「ラテン比較級」という言葉を聞いたことはありますか?
英語の中には、もともとの由来がラテン語というものが少なくありません。現在もそれらのラテン語は英語の中に生き続けていて、おもに学問用語などのすこし格調高い表現があります。
「~より○○だ」「…の中でもっとも○○だ」を表現する比較級にも、ラテン語由来のものがあります。
今回はこのすこし特殊な比較級、ラテン比較級についてご説明します。
ラテン比較級はsenior, juniorなどが来る場合はtoを使いthan を使わない比較級として、受験ではひっかけ問題として登場しやすいです。ラテン比較級だと見抜くためのコツを覚えて、確実に得点をとりましょう!
また、最後に実践の問題演習もつけています。読んで理解したら必ず、問題をといて力をつけていってください。
今回の記事を読んだらわかること
・ラテン比較級とは何か?
・受験英語で頻出のラテン比較級
ラテン比較級とは
senior, junior など、”-or” が末尾につく(接尾語)比較級です。
普通、比較級は接尾語 ”-er” がつく形容詞・副詞で、接続詞thanを伴うことで「~より○○だ」と表現できます。
しかし、中には比較級だけしかない形容詞というものがあります。それがラテン比較級。使い方は、普通の形容詞の比較級とだいたい同じです。ただし、接続詞thanの代わりに前置詞toを使います。
それでは、絶対に覚えておきたいラテン比較級を次の章でご紹介します。
語尾が”-or”の形容詞【ラテン比較級】
senior(年上の)
junior(年下の)
superior(すぐれている)
inferior(劣っている)
major(多いほう)
minor(少ないほう)
prefer(より好き)
prior(より前の、先行する)
これらは比較級として使われ、前置詞to を伴います。
例文と一緒に覚えていきましょう!
be senior to~(年上の)/be junior to~(年下の)
それでは、senior toの例文を見てみましょう。
I am junior to John.(私はジョンより年下だ)=I am younger than John.
このように、それぞれolder than~(~より年上), younger than~(~より年下)と言い換えることができます。
年齢の比較に使われていた表現ですが、ちょっと昔の言い方なので、現代の話し言葉ではあまり使われません。今では、地位やポジションについて言う場合に使うことが一般的です。
She is three years senior to me.(彼女は私の3年先輩だ)
このように使うケースのほうがよくありますよ。
be superior to~(すぐれている)/be inferior to~(劣っている)
- This device is superior to another.(この装置は別のものよりもすぐれている)
- Jane is superior to anybody else in our class in regard to swim.(ジェーンはクラスの誰よりも泳ぎが上手です)
- This cell phone is inferior to that one in quality.(この携帯電話はそちらに比べて品質が劣ります)
be major to~(より多いほうの)/be minor to~(より少ないほうの)
メジャー、マイナー、という言葉は日本でもよく聞きますよね。英語と意味はほぼ同じです。
- That group is major to any other in Taiwan.(そのグループは台湾のどのグループよりもメジャーです。)
- This system is minor to any other in that industry and not very well known.(このシステムは、その業界ではマイナーで、あまり知られていません。)
prefer A to B(BよりAを好む)
preferは「好む、好きである」という意味の動詞です。これもthanではなくtoを使います。
I prefer tea to coffee.(私はコーヒーより紅茶が好きです。)
さらに、preferという言葉を使うだけで「ほかの何かより、もっと好き」という比較のニュアンスをもともと含んでいることに気を付けましょう。
I prefer basketball to soccer.(私はサッカーよりもバスケットボールを好む。)
また、preferを使った表現もいくつか覚えておきましょう。
・prefer 動名詞~ing(~することをより好む)
・prefer [人] to do([人]に○○してもらいたいと思っている)
・prefer to A rather than to B(BをすることよりもAすることのほうが好きだ)
prior to (~より前の、先行する)
最後にprior to の解説をします。priorは「前の」を表しますが、ここで気を付けなくてはいけないことは、「時間軸における【前】である」ことです。
位置や場所における「前にある」には使えませんので、間違いのないように。
He donated all of his papers to the school prior to leaving the university.(彼は大学を出る前に書類を全て学校に寄付した。)
prior toの後には名詞または動名詞が入ります。
ラテン比較級の練習問題
それでは、ラテン比較級の練習問題です!しっかりとアウトプットをして完璧に答えられるよう復習をしてください。
問題1
まずは、かっこに入る単語を答えてみましょう。
(1)She is ( )( )( )( )me. 彼女は私よりも2年(会社の)後輩です。
be junior to(年下だ)が使えましたか?「2年」がどこに入るのかが肝心です。
(2)You can board the plane 10 ( ) ( ) to departure. 飛行機の離陸の10分前に乗り込めますよ。
10 minutes prior to departure で、「離陸の10分前」という意味になります。
(3)I think his second album ( )( )( ) his first one. 私は彼の2枚目のアルバムは最初のものよりも優れていると思います。
be superior to で「~よりも優れている」。
問2
続いて、和訳問題です。つぎの文章を和訳してみましょう。
(4)I prefer eating to sleeping.
prefer Aing to Bing で「BすることよりAすることのほうが好き」ですね。~ing はどちらも動名詞です。
(5)The Democrat party are major to the Republican party.(※The Democrat party=民主党、the Republican party=共和党)
be major toで「メジャーである、より多い」という意味でしたね。
(6)She may prefer you to come with her.
prefer [人] to do で「人に~してほしい」という意味になります。preferなので、来てもらわないよりは来てほしい、というニュアンスが隠されています。
今回の記事のまとめ
いかがでしたでしょうか?
今回はラテン比較級について学んできました。
「ラテン語わからないし……」とちょっと不安になっていたかもしれませんが、基本のルール、前置詞toを使った比較級になることがわかれば怖くないですね。
prefer は特に受験によく出るので、しっかり理解を深めましょう!
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