今回は、基本の英文法である助動詞「can」と「may」についてお話していきたいと思います。「can」と「may」は中学校で学習する、極めて基礎的な英文法です。
しかし、基本的な英文法だからと言って侮ってはいけません。基礎事項ということは、それだけよく使うということです。
「can」と「may」の細かいニュアンスや、意味を文法の択一問題で問われたり、長文を少し読めば、これらの助動詞は頻繁に出現します。
正しい理解をして、この2つをしっかりと見分けることを出来るようになり、足元をすくわれないようにしていきましょう。
今回の記事を読んだらわかること
・助動詞そもそもの概念
・「can」と「may」の意味・使い分け
・「can」と「may」の派生形
そもそも助動詞ってどんな概念?
英文法における助動詞は、そこまで理解が難しい概念ではありません。
英語における普通の言い切りの文章(平叙文)に助動詞をくっつけることで、筆者の細かい気持ちの機微を表現することが出来るのです。
例えば「私は野球をする。」という意味の【I play baseball.】という平叙文を具体例として考えていきましょう。
「~するつもり」という意味の助動詞である「will」を入れると【I will play baseball.】となり、「私は野球をするつもりだ」となりますし
「~すべき」という意味の助動詞である「should」を入れると【I should play baseball.】となり、「私は野球をするべきである」となります。
「動詞を助ける」と書く助動詞らしく、動詞にくっついて意味を添加してくれるのです。
詳しくは「英語の助動詞とは?助動詞の例文や表を用いて簡単に解説【大学受験の英文法】」を参考にしてみてください。
「can」について
まずは助動詞「can」についてお話をしていきます。
「can」の根幹のニュアンスは【可能性】です。「~出来る」という意味で考える「can」はあまりにも有名ですよね。
しかし、これだけで終わっては知識として不十分です。今回の記事のテーマである、「may」との見分けからアプローチして、もう1つの使い方を覚えていきましょう。
以下の文章を例として考えます。
この文章はどのように訳すでしょうか。
「can」を【出来る】と訳すと、
「そのテストは、私にとって高得点を取ることが簡単出来る」
・・・少し不自然な感じになってしまいますね。このように「can」を【出来る】の一点張りで訳そうとすると、しばしば不自然な場面が出てきます。
しかし、先ほども述べたように、「can」の根幹の意味は「可能性」です。その「可能性」のニュアンスから発展させると、「可能性がある≒~かもしれない」と「can」を取ることが出来ますね。
これが「can」の2つ目の意味です。知識として暗記しておく必要があるのですが、ルーツはしっかりとロジックで理解しておきましょう。
この意味でもって、先ほどの文章を訳すと
「そのテストは私にとって高得点を取ることが簡単かもしれない。」
となりますね。これなら自然です。「can」の根幹の意味は【可能性】で、①~出来る ②~かもしれない
と派生させるように覚えておきましょう。
「may」と「might」について
続いて「may」と「might」についてです。先ほど、「can」の「~かもしれない」というもう1つの意味についてお話ししました。
ここで問題となってくるのが、「may/might」との棲み分けです。「may/might」は「~かもしれない」という意味でお馴染みです。これは中学英語の一番基礎のところですが、意味が一見重複してしまっていますね。
しかし「can」で表現する【~かもしれない】と、「may/might」で表現するそれは微妙なニュアンスの差があるのです。
額面上の意味で取ると、以上のようになりますね。「can」での例文と全く違いがなくて困る方も多いでしょう。
しかし、何より大事なことは、「may」を使った場合、【丁寧/慎重】というニュアンスが含まれてくるのです。
この文章で言うと、「彼の話は(もしかしたら)嘘かもしれないです。」のように、慎重かつ丁寧な雰囲気があるのです。
これが「can」を用いた「~かもしれない」との最大の違いです。字面で見たら同じでも、深層的なニュアンスが異なってくるのですね。
敢えて砕けた言い方をすれば、「can」の方は
のような感じで、「may」の方は
という感じですね。
また、補足的に「might」の説明もしておきます。
これは、「may」と基本的には同じなのですが、より丁寧な表現になります。
ビジネスの現場や目上の人との会話を想起して頂ければわかりやすいですね。
そういった最大に堅い表現が「might」なのです。
「can」の派生形~cannot~
ここまで、「~かもしれない」という表現の「can」と「may」の基本についてお話をしてきました。
実は、「can」には派生形があります。まあ、派生形と仰々しい言い方をしていますが、端的に言うと否定形です。
「can」に否定の「not」をつけた、「cannot/can’t」という形に触れておきます。
ちなみに、「can」に「not」をつける場合に限り、間にスペースを空けず、「cannot」で1語とみなす点には注意が必要です。
少し話が逸れました。
「can’t」は実は、「~のはずがない」という意味の最大級の否定なのです。
【可能性】という最初に触れた「can」の根幹の意味から考えると、「可能性がない」ということになり、この訳になるのです。
いわば、「~であるはずだ/間違いない」という意味の「must」の対義語になるのです。
先ほどの文章の訳で言うと、「その物語が本当であるはずがない」という、決めつけの最大限の否定になる訳ですね。
強調構文の練習問題
彼は、大きいケーキを食べていたので、お腹が空いているはずがない。という強い否定になりますね。当然の事象を決めつけて断定的に否定している感覚。
「~かもしれない」ですが、丁寧なニュアンスがあることに注目。
丁寧なニュアンスがないことに注目。またcan内での「~出来る」「~かもしれない」の見分けが必要になってくるケースがあります。形上はどちらも問題がないのが、今回の例題ですね。
まとめ
お疲れさまでした。ここまでしっかりと勉強をしてきたあなたは、「can」と「may」の明確な違いを理解できたはず。
両方とも「~かもしれない」ですが、「can」「may」「might」の順に、【丁寧/慎重】の意味合いが強まるのでしたね。
また、「can’t」の可能性がないという観点からの「~のはずがない」についてもしっかりと訳せるようにしておきましょう。訳出問題や、長文読解でも頻出です。
より詳しく、問題演習をしたい人は「全解説頻出英文法・語法問題1000 (大学受験スーパーゼミ)」か「Next Stage英文法・語法問題―入試英語頻出ポイント218の征服」をご利用ください。
コメント