具体と抽象の読み取り方について徹底解説!【現代文】

 今回は現代文の「具体」と「抽象」について解説していきます。現代文において「具体」と「抽象」は評論文の読解の理解を助ける重要なポイントとなります。

評論文は具体から抽象へ、抽象から具体へと文章が変化するので問題文を読む際にどちらのパートか把握することで文章構造の理解が容易になり現代文高得点の近道といえます。

「具体」と「抽象」のそれぞれの意味だけではなく、実際の評論文の読み方についても具体例を用いて説明します。

最後までしっかりと理解して試験で役立つ知識として活用できるようにしましょう。

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具体とは?抽象とは?具体と抽象の違い

まずはそもそも「具体」と「抽象」とはどういう意味なのでしょうか。

それぞれの意味について解説をします。

ここが今回のスタート地点となりますので、正確にその意味を理解していきましょう。

具体とは

まずは「具体」について解説します。

 

「具体」とは目で見えたり、手で触れられる実体のあるもののことを指します。

下記が「具体」の例として挙げられます。

例1)りんご・いちご・メロン

例2)柴犬・コーギー・ポメラニアン

どの例も誰も頭の中で思い描くイメージは同じものだと思います。

実体を持っていて細かくその特徴が分かるので、誰が想像しても共通したものをイメージすることができるのです。

こうした特徴が詳細に表されているもののことを「具体」と呼びます。

抽象とは

続いて「抽象」です。

今度は反対に実体をもっていない、大雑把にぼんやりとまとめたものを指します。

先程「具体」で出した例を「抽象」で表現すると下記の様になります。

例1)くだもの

例2)犬

頭で思い描いてみてください。

頭に浮かんだイメージはブドウや桃など皆さんそれぞれ違う果物だと思います。

②でもコーギーやポメラニアン、チワワなどそれぞれ異なる犬種を想像しますよね。

特徴が分からず、大まかにまとめられているだけの表現なので、万人が共通した認識を持つことができないのです。

このようなざっくりとまとめられたもののことを「抽象」と呼びます。

評論文における具体と抽象

評論文では文章中で具体的な表現と抽象的な表現が繰り返されながら書かれています。

ただし、文章の中で最も重要なポイントとなる「テーマとなる問題点」とそれに対する「筆者の主張」は多くの場合、抽象的な表現で書かれています

筆者の一番言いたいこと、つまり最も重要なポイントを把握するためには抽象的に書かれている部分を見つけ出してそこに集中して読解することが重要となります。

ただし抽象的な文章が重要だからといって、具体例を無視していいわけではありません。

具体例は抽象的な説明文の理解に繋げるために挙げられています。

先程説明したように「具体」はその特徴を詳細に示してくれていて、読解した人全員が共通の理解ができるように書かれています。

挙げられた具体例の意味をきちんと理解してから、一読では理解しにくい筆者の主張となる抽象的な文を読むとその意味が見えてきます。

具体例をヒントにしながら抽象的な文章の主題を理解していくことが評論文を読みこなす近道です。

また、それぞれの具体例がどの抽象文の具体例なのか対応させて読み進めていくことで文章全体の構造も掴むことができます。

例文で具体と抽象を使った文章構造を掴んでみよう!

平成30年にセンター試験で出題された評論文を具体と抽象が使われた文章の例として挙げます。

 

この文章の構造を見やすくするために具体例の部分をオレンジ、抽象的な筆者の主張の部分を赤色にしてみましょう。

そうすると、筆者が最も伝えたい主張の部分が浮き出てきます。

とは言え、「世界は多義的でその意味と価値はたくさんの解釈に開かれている。世界の意味と価値は 一意に定まらない。」という文章だけを読んでも言いたいことの意味が全く分からないですよね。

この主題の理解を助けるために「講義というような、学生には日常的なものでさえ、素朴に不変な実在とは言いにくい。」という具体例を挙げているのです。

今回の例として挙げたように抽象文と具体例の部分をマークで囲いながら読んで、文章の構成を掴む手がかりにしましょう。

具体と抽象の見分け方

前述したように具体例と抽象文を読み分けることで筆者の主張が分かりやすくなり、文章全体の構造も掴むことができます。

評論文で具体例が挙げられたら、その結論が抽象化される瞬間を虎視眈々と待ち構える習慣づくりが必要です。

では、抽象文と具体例を一体どのように見分ければいいのでしょうか。

接続詞や文末で見分ける!

具体例が提示される時や抽象的な表現で主題をまとめるにはそれに合った接続詞が用いられます。

「例えば」

「例えば」が出てきたらその後には具体例が提示されます。その前の文章では抽象的な主題が述べられている可能性があるのでチェックしましょう。

また、文末で「ーの例である。」という表現もよく用いられます。

「このように」や「すなわち」などの要約の接続詞

要約の接続詞が文章中に登場したらその後の文章は前文までの具体例をまとめる前兆です。抽象的な文が出てくるのを待ち構えましょう!

具体例は長く、抽象的な文章は短く簡潔

最初に説明したように「具体」はその特徴を詳細に表したもののことを指します。

ですので、詳細に特徴を表現するためにどうしても文章は長くなる傾向にあります。

一方で「抽象」はざっくりとまとめた表現のことを指しますので、短い文章でまとめることができます。

文章構造を分解していくと確実に具体例の方が抽象的な文章よりも視覚的に分かるくらい多くの部分を占めているはずです。

短く簡潔にまとまっている文章が現れたら、それが筆者の主題なのではとすぐに反応できるように身構える習慣をつけましょう。

まとめ

今回は評論文における「具体」と「抽象」について解説をしました。

「具体」と「抽象」についてマスターすることができれば、文章全体の構造を掴むスピードがぐっと上がります。

評論文を読みながら「具体」と「抽象」を見分ける習慣をつけていきましょう。

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