腎臓の計算問題を入試問題つきで解説します!

生物基礎には、計算問題も出題されます。計算問題の中で特に躓きやすいのが腎臓の計算です。

 

腎臓の計算は、入試に頻出です。特に看護系学科では出題されやすい傾向にあります。

 

この記事では、腎臓の計算問題についてわかりやすく解説します。

 

最後に腎臓の計算の入試問題があります。是非最後まで記事を読んで、理解したかどうかを入試問題で確認してみてください。

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腎臓の仕組み

 

腎臓の仕組みのおさらいをしておきましょう。

 

腎臓の働きは、尿を作ることです。

 

 

 〔数研出版 生物図録 より〕

①ろ過

糸球体では、大きな圧力がかかります。

 

血しょうや、血しょう中の低分子成分は、ほとんどボーマンのうにこし出されます。

 

この過程のことをろ過こし出された液体ことを原尿といいます。

②再吸収

原尿が細尿管を通る間に、グルコース・水・無機塩類は細尿管を取り巻く毛細血管中に吸収されます。

 

これを再吸収といいます。

 

再吸収を受けた後の原尿は、集合管へ送られます。

 

そして、さらに水分が再吸収されます。

 

残った液体は尿とないり、膀胱から体外に捨てられます。

 

濃縮率

ある物質の尿中の濃度を、血しょう中の濃度で割ったものを濃縮率と言います。

 

濃縮率0は尿として排出されないことを示します。

 

濃縮率が高いほうど効率よく排出されることを示しています。

 

〔数研出版 生物図録 より〕

 

原尿の成分と血しょうの成分はほとんど変わりがありません。

 

 濃縮率=尿中の物質の濃度÷血しょう中の物質の濃度

 

 

練習問題

腎臓でこし出される液量や再吸収される液量を知るために、こし出されるが再吸収や追加排出されない物質、例えばイヌリンを静脈中に注射し、数分たって血液中のイヌリンの濃度が一定になってから、細いガラス管を用いて、一定時間,左右の腎うに集まる尿を全部採取した。

 

 

表は、あるヒトの血しょうおよび尿での測定値である。

 

(1)  イヌリンの濃縮率はいくらか。

 

濃縮率は、尿中のイヌリンの濃度を血しょうの濃度で割ると求められます。

 

12.0÷0.1=120

 

答えは、120倍です。

 

 

(2)  5分間にこし出された血しょうの量は何mLになるか。

 

イヌリンは、腎細管・集合管で再吸収されない成分です。

 

イヌリンの濃縮率は、水の再吸収率を反映しているのです。

 

 

血しょうの量は、尿量にイヌリンの濃縮率をかけて求められます。

 5.0mL×120600mL
 となります。

 

(3)  5分間に再吸収された尿素の量は,こし出された量の何%か。整数値で答えよ。

 

 ① こし出された尿素の量を求める。

 

表より、血しょう中の尿素濃度は0.3mg/mLです。

 

ここから尿素は、血しょう1m L中に0.3mgあることがわかります。

 

(2)より血しょうは、600mLあることがわかっています。

 

         600m L × 0.3mg/mL  =   180mg

 

こし出された尿素の量は、180mgです。

 

 

 ②  排出された尿素量を求める。

表より、尿中の尿素濃度は20.0mg/mLです。

 

ここから尿素は、尿1m L中に20.0mgあることがわかります。

 

表より尿量は5.0mlであることがわかります。

 

    5.0m L × 20.0mg/mL  =   100mg

 

排出された尿素量は、100mgです。

 

 ③  再吸収された尿素の量を求める。

こし出された尿素の量から、排出された尿素の量を引きます。

 

  180mg −  100mg   = 80mg

 

再吸収された尿素の量は80mgです。

 

 

再吸収された尿素の量を、こし出された尿素の量で割り、100をかけます。

 

80÷180×100≒44.4

 

答えは、44%となります。

 

[ 改訂版 リードα   生物基礎 より]

 

入試問題にチャレンジ

 

多糖類の一種であるイヌリンは哺乳類の体内では利用されないため、静脈に注射すると、腎臓でろ過されたのち再吸収されることなく尿中に排出される。

 

そこで、ある動物にイヌリンを注射して5分後、左右の腎うに集まってくる尿を採取した結果、5mLの尿が採取できた。

 

 

表はこの実験で得た血しょう,原尿および尿中における各成分の濃度(mg/mL)である。

 

 

表を参考に次の(a)~(e)に答えよ。

 

  • (a) イヌリンの濃縮率を求めよ。
  • (b) 5分間に何mLの原尿が生成されたか。
  • (c) ナトリウムイオンは5分間に何mg再吸収されたか。

 

 

【解答】

 

(a)  濃縮率=尿中の物質の濃度÷血しょう中の物質の濃度なので、

 

  120mg/mL ÷1mg/mL=120

 

答えは、120倍

 

 

(b) 原尿中のイヌリンはすべて尿として排出されます。

 

原尿中のイヌリンの量と尿中のイヌリンの量は等しくなるのです。

 

尿中のイヌリンの量は、

 12mg/mL×5mL=60mg

 

 

原尿中に含まれるイヌリンの量は

 

 0.1mg/mL ×  原尿の量

 

   です。

 

この二つが等しいので、

 

 60mg = 0.1mg/mL ×  原尿の量

 

原尿の量   =   60mg  ÷  0.1mg/mL

 

よって原尿の量は、600mLとなる。

 

 

(c)

 

①  原尿中のナトリウムの量を求める。

 

表より、原尿中のナトリウム濃度は3mg/mLです。

 

(b)より、原尿の量は600mLです。

 

  600m L  × 3mg /mL=1800mg

 

 

②  尿中のナトリウムの量を求める。

 

 3.1mg/mL×5mL=15.5mg

 

③  再吸収されたナトリウムの量を求める。

 

再吸収されたナトリウムイオン = 原尿中のナトリウムイオン ー 尿中のナトリウ ムイオン

 

なので

 

1800mgー15.5mg=1784.5mg

 

答え1784.5mgとなります。

 

 

[ 改訂版 リードα   生物基礎 より]

まとめ

・ 濃縮率=尿中の物質の濃度÷血しょう中の物質の濃度

・ イヌリンなどの再吸収されない物質から、血しょうや原尿の量を調べる。

・ 再吸収された物質の量は

①  原尿中か血しょう中の物質の量

②  尿中の物質の量

③  再吸収された物質の量

の順に求める。

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