1990年から始まりました大学入試センター試験(通称:センター試験)ですが、2021年度からはセンター試験に代わって新たに大学入学共通テスト(通称:新共通テスト)となります。
大きな違いとしては、問題作成の方向性が現在の”知識”や”技能”だけでなく、”知識の理解の質”を問うことや、”思考力”、”判断力”及び”表現力”を活用して解く問題というのが重視して作成するとのことです。
そこで、今回は新共通テストにおける世界史についてお話をさせてもらおうと思います。
新共通テストにおける世界史B(予想問題も)
センター試験においても新共通テストような問題はなかったわけでないため、センター試験での過去問題が全て役に立たないというわけではありませんがそのような問題が現在のセンター試験よりも増えると思ってもらえれば問題ないかと思います。
この新共通テストの問題作成に向けた検証として、2018年11月に試行調査(別名:プレテスト、試作問題)を独立行政法人大学入センターが実施しました。
そこで今回注目していただきたいのが世界史Bの第1問Cで、問題は次のようになります。
この問題では、現在の国や地域のデータを提示し、その背景となった歴史事象を問うという内容となっています。
今回プレテストで出題されたこのC問題を元に、どのような時代、国から出題されやすいのか、C問題を対策するにあたって何に着目し、勉強すべきか、そして、どのような勉強法が望ましいかを重点的に解説していこうと思います。
C問題の意義について
試作問題を見る限り、受験生に現在の国の一つの特徴と、その特徴がどのような経緯で形成されていたか。そして、その特徴に関連して、その国がどのような政策を行ったかが問われています。
つまりは、従来のような歴史の知識だけでなく、現在の知識も絡めた歴史の知識が問われる問題となります。
公用語が二つある、という特徴に着目すると、試作問題では比較的有名でもあるカナダが出題されたと推測されます。
カナダでは特に、ケベック州の独立意識が強いなどの政治的課題もあり、こういった、現在に残る社会問題はどのような歴史的背景で生じたのか、を問う問題が出題されるとも推測できます。
共通テストにおける予想問題
そこで、カナダの問題から考えていくと、今後の範囲としてパレスチナ問題も問われるのではないかと予想できます。
引用: パレスチナ子どものキャンペーン
パレスチナ問題といえば、イスラエルとアラブ民族の対立であり、これにより同地では現在でも危険な状況にあります。この歴史的発端はイギリスの第一次大戦時の「三枚舌外交」と呼ばれるものと言われています。
これは、戦争協力を条件に、ユダヤ人にはバルフォア宣言でパレスチナにユダヤ国家建国を約束、アラブ民族にはフセイン・マクマホン協定でアラブ独立指示を約束、さらにはフランスとは、戦争終結後に分割統治するというサイクス・ピコ協定を結びます。
このことがきっかけで、現在でも、ユダヤ人はバルフォア宣言を、アラブ民族はフセイン・マクマホン協定を根拠にパレスチナの領有権を主張している状態なのです。
現在の問題とその問題に関する歴史事象、という点でかなりわかりやすい例ですので、来年の試験でとは言わずとも、いずれパレスチナ問題について問われるのではないかとにらんでいます。
しかも場所はオリエントの地なので、ユダヤ教徒、イスラム教徒、キリスト教徒と話に尽きない歴史的にもホットな場所ですね。新共通テスト以外の一般受験でもひんぱんに出てくる問題ですので、ぜひおさえておきましょう。
C問題は近現代の歴史、そして列強植民地となった国(地域)から出題されやすい?
引用:阪急交通社
現在にまで、続く問題が問われる可能性が高いと仮定すると、近現代の歴史で山を張ることができると思います。
さらには、現在大きな問題を抱えている国は、植民地となった国が多いです。例えば、インドや冷戦の衝突の舞台となった東南アジアや東アジアの国々、あるいは最近話題ともなっている香港などが考えられます。
仮に古代、中世からの出題があるとしたら、民族移動について、あるいは二つの異なる文化を経験したことで多くの美しい建築物を有するトルコのイスタンブールやスペインの歴史などもあり得るかと思います。
例えば、スペインであれば、イスラーム様式の歴史的建造物を紹介して、そこから後ウマイヤ朝やレコンキスタなどの歴史を問う、といった感じです。
また、植民地以外から出題されるとしたら、イギリスのスコットランドや北アイルランドなどもおさえておいてもいいかもしれません。
新共通テストはどのような勉強で対策すれば良いの?
で、結局ですが新共通テストはどのような勉強で対策すればいいのかという話になりますね。
冒頭でも書きましたように、新共通テストでは、従来の知識や技能だけでなく、知識の理解の質を問うことや、思考力、判断力及び表現力を活用して解く問題が出ると言われています。
その対策としてはまずは、教科書や参考書などを読む段階で、現在に多少なりとも影響がある歴史事象と感じた部分はチェックしておきましょう。時事問題などは新聞やニュースなどで要チェックです。
例えば、ローマ帝国によるダキア植民地建設です。この地の民族を支配するため、ローマ人を多く送り込み、結婚させたことで、現在、このダキアに存在する国であるルーマニアではラテン系の言語が使用されています。
ちなみに、このような細かい知識は教科書には書かれていないため、参考書は買っておいたほうが良いと忠告しておきます。
オススメの参考書は
私のオススメの参考書は、こちらになります。
まずは、定番というか教科書「詳説世界史B 改訂版 」です。コレ自体、非常に記述がわかりにくかったりするのですが、出題範囲がきちんとのっているので基本として世界史Bを独学で勉強する人は購入しましょう。
次は「一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書 公立高校教師YouTuberが書いた」です。この本は、年とかが書いてなくストーリー感覚で世界史を把握できるため、世界史初心者にはとても良い参考書だと思います。また、購入者レビューでは、学生だけでなく教員の授業方針の参考書としても活用できると言われているほどです。
しかし、この本はあくまで初心者向きの本となるため、もう少し深く勉強したい方やコツコツ勉強していきたい方には、こちらの本をオススメします。「新世界史 (チャート式・シリーズ)」です。
話が脱線しましたが、次に現代社会の教科書などを利用して、現在、世界に存在する紛争(武力的ではない問題も含む)を把握し、その紛争に関連した歴史も調べチェックしておくといいと思います。
ただ、飽くまで世界史ですので、世界史の全内容を網羅すれば、問題ないとは思います。ただ、この問題の特徴は「現在の内容が含まれる」というところにあり、この制約があるため比較的にどのような問題が来るかの予測がある程度つきます。
あらかじめ現在の世界の紛争とその歴史的経緯を調べてノートにまとめて、ストーリーみたいにしておくことで、インプットだけでなくアウトプット行為もできますのでオススメです。
そのノートを試験前に見返せるようにしておけば、このC問題が解ける確率は格段に上がると思います。
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