こんにちは! 今回の課題は助詞の中でも「接続助詞」です。
接続助詞は現代でもたくさんありますが、古文では現代語にはない接続助詞もいくつか出てきます。また、接続助詞を用いる時の法則をしっかり知ることで、古文の文脈をたどりやすくなります。
普段の学習では、流して読んでしまいがちな接続助詞ですが、今回はその使い方や意味を丁寧に学習します。そうすることで、正確な現代語訳を書けるようになり、より古文を身近に感じることができるようになるのです。
接続助詞とは
接続助詞は助詞の種類の1つです。
助詞とは、活用のない付属語で、上にある語に意味を付け加える役割を果たします。他には格助詞、係助詞、副助詞、終助詞、間投助詞があります。
接続助詞は、主に活用のある語に接続して、文と文のつながりを表すのに用います。
●ポイント●
接続助詞は、主に活用のある語につく。
接続助詞は、文と文とのつながりを示す助詞である。
接続助詞の働き
個々の接続助詞を見る前に、その働きを表す語の意味を確認しましょう。
確定条件
確定条件とは、「既にそうなっていること」です。
確定条件には、順接(予想される展開)と逆接(予想とは反対の展開)があります。
–順接確定条件(~と、~ところ/~ので)
例)この子を見れば、苦しきこともやみぬ(この子を見ると、苦しいことも消えてしまう)
–逆接確定条件(~けれども)
例)呼べども、答へず(呼ぶけれども、答えない)
仮定条件
仮定条件とは、「まだそうなっていないこと」です。
仮定条件にも、確定条件と同じく、順接と逆接があります。
–順接仮定条件(もし~ならば)
例)人を殺さば、悪人なり。(もし人を殺すならば、悪人である)
–逆接仮定条件(たとえ~としても)
例)花散りぬとも良し(たとえ花が散ってしまっても良い)
単純接続
単純接続は、単純に接続したものです。現代語訳では「~て」と、現代語と同じように訳します。例)言葉など教へて、書かせ奉り給ふ(言葉などを教えて、お書かせになる)
打消接続
打消接続は、打消しの意味を添えて接続します。これを見誤ると、文意が逆になってしまいますから、注意しましょう。
現代語訳では「~ないで」と、打消しの意味を添えて訳します。
例)雨降らで、風も吹かず(雨が降らないで、風も吹かない)
●ポイント●
「確定/仮定」「順接/逆接」「単純接続」「打消接続」などの語の意味を説明できるようになろう。
主な接続助詞の用法
それでは、主な接続助詞の用法を見ていきましょう。
それぞれどの活用形に接続するか、どのように訳せばよいのかをしっかり覚えていくことが大切です。
「ば」
接続助詞「ば」には2種類あります。上にある活用形に注目し、用法を見分けます。
–順接仮定条件 未然形 + ば(もし~ならば)
例)雨降らば、我行かじ(もし雨が降るならば、私は行くまい)
–順接確定条件 已然形 + ば(~と、~ところ、~ので)
例)いと幼ければ、籠に入れて養ふ(とても幼いので、籠に入れて育てる)
●ポイント●
接続助詞「ば」の見分けは、上にある活用語の活用形がポイント!
「ど」「ども」
接続助詞「ど・ども」は、「已然形 + ど・ども」の形で、逆接確定条件を表します。「~けれども」と訳します。
例)文を書きてやれども、返りごともせず(手紙を書いて出すけれども、返事もしない)
「と」「とも」
接続助詞「と・とも」は、「終止形 + とも」の形で、逆接仮定条件を表します。「たとえ~としても」と訳します。(形容詞の場合は、「連用形 + と・とも」の形になります。)
例)花散りぬともよし(たとえ花が散ってしまったとしても良い)
「て」
接続助詞「て」は、活用語の連用形に接続して、単純接続の意味を表します。現代語でもおなじみの使い方なので、分かりやすいですね。
例)まづ酒を勧めて、強ひ飲ませたるを(まず酒を勧めて、無理に飲ませようとすることを)
「で」
接続助詞「で」は、活用語の未然形に接続して、打消接続の意味を表します。これは、現代語にはない使い方ですから、しっかり覚えましょう。訳は「~ないで」です。
例)月も出でで闇に暮れたる(月も出ないで、闇に暮れている)
ものの・ものを・ものから・ものゆゑ
接続助詞「ものの・ものを・ものから・ものゆゑ」は、それぞれ一語であり、活用語の連体形に接続して、逆接確定条件を表します。ごくまれに順接で用いられることもありますから、しっかり文脈を読むようにしましょう。
例)さばかり聞こえしものを、さも心にかなはぬ世かな
(あれほど申し上げていたのに、こうも思うようにいかない仲なのか)
《練習問題》
次の下線部の接続助詞に注意しながら、現代語訳しよう。
1、用ありて行きたりとも、そのこと果てなば、とく帰るべし。
2、一日に一度見ではあるまじとて
3、親のあはすれども、聞かでなむありける。
《解答》
まとめ
接続助詞は、古文の文脈をたどる時に、とても大切なガイドをしてくれる単語です。丁寧に意味などを覚え、しっかり使えるようにしましょう。終助詞を含め古典文法をきちんと勉強したい人は「岡本梨奈の 1冊読むだけで古典文法の基本&覚え方が面白いほど身につく本」がおすすめです。この1冊だけでかなり力がつきますよ。
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