【生物基礎】抗原抗体反応について入試問題つきで解説【免疫】

今回は抗原抗体反応についてのお話をします。体の中に入ってきた異物に対して、飛び道具のように攻撃するのが抗体です。

 

抗体は、体に入っていきた異物とくっついて、異物を無効化します。

 

抗原抗体反応は、試験にとても出題されやすいです。

 

生物基礎だけでなく生物を学ぶ人にもとても重要な範囲となります。しっかり基礎を押さえておきましょう。

この記事の最後には、演習問題があります。是非、最後まで読んで、演習問題にチャレンジして見てください。

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体液性免疫

獲得免疫では、体液性免疫と細胞性免疫という二つの仕組みが働きます。

 

抗体が作られるのは体液性免疫です。

 

体内に入り込んだ異物で、免疫反応を引き起こさせるものを抗原と言います。

 

 

体内に侵入した抗原は、マクロファージや樹状細胞などの細胞に取り込まれて分解されます。(食作用)

 

分解された抗原の一部は、細胞の表面に移動されて、細胞の外に提示されます。

 

ヘルパーT細胞は、抗原の提示を受けると、抗原に対応するB細胞の増殖を促進します。

 

分裂したB細胞は、抗体生産細胞に分化します。

抗体

 

B細胞は、抗体というものを作ります。

 

この抗体は、オーダーメイドで作った飛び道具のようなものです。

 

抗体は抗原と結びついて、抗原を無毒化します。

抗体は免疫グロブリンというY字型のタンパク質からなります。

 

 

可変部と呼ばれる抗体ごとに形が違う部分があり、この部分で抗原とくっつきます。

抗原抗体反応

 

敵に合わせた方法で遠くから攻撃するような方法で抗原を無毒化します。

 

抗体は、特定の抗原と結びついて無毒化するのです。

 

抗体と抗原が結びつく反応を抗原抗体反応と言います。

 

また、抗体が結合した抗原は、マクロファージなどの食細胞によって見つかりやすくなります。

 

そして食作用により、体内から排除されます。

 

免疫記憶

獲得免疫では、一度戦った抗原を記憶しておく免疫記憶という働きがあります。

 

抗原を識別するT細胞やB細胞の一部は「記憶細胞」となって残されます。

 

増殖したT細胞やB細胞の一部は、攻撃に参加せずに保存されるのです。

 

同じ抗原が再び体内に入ってきた場合、一度目よりも速やかにT細胞やB細胞が増殖し、反応します。

 

一度目よりも速やかに強く免疫反応が起こることを二次応答と言います。

 

一度かかった病気にかかりにくいのは、この二次応答があるおかげです。

 

予防接種と血清

免疫の応用として、予防接種と血清があります。

 

予防接種

予防接種では、獲得免疫を利用して病気にかかりにくいようにしています。弱毒化した病原体やその産物(ワクチン)を注射して、抗体を体に作らせます

 

そうすることで、同じ病原体が入ってきたときに、二次応答によって速やかに免疫反応が起こようにします。

血清

蛇などに噛まれた場合は血清を使います。動物にあらかじめ抗体を作らせておき、その抗体を含む血清を直接注射します。

 

これを血清療法と言います。

入試問題にチャレンジ

問題

免疫に関する文章を読んで,次の問いに答えよ。

あるニワトリに,これまで体内に侵入したことのない抗原Aを注射した。その6週間後に,同じニワトリに抗原Bおよび抗原Cを同時に注射した(抗原Aは注射していない)。図は,それぞれの抗原に対するニワトリ血清中の抗体量の推移を示したものである。抗原Bおよび抗原Cに対する抗体量は2回目の注射以降から測定している。〔リードライトノートα 10 京都府大〕

 

(1) 抗体産生に関係するT細胞を何というか。

ヘルパーT細胞
体液性免疫に関与する T 細胞は ヘルパー T 細胞です。ペルパーT細胞はB細胞の増殖を促進させます。

 

(2) 2回目の注射後,ニワトリの血清の中に抗原Aに対する抗体が急激に増加している理由を次の語をすべて用いて60字以内で説明せよ。

〔語〕 抗原,抗体,共通性,二次応答

(解答)抗原 A と抗原 B が抗原として共通性をもっていたため、抗原 B によ って二次応答が起こり、抗原 A に対する抗体が多量に産生された。
(解説)2回目に抗原Aと抗原Bを注射した際、抗原Aと抗原Bに対する抗体は、短時間にたくさん作られています。それに対して抗原Cを注射した時は、抗体の量は1回目に抗原Aを注射した時と変わりません。このことから、2回目に抗原Aと抗原Bを注射した時の反応は二次応答だということがわかります。また、抗原Cへの反応は一次応答です。
つまり、抗原Aと抗原Bは立体構造に共通するところがあり、1回目の侵入のときに作られた記憶細胞が反応して抗原Aと抗原Bに対する抗体を作ったと言えます。

 

まとめ

  •  体内に入り込んだ異物で、免疫反応を引き起こさせるものを抗原という。
  •  抗原と結びついて、抗原を無毒化するのは抗体という。
  •  抗体と抗原が結びつく反応のことを抗原抗体反応という。
  •  獲得免疫では、一度戦った抗原を記憶しておく免疫記憶という働きがある。
  •  一度目よりも速やかに強く免疫反応が起こることを二次応答という。

 

なお、おすすめの参考書として「田部の生物基礎をはじめからていねいに (東進ブックス 名人の授業)」がわかりやすくておすすめです

 

免疫についての記事は「【生物基礎】免疫に関わる細胞の働きを入試問題つきで解説」がありますのでこちらも読んでください。

【生物基礎】免疫に関わる細胞の働きを入試問題つきで解説
私たちの体を一つの国に例えるとします。体は国と同じように、絶えず人や物資が入り込んでくる開かれた国と言えます。 国に危害を及ぼす恐れのある人は、入国できないようになってます。そして、国に悪者が入ってきたときには、体はそれを見つけて捕まえたり...

 

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