基本的人権と公共の福祉の関係についてわかりやすく解説(入試問題も用意)【政治第8回】

今回のテーマは、基本的人権と公共の福祉の関係です。

基本的人権の性質・公共の福祉とは何か・日本国憲法における人権の享有者は誰なのかを詳しく解説しました。

最後には入試問題も用意しているので、ぜひ最後までお読みください。

この記事からわかること

・基本的人権の性質

・公共の福祉とは何か

・日本国憲法における人権の享有者(外国人・法人は含まれるのか)

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基本的人権とは

(日本国憲法:wikiより)

基本的人権とは、人間が生まれながらにして持っている権利です。自由権平等権社会権参政権請求権の大きく5つに分類されます。どれも重要なのでしっかり覚えておきましょう。

 

日本国憲法の第11条・第97条で、基本的人権は「侵すことのできない永久の権利」と定められています。つまり憲法で保障されている人権は、立法・行政・司法など、あらゆる国家権力から侵害されないというわけです。

 

また第13条では、「すべて国民は、個人として尊重される」として個人の尊重を宣言すると同時に、幸福追求権について「公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と規定しています。

 

第13条:すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

公共の福祉による人権の制限

(公共の福祉:オリジナル)

公共の福祉って何?
たなかくん
たなかくん

 

公共の福祉とは、すべての人々に対して平等に人権を保障するための原理です。

 

人権は永久不可侵の権利であり、大日本帝国憲法のような法律による制約は認められていません。

 

しかし、いくら人権が尊重されるべきだとしても、他人に対して迷惑がかかってしまう場合、権利が制限されます。

 

ここで登場するのが公共の福祉という概念です。

 

憲法第12条では国民が人権を濫用せず、常に公共の福祉のために利用する責任を負うと定め、第13条では「公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」としています。

 

第12条:この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

 

例えば、表現の自由が憲法で保障されている権利であっても、他人を中傷したりプライバシーを侵害したりする表現活動までは認められないのです。

 

つまり人権は他人の権利を侵害しない限りにおいて保障されます。

人権の享有者

(在日外国人の権利・義務:オリジナル)

人権が保障されるのは、日本国籍を保有している日本国民だけではありません。外国人や法人についても性質上可能な限り、人権が保障されています。

 

「性質上可能な限り」との制約があるのは、日本国籍のない外国人に憲法第22条2項の国籍離脱の自由を認めたり、個人ではない企業や団体に普通選挙権や生存権を保障したりしても意味がないからです。

 

ちなみに在日外国人の権利・義務については、入試でも頻出の項目なので、上記のように表にまとめています。日々の学習にお役立てください。

 

今回の範囲はここまでです。続いて入試問題を用意しているので、ぜひチェックしてみてください。

入試問題にチャレンジ

問1 下線部ⓓ(外国人)に関連する日本の現在の状況についての次の記述A~Cのうち、正しいものはどれか。当てはまる記述をすべて選び、その組合せとして最も適当なものを、下の①~⑦のうちから一つ選べ。

A 外国人も、中央省庁の行政文書に関して、情報公開法に基づいて開示を請求することができる。

B 最高裁判所は、永住資格を有する在日外国人には、地方参政権が憲法上保障されていると判断した。

C 地方公務員採用試験に関して、日本国籍を受験条件としない地方公共団体もある。

① A ② B ③ C ④ AとB ⑤ AとC ⑥ BとC ⑦ AとBとC

2020年 センター試験 本試験 政治・経済 第2問 問4より)

問2 下線部ⓓ(人権)に関して、日本の状況の説明として最も適当なものを、次の①~④ のうちから一つ選べ。

① 憲法には生存権が明記されており、最高裁判所は、これを直接の根拠として、国民は国に社会保障給付を請求することができるとした。

② 名誉を毀損する行為の禁止が、表現の自由に対する制約として認められるように、人権であっても、他者を害する場合等には制約されることがある。

③ 最高裁判所は、裁判所による雑誌の発売前の差止めが、憲法で明示的に禁止されている検閲に該当すると判断した。

④ 在外投票は外国に居住している国民の選挙権を保障するための手段であるが、日本の国政選挙で実施されたことはなく、制度導入が求められている。

2009年 センター試験 本試験 現代社会 第1問 問4より)

問3 下線部ⓖ(多様な人々の共存する現代国家)に関連して、日本に居住している外国人の権利保障についての説明として適当でないものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

① 外国人も、プライバシーの権利が保障される。

② 外国人も、選挙権が保障される。

③ 外国人にも、国民年金への加入が認められる。

④ 外国人にも、会社の設立が認められる。

2007年 センター試験 本試験 政治・経済 第2問 問7より)

問1:⑥ A:国民が選挙で代表者である議員を選ぶのは間接民主制の典型例です。B:日本は間接民主制を採用していますが、憲法改正の国民投票・最高裁判所裁判官の国民審査・地方特別法の住民投票の3つについては、直接民主制の理念に基づく制度を取り入れています。C:地方自治では直接民主制の理念に基づく地方参政権が認められていることにともない、直接請求権が導入されています。例としては、条例の制定・改廃請求や議会の解散請求などです。よって直接民主制の理念に基づくものはBとCです。
正解⑤ A:外国人にも情報公開制度は認められています。B:国政・地方問わず、外国人には参政権が保障されていません。ただし最高裁判決では、定住外国人に地方参政権を付与することは憲法上禁止されていないとしています。実際地方レベルでは、条例により定住外国人に住民投票を認めたケースもあります。(神奈川県逗子市・大阪府豊中市)C:地方自治体によっては国籍条項を撤廃している場合もあるので正文です。なお、外国人は原則として国家公務員にはなれません。おさえておきましょう。
正解② 今回学んだ公共の福祉に関する説明そのものです。①:「これ(憲法に明記されている生存権の規定)を直接の根拠として、国民は国に社会保障給付を請求することができる」が誤りです。朝日訴訟の最高裁判決で、憲法第25条の生存権規定は、国の責務を宣言したものにすぎず、具体的な権利を保障したものではないと判断されています。③:北方ジャーナル事件の最高裁判決で、裁判所の仮処分による事前差し止めは検閲には当たらないとされています。また個人の名誉毀損につながることが明確なケースについては、例外的に事前差し止めが認められているのであわせて覚えておきましょう。④:在外投票制度は2000年から導入されています。
正解② 国政・地方問わず、外国人に選挙権は認められていません。
問2:② 天皇機関説の提唱者である美濃部達吉の著書などが発売禁止になりました。天皇機関説とは、主権は国家にあり、天皇は国家の最高機関であるとする考え方です。①:統帥権は議会から独立しています。③:男系男子に継承されるという規定は憲法ではなく皇室典範にあるので、誤りです。④:天皇は内閣の助言と承認のもとで国事行為のみを行い、国政に関する権限は持ちません。

まとめ

今回は、基本的人権と公共の福祉について解説しました。

 

基本的人権・公共の福祉それぞれの定義はもちろん、在日外国人の権利・義務もしっかりマスターしておきましょう。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

前回の記事「国民主権とは?天皇主権との違いについてわかりやすく解説(入試問題演習つき)【政治第7回】」をご覧ください。

国民主権とは?天皇主権との違いについてわかりやすく解説(入試問題演習つき)【政治第7回】
こんにちは。今回のテーマは、国民主権と天皇主権の違いです。 日本が天皇主権から国民主権へと変わったタイミングで、天皇の地位・役割がどのように変化したかを中心に解説しています。 また記事の後半には入試問題も用意しているので、ぜひ最...

 

次回の記事「法の下の平等とは?判例とセットでわかりやすく解説(関連入試問題も)【政治第9回】」をご覧ください。

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