みなさんこんにちは。今回は、ニュートンの運動法則について簡単に解説していきます。
物体の運動の様子を決める基本法則がニュートンの運動法則です。簡単に言うとこの世界の物の動きは全てこの法則に従って動きますというルールです。
ニュートンの運動の法則は次の3法則にまとめられています。
- 第一法則 (慣性の法則): 力を受けない物体は静止または等速度運動をする法則。
- 第二法則 (ニュートンの運動方程式 ): 物体に力が働くと,力の向きに,力の大きさに比例した速度の変化 (加速度) を生じる法則。質量 m [kg] の物体に、力F [N] が加わると、力の向きに加速度a [m/$s^2$] が生じる。式で表すと、F = ma となります。
- 第三法則 (作用反作用の法則 ):2つの物体が互いに及ぼし合う作用と反作用は,大きさが等しく逆向きで2物体を結ぶ方向に働く法則
力の単位
運動法則について解説する前に、そもそも力の単位など単位について解説します。超基本なので再度理解しましょう。
MKSA単位系とは
MKSA単位系は、メートル (metre = M)・キログラム (kilogram = K)・秒 (second = S)・アンペア (ampere = A) の4つの単位を基本単位とする、一貫性のある単位系です。
つまりは「今からする物理の議論において単位は全てこの単位を使い、新しい単位も全てこれらの単位の乗除で表せるものに限ります。」という約束です。
言い換えれば、MKS単位系に4つめの基本単位としてアンペアを追加した単位系で、MKSは力学のみを扱うには十分ですが電流の単位アンペアを追加することで、電磁気学を扱うことができます。
N(ニュートン)とは?
ニュートン(記号: N)は力の単位です。
1ニュートンは、1kgの質量を持つ物体に1m/$s^2$の加速度を生じさせる力です。名称は古典力学で有名なイギリスの物理学者アイザック・ニュートンによるものです。
重力による加速度gとは
重力加速度とは簡単にいえば、物体を落としたとき、その物体の速度が単位時間当たりにどれだけ速くなるかを示した量です。
天体の質量を M、半径を R とすると、地表付近での重力加速度の大きさは、万有引力の法則から万有引力定数を G として
g=$\frac{GM}{R^2}$
と表すことができます。
地球上においてはg= 9.80619920 m/$s^2$ と定められており、試験などでは基本的にg=9.8 m/$s^2$ として与えられることが多いです。詳しくは「【物理基礎】重力加速度とは何か?」で解説しています。
万有引力の法則とは
『2つの物体の間には、物体の質量に比例し、2物体間の距離の2乗に反比例する引力が作用する』とみなす法則です。
この法則を用いることで重力加速度を求めることができます。
運動方程式を実際にたててみよう
では、実際に、問題を解いてみましょう。
例題
質量 2.5 kg の物体に軽い糸の一端をつけて,他端を手でもち,糸の張力の大きさが 29.5 N で一定となるように 鉛直方向に物体を運動させた。
このとき,物体の加速度はどちら向きに何 m/s^2か。ただし、重力加速度の大きさを9.8m/$s^2$とする。
- 手順1 物体に着目する。
- 手順2 物体が受ける力は,重力 mg〔N〕接触している糸からの張力 T〔N〕の 2 つである。
- 手順3 運動の向きが未知であるが,鉛直上向きを正とし,物体の加速度を a〔m/$s^2$〕とする。
- 手順4 運動方向の力の成分の和は, T−mg=29.5−2.5×9.8N
これを運動方程式 ma=F に代入すると, 2.5×a=29.5−2.5×9.8 a=2.0 m/$s^2$鉛直上向きに 2.0 m/$s^2$となる。
運動方程式を利用した入試問題について
問題
図のように自然の長さが同じでばね定数がkの3本の軽いばねを水平な天井に等間隔に固定し、ばねの下端に軽い棒を水平に取り付けた。
この棒の中央から質量mの物体を軽い糸でつるすと、3本のばねはそれぞれ自然の長さからlだけ伸びて静止した。この時lをm,g,kを用いて表せ。ただし、3本のばねは同一鉛直面内にあり、棒は変形しないものとし,重力加速度の大きさをgとする。(2020年センター試験物理基礎第一問問1より)
解答及び解説
3 つのばねに吊り下がった部分を1つとみなせば、これに はたらく力は図のようになる。次のように力のつり合いを記述すれば、求めるばねの伸び l を得ることができる。
3kl=mg
∴ l= $\frac{mg}{3k}$
運動法則を理解しよう
運動法則は私達が普段の生活の中でも体験している現象であるため、直感的に理解しやすい法則です。
身近な運動と三法則を照らし合わせてイメージを持ちつつ覚えていくようにしましょう。
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