【現代文】指示語に関する問題を解説!(指示語の解のヒントは後文にあり!)

みなさん、こんにちは。

 

今日は、現代文の【指示語】について解説をしていきたいと思います。

 

指示語とは何かを含め、実際に指示語を利用した問題を解説していきます。

 

現代文が苦手な方はぜひとも最後までご参考下さい。

 

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指示語とは

指示語とは、話し手のいる地点と状況をもとにしてものを指し示す機能を持つ語で、代名詞や限定詞として用いられます。日本語の「これ」「その」などがあります。

 

入試問題では、指示語の内容を問う問題が多く出てくるので、実際に指示語の内容を理解していく必要があります。

 

それでは、実際に問題を解いていきましょう。

問題演習

【問】 次の文章を読み、下線の「それ」が何をさしているか、答えよ。

 

雪がふると巷の音がしずかになる。わたくしはそれが好きだ。ことに夜がいい。窓硝子にしずかにとまろうとする粉雪が電灯の光にきらきらときらめいて煖炉だけがかすかに唄っている。お茶など飲みながら、がたくり椅子に凭(もたれ)れかかって、煤(すす)けきった天井を眺めていると、いつの間にか夜は更けてしまう。そんなときは心がしずまって、かえがたく好きである。遠くもない駅を出てゆくらしい汽車の汽笛が、なんのこだまもなしに遠い遠い感じで消えいそぐと、あとはあんまり洞(うつ)ろで、人の心を内がわ深いところで孤独のはてに引きいれる。北海道の冬にはなにか流刑地を思わせる強い力がある。平素はまぎれているから気がつかないのだが、静かさの支配する暗さの中で、遠い望郷の念が動きはじめる。言ってみればそれは激しい光線の反射しあう南の国への憧れである。超現実の光と線とのあやなす、それゆえ深く官能的な絢爛無比な幻耀世界へのいざないである。それがあまりに強いのでじぶんが縛された人間であることを思う。いわばあまりに光線が少なく、あまりに薄明の支配する、清く澄みきった静謐(せいひつ)の周囲にたえられなくなるのである。(風巻景次郎「北のはての地に」)

 

 

注(1)がたがたと軋る木製の椅子(2)読みは「げんよう」、意味は光り輝く幻のこと。

 

遠い望郷の念

解説

指示語が指すものは、指示語の前の文章中にあるということはあらためて言うまでもありません。

 

したがって、前文の中に解を求めるのは当然ですが、前文に目を向ける前に、指示語の後に続く文章を確認することはとても重要です。

というのは、<「指示語」、、、、、、、、○○〇である。>という文章を例にとるならば、「指示語」と「○○〇である。」とは同じ内容を指しており、「指示語」が指している内容を探るためのヒントを提供してくれているからです。

このヒントを手がかりに前文に戻り、「○○〇である。」という内容と類似の意味を含む文章や語句を探すと、余り迷うことなく正解を見つけることができるはずです。

本問でいうならば、「それが」に続く文章をまず確認する。

 

「あまりに強いのでじぶんが縛された人間であることを思う。」

 

「それ」は作者を縛する、つまりは、作者を動けなくするほど強く縛りつける力を持っているという。

さらにその後に続く「いわばあまりに光線が少なく、あまりに薄明の支配する、清く澄みきった静謐(せいひつ)の周囲にたえられなくなるのである。」という文章は、直前の「それがあまりに強いのでじぶんが縛された人間であることを思う。」という文章を、別の表現で表したものですので、これも大きなヒントになることは言うまでもありません。

「静かさの支配する暗さの中」=「いわばあまりに光線が少なく、あまりに薄明の支配する、清く澄みきった静謐(せいひつ)の周囲」。

 

この等値関係にある文章は決定的なヒントになっていますね。

 

後文を丁寧に確認することの重要性を示してくれています。

つまり指示語の後に続く文章とは、指示語を含む文章だけではなく、その後に続く文章をも指していますので、この点にも注意して後文を熟読確認した上で前文に戻り、正解となる文章ないしは語句を特定します。

 

以上で本問の解は得られますが、前文にも二つの「それ」が含まれていますので、この「それ」が何を指すのかも確認しながら、解の正確さをより確かなものにしたいと思います。

ではまず「言ってみればそれは」の「それ」は何を指すか。この場合も後文必読の原則に従って解を探します。

 

「それ」を含む文章は「言ってみれば」という言葉で前文と直接つながった言い換えであることが分かります。

 

二つの文章の対比表現を抜き出すと、「静かさの支配する暗さの中」⇔「激しい光線の反射しあう南の国」という全く対照的な世界が対比されています。

 

「遠い望郷の念」とは今いる世界とは全く別の世界を恋求めることですが、「遠い」という形容語で、その憧れの世界はとても手にすることは不可能なほどに遠いがゆえに、望郷の念がより強くなることが表現されています。

 

つまりこの「それ」は「遠い望郷の念」となります。

 

次に「それゆえ深く官能的な」の「それ」は何を指すか。後文を確認します。

 

「超現実の光と線とのあやなす、それゆえ深く官能的な絢爛無比な幻耀(2)世界へのいざないである。」

 

「それゆえに」とは「それが原因で」という意味ですが、それが原因で「深く官能的な絢爛無比な幻耀世界へのいざな」ってくれるもの、が「それ」を意味しています。

 

「官能的」とは理性を超えて感覚に直接働きかける作用、刺激のことですが、それは同時に「絢爛無比な幻耀」とほぼ同義語的に使われていますので、この世のものとは思われない、夢幻のような光り輝く世界を意味しています。

 

この「それ」は直前にある類似の語句「超現実の光と線とのあやなす」を指しています。

 

つまり前者の「それ」は直接「遠い望郷の念」をさしており、後者の「それ」は、前者の「それ」とは対極にある現実にはあり得ないほどの光り輝く世界を意味していますが、「遠い望郷の念」をイメージ的に言い換えたもので、同じ内容を対比的に表現したものであることが分かります。

しかし設問の「それ」は、「静かさの支配する暗さの中」=「いわばあまりに光線が少なく、あまりに薄明の支配する、清く澄みきった静謐(せいひつ)の周囲」という後文確認でも明らかなように、光り輝く幻の世界ではなく、静かで暗い現実の世界に直接根ざす「遠い望郷の念」を指すことは明らかですね。

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