ言ふらめ。(枕草子)
2、ただ今も渡りたまはなむ。
3、「かれは何ぞ」となむ、男に問ひける。
ア、終助詞 イ、係助詞 ウ、強意の助動詞「ぬ」+ 推量の助動詞「む」
《解答&解説》
「なむ」の前に、四段活用動詞「たまふ」の未然形がありますから、願望を表す終助詞「なむ」であると判断します。
「なむ」がなくても文意が通るため強意と判断できる。よって係助詞。
禁止を表す終助詞
禁止を表す終助詞では、2つ覚えます。訳は、どちらも「~な」です。
–な 終止形につく
例)あやまちすな(失敗するな)
–そ 「な + 動詞の連用形 + そ」の形をとることが多い
例)な泣き給ひそ(どうかお泣きなさいますな)
*「な~そ」の「な」は副詞です
*基本は連用形接続ですが、カ変・サ変の場合は未然形接続です
*終助詞「な」よりも、やわらかい禁止を表します
●ポイント●
「な + 動詞の連用形 + そ」の形は頻出! しっかり訳せるようにしよう!
念押しを表す終助詞
念押しを表す終助詞は、「~よ、~な」のように訳します。
–かし 文末につく
例)五六の君ならんかし(五の君か六の君なのだろうよ)
詠嘆を表す終助詞
詠嘆を表す終助詞は、「~なあ、~ことよ」のように訳します。
–かな・かも 体言、連体形につく
例)限りなく遠くも来にけるかな(限りなく遠くへ来てしまったなあ)
《練習問題》
下線部の終助詞に気を付けながら、次の各文を現代語訳しよう。
1、いかで鳥の声もせざらむ山にこもりにしがな
2、かくなせそ
3、思ふやうならむ人を据ゑて住まばやと
《解答&解説》
まとめ
終助詞は、見逃しがちですが、登場人物や筆者の気持ちがより濃く表れる部分です。気を付けながら読むと、古文をより楽しく読めますので、しっかり習得していきましょう。より詳しい終助詞についての学習は「岡本梨奈の 1冊読むだけで古典文法の基本&覚え方が面白いほど身につく本」を読んでみましょう。楽しく実力がついていくのがわかります。
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